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ツール・ド・フランス2022有力選手プレビュー、3連覇目指すポガチャルを誰が追う!?|ロードレースジャーナル

vol.41 世界最大のステージレースに集まる176選手
マイヨジョーヌ争いはポガチャルとログリッチの2強か

国内外のロードレース情報を専門的にお届けする連載「ロードレースジャーナル」。いよいよ、世界最大のロードレースイベント「ツール・ド・フランス」の2022年大会が幕を開ける。7月1日にデンマーク・コペンハーゲンをスタートし、3週間をかけてフランスの首都・パリはシャンゼリゼを目指す。総走行距離は3349.8km。出場22チーム・全176選手の顔触れが出そろったところで、今大会の活躍が期待される選手たちを挙げていきたい。

ポガチャル、ログリッチを追う“第2グループ”も有力どころ続々

最終日前日の大逆転劇から2年、タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)はすっかりロードレース界のトップに君臨。あの劇的勝利がフロックではないことを証明するべく、ステージレースからワンデーレースまで、幅広く大活躍。昨年のツールは当時22歳にしてもはや“貫録”ともいうべき圧勝。今年は3連覇へ挑戦する。

個人総合3連覇に挑むタデイ・ポガチャル(右から3人目)。今季もここまで順調に戦いを続けてきた(写真は2021年大会より) ©︎ A.S.O./Charly Lopez

その視界は良好だ。シーズンインから連戦連勝で、勝てなかったレースに関しても、最低限上位争いには加わってきた。今季は北のクラシックにも初挑戦し、ツール第1週のパヴェステージの予行演習も完了。クラシックシーズン後は少し休養をして、ツールを調整。例年どおりの流れで、6月に入ってツアー・オブ・スロベニア(UCI2.Pro)に凱旋出場。もちろん、危なげのない走りで個人総合優勝し、万全の状態でツールに臨む。

アシストも山岳・平坦・パヴェとあらゆる局面でポガチャルを勝利へ導くべく、精鋭を集結させた。ラファウ・マイカ(ポーランド)は、ツアー・オブ・スロベニアでポガチャルとのホットラインを生かしてステージ2勝。ジョージ・ベネット(ニュージーランド)、ブランドン・マクナルティ(アメリカ)、マルク・ソレル(スペイン)も山岳アシストに加わる。平坦やパヴェは、ミッケル・ビョーグ(デンマーク)、マルク・ヒルシ(スイス)、ヴェガールスターケ・ラエンゲン(ノルウェー)とスペシャリストをそろえ、これ以上ない「ポガチャルシフト」が形成された。

プリモシュ・ログリッチはツール前哨戦のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネを制し万全の態勢で本番に臨む ©︎ A.S.O./Aurélien Vialatte

ポガチャル対抗馬一番手は、もちろんプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)だ。2年前の激闘で敗れた悔しさは、いまも忘れてはいない。リベンジを期した昨年は落車負傷の影響でリタイア。ツールの頂点にはいまだ縁がないが、ブエルタ・ア・エスパーニャでは個人総合3連覇と、グランツールの走りは申し分ない。もっとも、このツールに向けては、直前のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネで勝利。これまでになく上々の形でツールへと乗り込む。

ユンボ・ヴィスマは戦力面でも、今大会ナンバーワンと見てよいかもしれない。何より、前回の個人総合2位、ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)が控え、ログリッチとの双頭体制は万全。両者はドーフィネでワン・ツーフィニッシュを達成しており、状況次第でどちらでも勝負できる心構えができている。もしかすると、ツールでその再現があるかもしれない……。

前回大会の個人総合2位、ヨナス・ヴィンゲゴーももちろんツール参戦。ログリッチとの共闘で戦線をにぎわせる ©︎ A.S.O./Aurélien Vialatte

今大会では、ワウト・ファンアールト(ベルギー)がポイント賞のマイヨヴェールを目指すと公言し(後述)、クリストフ・ラポルト(フランス)やネイサン・ファンホーイドンク(ベルギー)といった平坦・パヴェ要員もメンバー入り。山岳では、好アシストが光るステフェン・クライスヴァイク(オランダ)やセップ・クス(アメリカ)が順当にメンバー入り。当初ツール出場が見込まれていたローハン・デニス(オーストラリア)が選外になるほど、選手層は厚い。レースが進むにつれて、チーム力の高さが明確になってくるはずだ。

前哨戦ツール・ド・スイスを制したゲラント・トーマス(中央)は久々に総合成績を狙う。スイスで2位だったヤコブ・フルサン(左)もツールに出場する ©︎ Buchli Fotografie // Sam Buchli

ポガチャルとログリッチが2強とみるなら、それに続く「第2グループ」に有力選手がひしめいている。2018年の覇者、ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)は、昨年こそアシストに回ったが、今年は晴れて総合エースとして出走する見通し。直前にはツール・ド・スイスで個人総合優勝を果たし、ベテラン健在をアピール。ダニエル・マルティネス(コロンビア)やアダム・イェーツ(イギリス)も加わり、いざとなればトリプルリーダー体制がとれるのもイネオス・グレナディアーズの強みだ。

前回大会個人総合4位のベン・オコーナーも総合表彰台を狙える力を持つ(写真は2021年大会より) ©︎ A.S.O./Pauline Ballet

ベン・オコーナー(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、オーストラリア)は、前回の個人総合4位を躍進のきっかけに、いまではステージレースの上位常連に。ドーフィネでは念願だったビッグレースの表彰台に登壇し、大きな自信をつけてツール本番を迎える。自身は課題を個人タイムトライアルに挙げているが、そこを乗り切れば山岳で上位戦線を走ることが計算できる。

勢いのあるボーラ・ハンスグローエはアレクサンドル・ウラソフに総合を託す ©︎ Buchli Fotografie // Sam Buchli

ジロ・デ・イタリアを制覇したジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)に続けと、ボーラ・ハンスグローエはアレクサンドル・ウラソフを総合エースに立てる。直前のスイスでは、新型コロナウイルス感染疑いで途中離脱したが、その前日にはステージ優勝。体調にも問題はなく、予定どおりツールで戦う準備を進める。こちらも山岳アシストにレナード・ケムナ(ドイツ)やフェリックス・グロスチャートナー(オーストリア)といった経験豊富なメンバーが名乗りを挙げる。いまのプロトンで最も勢いがあるといえるチームが、ツール本番で台風の目となるか。

戦力充実のバーレーン・ヴィクトリアスは、ダミアーノ・カルーゾ(イタリア)がツールに賭けてシーズンを送ってきた。ドーフィネは個人総合4位。印象としては余力を残して走った感もある。同じく総合系ライダーのジャック・ヘイグ(オーストラリア)とも共闘し、上位をうかがう。

ツールともあれば、戦い方を知る選手たちが多いのは当然。前回6位のエンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)は表彰台を十分に狙える力がある。同7位のアレクセイ・ルツェンコも山岳の走りを安定させれば、得意の個人タイムトライアルで順位を上げられるはず。過去にマイヨジョーヌ争いをにぎわせたリゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・イージーポスト)、ナイロ・キンタナ(チーム アルケア・サムシック)のコロンビア勢だって、まだまだ衰えていない。ヤコブ・フルサン(イスラエル・プレミアテック)は地元デンマーク開幕に、これまでにないモチベーション。UCIランキングで下位にいるチームを押し上げるべく、個人総合での上位進出は至上命題となる。

ティボー・ピノはツールで華麗に復活アピールなるか。フランス国民の期待を背負って走る ©︎ Buchli Fotografie // Sam Buchli

そして、フランス勢の活躍も大会を盛り上げる大きなファクターに。2年ぶりにツールへ帰還するティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ)は、先のスイスでステージ1勝し、ケガからの復調をアピール。ダヴィド・ゴデュとの二枚看板は同国の期待を一身に背負う。ジロでは上位につけながら途中で大会を去ったロマン・バルデ(チーム ディーエスエム)はリベンジの場にツールを選択。ギヨーム・マルタン(コフィディス)は、前回の個人総合8位からジャンプアップしてトップ5入りが目標であることを公言している。

ワウトの動向に注目のマイヨヴェール争い スプリンターも意地見せるか

マイヨジョーヌに続く目玉、ポイント賞のマイヨヴェール争い。

ツールにおいてポイント獲得の手段は、各ステージ1カ所ずつ設定される中間スプリントポイントを15位以内に通過するか、ステージ15位以内に入るかに限定される。ステージの難易度によってフィニッシュ時の付与ポイントは変わってくるが、いずれにしてもコンスタントにポイントを稼げる脚がないと緑色のスペシャルジャージに袖を通すことができない。傾向としては、平坦ステージではスプリントで勝てるだけの脚がありつつ、丘陵や山岳のステージでも状況次第では逃げに入って中間スプリントポイントを上位通過できる術を持つ選手が勝ち取っている。

マイヨヴェール最右翼の不ワウト・ファンアールト(中央)。直前で痛めたヒザの回復ができているかがカギ ©︎ A.S.O./Aurélien Vialatte

今年、その筆頭格となるのがファンアールトだ。昨年は山岳逃げ、個人タイムトライアル、そしてスプリントとあらゆる局面で勝利を挙げる活躍を見せたが、今年はさらなる高みを目指してマイヨヴェール獲得を目標に据えた。マイヨジョーヌを目指すチーム事情こそあれど、選手・スタッフともに両立できると自信を見せる。懸念材料としては、先ごろのチームキャンプでヒザをハンドルバーに強打し、痛みが残っていたことからベルギー選手権を回避した点。ツール開幕までに回復させられるかが、目標達成のカギともいえる。

マチュー・ファンデルプールはステージ狙いに集中か。その動きに注目が集まる ©︎ RCS

脚質やワウトとの関係性からして、対抗馬はマチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ)となってくるところだが、本人の意思はいかに。チームにはエーススプリンターのヤスパー・フィリプセン(ベルギー)が控えており、平坦ステージではリードアウト役に回る公算も高い。また、自身の狙いをステージ優勝に絞って、それ以上の動きを見せないことも考えられる。3週間の進め方としては、ステージ1勝を挙げているジロに近いところがあるかもしれない。

スプリンターの意地も見たいところだ。ジロでは激しい落車の影響で途中離脱に終わったカレブ・ユアン(ロット・スーダル、オーストラリア)は、6月にレースを1本走って回復をアピール。チームを挙げてユアンのステージ狙いにフォーカスしており、それに応えられるだろうか。

2017年にこの賞を獲得しているマイケル・マシューズ(チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、オーストラリア)は、直近のスイスでポイント賞をゲット。今季はコンスタントに上位進出を果たしており、ツールでもその走りが継続できれば賞レースをにぎわせられそう。エーススプリンターのディラン・フルーネウェーヘン(オランダ)とのすみ分けも見もの。

過去7度のマイヨヴェールに輝いているペテル・サガン。ポイント賞返り咲きなるか ©︎ Buchli Fotografie // Sam Buchli

かつてこの賞といえば、ペテル・サガン(トタルエナジーズ、スロバキア)のものだった。2012年から5連覇し、さらに2回積み重ねて、計7度のマイヨヴェール受賞を果たしている。ここのところは新型コロナ感染など体調不良もあって苦しい時期を過ごしてきたが、ツールで復活劇といきたい。まずは確実にステージ上位を押さえていくことが重要だ。

クイックステップ・アルファヴィニルはファビオ・ヤコブセンをエーススプリンターに立てる © Mark Van Hecke

スプリント戦線に大きな意味合いを持たせそうなのが、ファビオ・ヤコブセン(クイックステップ・アルファヴィニル、オランダ)のツール初出場だ。大ケガからの復活劇はいまなお観る者に強いインパクトを与え続けているが、すっかりチームのエーススプリンターとして確たる地位を築いている。前回ポイント賞を獲得したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)に代わって平坦ステージでの勝利を目指すあたりにも、チーム首脳陣からの期待がうかがえる。勝ちを重ねられれば、同賞をカヴェンディッシュから受け継ぐことだってできるはずだ。

地元開幕で大会序盤からペースを上げてくるであろうマッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク)や、ベテランのアレクサンダー・クリストフ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、ノルウェー)あたりも力を発揮しそう。ジロで1勝したアルベルト・ダイネーゼ(チーム ディーエスエム、イタリア)は、勢いのままグランツール連戦に挑む。

その他の見どころ

ここ2年は個人総合成績がそのまま反映されている山岳賞のマイヨアポワとヤングライダー賞(25歳以下対象)のマイヨブラン。マイヨアポワに関しては、レース展開次第の側面も強いが、山岳逃げから同賞を狙っていく選手が出てきてほしいところ。マイヨブランは、現在23歳のポガチャルが順当にいけば“3連覇”しそうだ。

第1ステージの優勝候補筆頭は個人タイムトライアル世界王者のフィリッポ・ガンナ。マイヨアルカンシエルが躍動するか ©︎ A.S.O./Aurélien Vialatte

大会最初のマイヨジョーヌ着用者が決まる第1ステージは、13.2kmの個人タイムトライアル。TTスペシャリストの競演となること必至で、同種目の世界王者であるフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)が優勝候補筆頭。何度も好勝負を繰り広げているワウトや、東京五輪王者のログリッチも負けられない。先々の総合成績を考えると、ポガチャルやヴィンゲゴーらもきっちり上位を押さえておく必要がある。

また、18kmにも及ぶ大橋「グレートベルト・リンク」を渡る第2ステージや、11のパヴェセクションが控える第5ステージなど、波乱を呼びそうな日が大会序盤から目白押し。状況によっては、日替わりでマイヨジョーヌ着用者が出てくることも考えられる。

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ツール・ド・フランス2022の出場チーム・選手リストとコースプレビュー

ツール・ド・フランス2022の出場チーム・選手リストとコースプレビュー

2022年07月01日

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福光 俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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