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ユンゲルスがスイスアルプスで逃げ切り。ポガチャルはマイヨジョーヌを堅守|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランスは大会第1週の最後として第9ステージが行われた。スイスアルプスをめぐってフランスへと帰る1日は、大人数の先頭グループからボブ・ユンゲルス(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、ルクセンブルク)が逃げ切りでツール初勝利。延べ65km近くにわたって独走状態をキープして、フィニッシュへと到達した。個人総合首位のマイヨジョーヌは、タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)が堅守。フィニッシュ前ではスプリントに出て、同2位のヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)とともに総合リードをわずかながら広げることに成功している。

長い苦しみから脱却したユンゲルスの長距離逃げ

前日、今大会4カ国目となるスイスに入国したプロトンは、UCI(国際自転車競技連合)の本部がある同国のエグルから第9ステージを開始。しばしレマン湖を見ながら進み、それからはスイスアルプスへと足を踏み入れる。レース後半には、1級山岳コル・ド・ラ・クロワ(登坂距離8.1km、平均勾配7.6%)を上り、一度下ってエグルに戻ったのちに、今度は1級山岳パ・ド・モルジャン(15.4km6.1%)へ。この頂上でフランスに帰還して、少しのアップダウンをこなしてフィニッシュを迎える。なお、この日エグルを2度訪れるのは、UCI施設の「ワールドサイクリングセンター」創設20周年を記念しての意味合いが強い。

レースを前に、ギヨーム・マルタン(コフィディス、フランス)の大会からの離脱が発表された。個人総合14位につけていたが、前日のステージ後に新型コロナウイルス感染が確認された。大会並びにUCIのプロトコルに基づいてリタイアすることとなった。

Photo: Syunsuke FUKUMITSU

フィリップ・ジルベール(ロット・スーダル、ベルギー)のファーストアタックで始まった戦いは、しばし出入りの連続。37.1km地点に置かれた4級山岳までは一団で進み、50km地点に前後して最大21人の逃げが決まる。そのまま先頭グループとなり、そこには前日の勝者でありポイント賞トップのマイヨヴェールを着るワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)がジョイン。56.5km地点に設けられた中間スプリントポイントを、労せず1位通過している。

© A.S.O. / Charly Lopez

先頭グループとメイン集団とのタイム差は、少しずつ拡大傾向に。中間地点に届く頃にはその差は3分台となる。やがてコル・ド・ラ・クロワの上りが始まると、先頭グループ内での動きが活発になってくる。ピエール・ラトゥール(トタルエナジーズ、フランス)のアタックに追随したユンゲルスが、山頂まで3.5kmを残したところで先頭に立つとそのまま独走を開始。頂上に向けてシモン・ゲシュケ(コフィディス、ドイツ)が一時的に追いつき、山岳ポイントで先着したが、その後の下りで再びユンゲルスの独走が始まった。

ダウンヒル後の平坦区間でさらにスピードに乗せたユンゲルス。後ろではファンアールトら13人が追走体制に入っていたが、タイム差は広がる一方。メイン集団との差も3分台を維持し、快調そのものに最後の上り、パ・ド・モルジャンに入った。

©A.S.O. / Charly Lopez

単独でのクライミングを続けるユンゲルスに対し、追走グループからはティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ、フランス)がアタック。これにジョナタン・カストロビエホ(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)とカルロス・ベローナ(モビスター チーム、スペイン)が続き、先頭合流を目指す。とりわけピノの勢いはユンゲルスを上回っており、1分以上あったタイム差が、頂上手前で10秒まで縮まる。一方で、ファンアールトは意識的にメイン集団へと戻る選択をして、総合成績がかかっているヴィンゲゴーやプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)のアシストに移った。

ここままピノに追いつかれるかと思われたユンゲルスだったが、頂上通過後の短い下りで再加速。テクニカルなコーナーも安定してクリアしていくと、フィニッシュまで5kmの緩やかな上りでもペースを維持。失速気味になったピノとの差を広げていき、あとはトラブルなくフィニッシュへ到達するだけになった。

苦しさでゆがんだ表情は、最後の直線を迎えて笑顔へ。フィニッシュでは右手を力強く握って勝利を誇示してみせた。

©A.S.O. / Charly Lopez

ユンゲルスは、2018年にリエージュ~バストーニュ~リエージュで優勝するなど、ビッグレースでの実績が豊富な29歳。グランツールでは2016年にジロ・デ・イタリアで自己最高の6位に入り、その時にはマリアローザを3日間着用。ヤングライダー賞のマリアビアンカを獲得している。昨年から現チームに所属しているが、このところはケガや故障が多く、落車による頭部外傷や腸骨動脈の異常で戦線を離れた時期もあった。しかし、個の逃げ切り勝利で復活をアピール。チームは今大会、総合エースのベン・オコーナー(オーストラリア)が不調ですでに上位から脱落。ユンゲルスがチームリーダーとして今後のステージを戦うこととなりそうだ。

歓喜のユンゲルスから22秒差で、2位にはカストロビエホが入選。ベローナが続き、上りで魅せたピノは4位。勝利ならずも、このステージの敢闘賞に選ばれている。

©A.S.O. / Charly Lopez

総合系ライダーは終始メイン集団でレースを展開。終盤はペースが上がって、最後の直線ではポガチャルが猛然とスプリントを開始。これをヴィンゲゴーが追いかけ、個人総合ワン・ツーが同タイムフィニッシュ。3秒後に大多数の選手がレースを終えた。

これにより、ポガチャルはマイヨジョーヌの座を固めつつ、個人総合3位以下へのリードを拡大。追う立場のヴィンゲゴーは総合タイム39秒差。他の賞では、ポイント賞はファンアールトで変わらず、山岳賞のマイヨアポワは逃げでポイントを稼いだゲシュケがトップに浮上している。

大会第1週が終わったツール。1日おいて、現地12日から第2週が始まる。ここからアルプス3連戦が始まり、第10ステージはモルジヌ・レ・ポルテ・デュ・ソレイユからメジェーヴまでの148.1km。レース距離が比較的短く、丘陵コースにカテゴライズされる。終盤はメジェーヴ空港を目指しての19.2kmの上りが控える。今大会3回ある滑走路フィニッシュの一発目でもある。

ステージ優勝 ボブ・ユンゲルス コメント

©A.S.O. / Charly Lopez

「最大の成果だ。ステージ優勝が今大会の目標だった。これはチームにとって大きな意味があると思う。それに、私にとってもここ数年の苦労から脱却した瞬間だ。これが私のレーススタイルだし、勝ちパターン。リエージュ~バストーニュ~リエージュで勝ったときのことを思い出したよ。

ここまで日を追うごとに調子が良くなっている。今日は早めに他の選手を引き離したいと思って走っていた。下りをうまくこなせるだろうとは思っていたけど、最後の1kmだけはいつまで続くのかと思ったほど。とにかく今日はリスクを冒してでもトライしようと思っていたし、チームや私を信頼してくれたみんなに感謝を伝えられる結果になった」

マイヨジョーヌ、マイヨブラン タデイ・ポガチャル コメント

©A.S.O. / Charly Lopez

「チームメートを頼りたいと思っていたし、彼らが強いことを示すことができた。チームの強力なパフォーマンスによって、良い1日になった。計画としては、レース全体をコントロールすることだった。とても強い選手が逃げグループに入ったので、しばらくはコントロールが大変だったが、少しずつ自分たちの計画どおりになっていった。

マイヨジョーヌで休息日を迎えられてとてもうれしい。2週目への自信があるし、やる気も十分にある」

■ツール・ド・フランス2022 第9ステージ結果

ステージ結果

1 ボブ・ユンゲルス(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、ルクセンブルク) 4:46’39”
2 ジョナタン・カストロビエホ(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+0’22”
3 カルロス・ベローナ(モビスター チーム、スペイン)+0’26”
4 ティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ、フランス)+0’40”
5 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+0’49”
6 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)
7 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+0’52”
8 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)ST
9 エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)
10 ナイロ・キンタナ(チーム アルケア・サムシック、コロンビア)

個人総合時間賞(マイヨジョーヌ)

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 33:43’44”
2 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)+0’39”
3 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+1’17”
4 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+1’25”
5 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)+1’38”
6 ロマン・バルデ(チーム ディーエスエム、フランス)+1’39”
7 トーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+1’46”
8 エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)+1’50”
9 ニールソン・ポーレス(EFエデュケーション・イージーポスト、アメリカ)+1’55”
10 ナイロ・キンタナ(チーム アルケア・サムシック、コロンビア)+2’13”

ポイント賞(マイヨヴェール)

ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)

山岳賞(マイヨアポワ)

シモン・ゲシュケ(コフィディス、ドイツ)

ヤングライダー賞(マイヨブラン)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合時間賞

イネオス・グレナディアーズ 101:14’46”

 

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ツール・ド・フランス2022の出場チーム・選手リストとコースプレビュー

ツール・ド・フランス2022の出場チーム・選手リストとコースプレビュー

2022年07月01日

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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