BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo

STORE

  • FUNQTEN ファンクテン

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ
  • Bicycle Club BOX

元世界王者ピーダスンが初のステージ優勝、メイン集団はユンボが徹底コントロール|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランス2022は現地7月15日、第13ステージが行われた。久々となる平坦コースでのレースは、3人が逃げ切り。最後は2019年の世界王者であるマッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク)が勝利。ツールでは初めてとなるステージ優勝を飾った。個人総合ではヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)がマイヨジョーヌをキープ。終始ユンボ・ヴィスマがメイン集団をコントロールし、安全に走り抜いた。

ファーストアタックから最後のスプリントまで。ピーダスンが話題を独占

第2週の始まりとともに進んだアルプス3連戦では、マイヨジョーヌの交代劇や4年ぶりのアルプ・デュエズに沸いた。そして、このステージからはピレネー山脈へ向かっての移動を開始。第13ステージは、大会中盤戦最初の平坦コースが用意された。

ル・ブール=ドアザンからサンテティエンヌまでの192.6kmは、前半・中盤・後半それぞれにカテゴリー山岳が置かれ、平坦とは言いつつもこれらを越えることが大前提になる。また、終盤も上り基調。勝負したいスピードマンにとっては、最後までどれだけ脚を残せるかがポイントになってくる。

©A.S.O. / Aurélien Vialatte

この日は、アルプスのステージで積極的な走りを見せていたワレン・バルギル(チーム アルケア・サムシック、フランス)が新型コロナウイルスの陽性反応が出たため未出走。158人がスタートを切った。ニュートラル区間を経てリアルスタートを迎えると、ピーダスンがファーストアタック。これは決まらなかったものの、逃げを狙う選手が多数出て活発な状態が続く。スタートから30km進んだところでやってきた、この日最初の3級山岳では、一時的ながら集団が複数に割れる状況も発生した。

©A.S.O. / Charly Lopez

数度の出入りののち、レースをリードしたのはフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)、シュテファン・キュング(グルパマ・エフデジ、スイス)、マッテオ・ヨルゲンセン(モビスター チーム、アメリカ)の3人。その後も19人の追走グループが形成されるなど慌ただしさは続いたが、この大人数に代わってピーダスンら4人のパックが先頭グループに追いついたところでレース序盤の駆け引きは終わり。最初の1時間は平均時速51kmのハイペースだったが、それからは2分前後のタイム差で先頭7人とメイン集団は推移した。

2つのグループ間の差は、残り100kmを切ってから縮小傾向に。1分台になって、集団は先頭グループを射程圏に捉えながら進行。この間、中間スプリントポイントではピーダスンが1位通過し、1分30秒差でやってきたメイン集団ではワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)が労せず先着。全体8位通過でポイント加算に成功している。

©A.S.O. / Aurélien Vialatte

順調にレースを進めていたかに見えたメイン集団のムードが変わったのは、残り80kmを切ったタイミング。左コーナーでカレブ・ユアン(ロット・スーダル、オーストラリア)が落車。痛みに苦悶の表情を浮かべつつも、しばらくして何とか再出発。チームはそれまでアシストを前線に送り出してペーシングに励んでいたが、ユアンのケアに回ったところで集団のペースがスローに。リーダーチームのユンボ・ヴィスマが意識的にタイム差調整を行ったことで、残り40kmを前にその差は3分30秒近くまで広がった。

この状況を嫌ってステージ優勝を狙うチーム バイクエクスチェンジ・ジェイコがペースアップを図るが、先頭メンバーも勢いを増しておりその差は簡単には縮まらない。その先頭グループでは、残り12.5kmでピーダスンが緩やかな上りを利用してアタック。これを追えたのは、フレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス、イギリス)とユーゴ・ウル(イスラエル・プレミアテック、カナダ)の2人。すぐには反応できなかったガンナらも懸命に追ったが、最後まで先頭復帰はかなわず。やがてメイン集団はユンボ・ヴィスマによるコントロールが強化され、先頭3人の逃げ切りを容認するムードが高まった。

©A.S.O. / Aurélien Vialatte

十分なリードを得た先頭3人は、残り3kmでライトがアタックするも決まらず。そのまま残り距離が減っていき、勝負はスプリントにゆだねられる形へ。ウル、ピーダスン、ライトの並びで最後のコーナーを抜けた。

3人が見合いながらフィニッシュへの直線を進む。そして残り250mでピーダスンがスプリントを開始。ピッタリとマークしていたライトがあっという間に差を広げられ、ウルも2人の後ろにつくので精いっぱい。キレのあるスプリントを見せたピーダスンは、残り50mで勝利を確信すると、高らかに両こぶしを掲げてステージ優勝の瞬間を迎えた。

©A.S.O. / Charly Lopez

2019年のロード世界選手権を23歳で制し、マイヨアルカンシエルホルダーを経験したピーダスン。その後も大きなレースでの勝利を重ねてきたが、ツールのステージ優勝はこれが初めて。大会前から話題になっていたバイク、トレックの新型マドンでのツール初勝利でもある。このステージではファーストアタックに始まり、勝負をかけたスプリントに終わる、まさにピーダスンデーになった。

©A.S.O. / Pauline Ballet

競ったライトが2位、ウルが3位。30秒差でシュテファン・キュング(グルパマ・エフデジ、スイス)、ヨルゲンセンと続き、ガンナは32秒差の6位。逃げメンバーが上位を占めた。

メイン集団はユンボ・ヴィスマのコントロール下に置かれたまま終盤を走行。個人総合上位陣もこのグループの中でステージを終える構え。最後の直線でスプリントが始まったが、ここもアシスト陣のお膳立てによってファンアールトが先着。ステージ7位として、きっちりとポイントを加算した。

このステージでの個人総合上位の変動はなし。ヴィンゲゴーが盤石のマイヨジョーヌキープ。ポガチャルが2位で続いている。

翌16日に行われる第14ステージは、この日のフィニッシュ地であったサンテティエンヌをスタート。マンドまでの192.5kmの丘陵コースが用意される。3級4つ、2級1つのカテゴリー山岳に加えて、無印の登坂も控えている。マンド手前にある2級山岳は、登坂距離3kmで、平均勾配は10.2%。この上りに入る際のポジショニングは重要になってきそうだ。山岳ポイントを過ぎ、1.5km先のマンド・ブルヌー飛行場の滑走路にフィニッシュラインが敷かれる。

ステージ優勝 マッズ・ピーダスン コメント

©A.S.O. / Charly Lopez

「信じられない。やっとこのときを迎えられた! ツールが始まってから、調子の良さは実感していたが、第1週はチャンスを逃していた。一転して今日はチャンスをモノにできて、最高のプライズを手にしたよ。チームの目標がステージ優勝だったから、この1勝でみんな安心できそうだ。

4人以上の逃げができそうだったら、チームからは私が入る計画だった。スタートからなかなかうまくいかず、逃げに入ったのはやっとの思いだった。みんなも同じように大変な1日だったと思う。残り12kmでのアタックは、逃げのメンバーが多すぎると思ったから。幸いアクションに成功したので、終盤の展開が楽になった」

マイヨジョーヌ ヨナス・ヴィンゲゴー コメント

©A.S.O. / Charly Lopez

「レース距離もさることながら、暑さとの戦いでもあった。水分補給と冷却がとても大事なステージだった。冷却用の氷をたくさん受け取ったし、チーム無線から水分補給タイミングのリマインダーもあった。よほどレースが落ち着いていればイヤーピースを外すこともあるけど、基本的には装着したままにしている。

レースについては簡単でもなければ難しくもなかった。注意しないといけなかったのが横風で、その点についてはビッグマンが多いこのチームを信頼している。この先の山岳に向けて、今日は脚を温存することができた」

ツール・ド・フランス2022 第13ステージ結果

ステージ結果

1 マッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク) 4:13’03”
2 フレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス、イギリス)ST
3 ユーゴ・ウル(イスラエル・プレミアテック、カナダ)
4 シュテファン・キュング(グルパマ・エフデジ、スイス)+0’30”
5 マッテオ・ヨルゲンセン(モビスター チーム、アメリカ)ST
6 フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)+0’32”
7 ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)+5’45”
8 フロリアン・セネシャル(クイックステップ・アルファヴィニル、フランス)ST
9 ルーカ・モッツァート(B&Bホテルズ・カテエム、イタリア)
10 アンドレア・パスクアロン(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、イタリア)

個人総合時間賞(マイヨジョーヌ)

1 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク) 50:47’34”
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+2’22”
3 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+2’26”
4 ロマン・バルデ(チーム ディーエスエム、フランス)+2’35”
5 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+3’44”
6 ナイロ・キンタナ(アルケア・サムシック、コロンビア)+3’58”
7 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)+4’07”
8 トーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+7’39”
9 エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)+9’32”
10 アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ)+10’06”

ポイント賞(マイヨヴェール)

ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)

山岳賞(マイヨアポワ)

シモン・ゲシュケ(コフィディス、ドイツ)

ヤングライダー賞(マイヨブラン)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合時間賞

イネオス・グレナディアーズ 152:21’50”

▼ツール・ド・フランス2022のチーム&コース情報はこちらへ

ツール・ド・フランス2022の出場チーム・選手リストとコースプレビュー

ツール・ド・フランス2022の出場チーム・選手リストとコースプレビュー

2022年07月01日

SHARE

PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

No more pages to load