BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo

STORE

  • FUNQTEN ファンクテン

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ
  • Bicycle Club BOX

ヴィンゲゴーが初の個人総合優勝 パリ・シャンゼリゼはフィリプセン圧勝|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランス2022は現地7月24日に閉幕。大会最終日は恒例のパリ・シャンゼリゼでのスプリントステージ。3週間を走り抜いたスピードマンによる最後の戦いは、ヤスパー・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)が勝利。今大会2勝目を挙げた。そして、最高栄誉の個人総合優勝は、前日までトップを守ってきたヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)が最後まで走り切ってトップを確定。初の個人総合優勝に輝いた。

ワウトがファーストアタック!? 最終日ならではのパレード演出も

7月1日にデンマークの首都・コペンハーゲンを出発し、第4ステージからフランスに入国しつつ、途中ではベルギー、スイスにも足を延ばしたツール一行。第1週ではパリ~ルーベを彷彿とさせるパヴェを走り、第2週ではアルプス、第3週ではピレネーの両山脈で激戦が繰り広げられた。そして、最後を飾るのはもちろんパリ・シャンゼリゼ。3週間を戦い抜いた選手たちがパレードをしながら、フランスの首都・パリの中心部へと帰還する。

©A.S.O. / Pauline Ballet

2022年大会の最終・第21ステージは、パリ郊外のナンテールにある「ラ・デファンス・アリーナ」を出発。2017年に完成した完全密閉型スタジアムで、ラグビー強国である同国ではトップチームのホームスタジアムにもなっている。また、2024年のパリ五輪では水泳競技の会場を予定している。

©A.S.O. / Pauline Ballet

しばしのニュートラル区間を経てリアルスタートが切られると、マイヨヴェールを確定させているワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)がファーストアタック。これをマイヨブランのタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)、さらにはマイヨジョーヌのヴィンゲゴーみずからチェックに。とはいっても、これは大会最終日ならではのパフォーマンス。ちょっとしたショーを演じたのち集団へと戻ると、いつもどおりプロトンはパレード走行を楽しんだ。

©A.S.O. / Pauline Ballet

パレードの間は、チャンピオンチームであるユンボ・ヴィスマでレースに残る5人が並び、大会途中で離脱した3人のゼッケンを手に走りながらの記念撮影。シャンパンでの乾杯もあり、チーム一丸での勝利を喜んだ。

©A.S.O. / Pauline Ballet

選手たちが思い思いにパリ中心部までの道を進み、いよいよ「最後の舞台」シャンゼリゼへ。この日の走行距離は115.6kmだが、実質はシャンゼリゼの周回コースをめぐる約55kmが“レース”になる。凱旋にあたっては、ユンボ・ヴィスマが先頭に立って、ルーヴル美術館のガラスのピラミッドの前を通るなどして、フランスの名所めぐりも行った。

©A.S.O. / Pauline Ballet

シャンゼリゼは6.8kmのコースを8周回。コントロールラインを通過して“スタート”が切られると、ヤン・トラトニク(バーレーン・ヴィクトリアス、スロベニア)が“ファーストアタック”。ここから逃げを狙ったアタックが活発になるが、最前線では入れ替わりの激しい状態が続く。

©A.S.O. / Pauline Ballet

4周目に入って、アントワーヌ・デュシェーヌ(グルパマ・エフデジ、カナダ)、オリヴィエ・ルガック(グルパマ・エフデジ、フランス)、オウェイン・ドゥール(EFエデュケーション・イージーポスト、イギリス)、ヨナス・ルッチ(EFエデュケーション・イージーポスト、ドイツ)、マキシミリアン・シャフマン(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)がリードを開始。集団に対して25秒ほどの差をつける。やがてドゥールが下がって、4人逃げになるが、メイン集団との差は大きく変わらず周回数を減らしていく。

6周目になるとルッチとシャフマン、2人のドイツ人ライダーだけが先行を続ける。その頃にはメイン集団の牽引を複数のスプリンターチームが行っている状況で、逃げ吸収は時間の問題。計るようにして、最終周回の鐘と同時にキャッチした。

©A.S.O. / Charly Lopez

集団が1つになって迎えた最終盤。残り6kmで、個人総合3位のゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)がアタック。これをチームメートのフィリッポ・ガンナ(イタリア)が合わせて、集団からの飛び出しを図る。2人の逆サイドからは、ポガチャルもアタック。そのままトーマスとガンナの前へ出ると、わずかながら集団から先行。全体のスピードが上がっていることから、この動きは決まらなかったが、個人総合上位陣が最後に来てもアクティブさを失わない。

時速70kmに迫ろうかというスピードで最終局面へ突き進むプロトン。残り3kmではアルペシン・ドゥクーニンク、残り2kmではチーム バイクエクスチェンジ・ジェイコがトレインを成して最前線へ。この間にはバンジャマン・トマ(コフィディス、フランス)がアタックを試みたが、決定打には至らなかった。

チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコが先頭のまま残り1kmを切り、コンコルド広場を抜けると最終ストレート。フィニッシュまで700mの直線に入ると、ルカ・メズゲッツ(スロベニア)が加速してエーススプリンターのディラン・フルーネウェーヘン(オランダ)を導くが、250mを残して早めの発射。この流れのままスプリントを始めたフルーネウェーヘンだが、その後ろでタイミングを探ったフィリプセンが飛び出すと、思うように伸びない他のスプリンター陣を尻目に差を広げる。後続を振り返る余裕を見せながらスピードを保って、そのままフィニッシュラインを一番に駆け抜けた。

©A.S.O. / Charly Lopez

フィリプセンは第15ステージに続く、今大会2勝目。ツールの最後を飾るパリ・シャンゼリゼステージを制し、名実ともに世界トップのスプリンターであることを証明した。

©A.S.O. / Pauline Ballet

そして、ツール・ド・フランス2022の王座には、ヴィンゲゴーが就いた。シャンゼリゼ周回に入ってからは安全なポジションを確保して、着実にフィニッシュを目指した。最後は、チームメートと並んで歓喜のフィニッシュ。メイン集団からは51秒遅れたが、十分な総合リードがあるので問題なし。初のツール制覇を果たし、シャンゼリゼ通りに設けられたポディウムでエトワール凱旋門をバックにマイヨジョーヌを正式に戴冠した。

©A.S.O. / Pauline Ballet

個人総合優勝を果たしたヴィンゲゴーは、1986年12月10日生まれの25歳。2019年に現チーム入りし、ツールデビューだった前回大会で個人総合2位。以来、グランツールレーサーの仲間入りを果たすと同時に1週間ほどのステージレースでも活躍。自国初開催だった今回は、第1ステージの個人タイムトライアルで7位になると、常に個人総合上位をキープ。パヴェを走った第5ステージでは度重なるバイクトラブルでピンチに陥ったが、高いチーム力でリカバーすると、激坂グラベルフィニッシュだった第7ステージで2位。ここからポガチャルとの2強態勢に入った。そしてアルプスでの第11ステージ、超級山岳グラノン峠で圧勝してマイヨジョーヌに袖を通すと、それを最後まで守り抜いた。ピレネーの超級山岳オタカムを上った第18ステージでも勝利を挙げている。

ポディウムでの優勝者スピーチでは、「とても大きな瞬間を迎えられて、最高の気分。ツールのデンマーク開幕を実現させてくれてありがとう」と述べるとともに、チームメートや好勝負を繰り広げたポガチャルやトーマスにも感謝の言葉。王者の話に耳を傾けた両者も笑顔で応じた。

最終的に、個人総合でヴィンゲゴーから2分43秒差でポガチャルが2位。同じく7分22秒差でトーマスが3位に入った。

©A.S.O. / Charly Lopez

その他の賞では、ポイント賞のマイヨヴェールにファンアールトが輝き、2015年に同賞のシステム変更以降最高得点となる480点を獲得。2位のフィリプセンに200点近い差をつけた。昨年のシャンゼリゼではステージ優勝したが、今回はマイヨジョーヌのヴィンゲゴーと一緒にフィニッシュすることを最優先。ステージ狙いにはいかずに終えた。山岳賞のマイヨアポワはヴィンゲゴーが獲得し、マイヨジョーヌとの2冠。ヤングライダー賞のマイヨブランはポガチャルが獲得し、同賞3連覇となった。チーム総合はイネオス・グレナディアーズ、今大会最も印象的な活躍を見せた選手に贈られるスーパー敢闘賞はファンアールトが選出された。

©A.S.O. / Pauline Ballet

全21ステージ・総距離3349.8kmに及ぶ世界最大の戦いは、これにて閉幕。次回、2023年大会は、スペイン・バスク地方のビルバオで開幕することが決まっている。

ステージ優勝 ヤスパー・フィリプセン コメント

Photo: Syunsuke FUKUMITSU

「信じられない! 子どもの頃からの夢がかなったよ。実感できるまでしばらく時間がかかりそうだ。チームメートを誇りに思うし、このような形でツールを終えられて最高の気分だ。

スプリントまでの流れは理想どおり。最高のポジション取りができたし、ディラン・フルーネウェーヘンが早めに加速したから、自分のタイミングでスプリントをするだけだった。美しいシャンゼリゼのコースで勝つことは本当に素晴らしい。

ツール前半は苦しいことばかりだったが、スプリンターが狙うべき第15ステージと第21ステージを勝てたのは信じられないことだ」

個人総合優勝、山岳賞 ヨナス・ヴィンゲゴー コメント

©A.S.O. / Pauline Ballet

「自分でもすごいことを成し遂げたと思っている。ツール・ド・フランスに勝ったんだ。これから何だってできるような気がするよ。娘に出迎えられて最高の気分だ。

世界最大のレースに勝ったことは紛れもない事実。勝ちたいと思って走ってきたけど、すべてはオタカム(第18ステージ)次第だと思っていた。

シャンゼリゼに多くのデンマーク人が集まってくれて本当に感謝している。私を3週間にわたって応援し続けてくれた。

今後は、お祝いをオランダでして、水曜日にコペンハーゲンに帰る予定だ。木曜日には地元へ帰って、金曜日にソファーでゆっくりかな。勝てて最高だ。お祝いをした後はリラックスできる時間が欲しいけど、それ以上にツール・ド・フランスにもっと勝ちたい」

ツール・ド・フランス2022 第21ステージ結果

ステージ結果

1 ヤスパー・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー) 2:58’32”
2 ディラン・フルーネウェーヘン(チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、オランダ)ST
3 アレクサンダー・クリストフ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、ノルウェー)
4 ヤスパー・ストゥイヴェン(トレック・セガフレード、ベルギー)
5 ペテル・サガン(トタルエナジーズ、スロバキア)
6 ジェレミー・ルクロック(B&Bホテルズ・カテエム、フランス)
7 ダニー・ファンポッペル(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)
8 カレブ・ユアン(ロット・スーダル、オーストラリア)
9 ユーゴ・オフステテール(チーム アルケア・サムシック、フランス)
10 フレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス、イギリス)

個人総合時間賞(マイヨジョーヌ)

1 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク) 79:33’20”
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+2’43”
3 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+7’22”
4 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)+13’39”
5 アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ)+15’46”
6 ナイロ・キンタナ(アルケア・サムシック、コロンビア)+16’33”
7 ロマン・バルデ(チーム ディーエスエム、フランス)+18’11”
8 ルイス・メインチェス(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、南アフリカ)+18’44”
9 アレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・カザクスタン チーム、カザフスタン)+22’56”
10 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+24’52”

ポイント賞(マイヨヴェール)

ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)

山岳賞(マイヨアポワ)

ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)

ヤングライダー賞(マイヨブラン)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合時間賞

イネオス・グレナディアーズ 239:03’03”

▼ツール・ド・フランス2022のチーム&コース情報はこちらへ

ツール・ド・フランス2022の出場チーム・選手リストとコースプレビュー

ツール・ド・フランス2022の出場チーム・選手リストとコースプレビュー

2022年07月01日

SHARE

PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

No more pages to load