
自転車旅の魅力とは?必要な持ち物や注意点を理解して楽しい旅に!

FUNQスタッフ
- 2022年10月28日
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サイクリングに慣れてロングライドが楽しくなってくると、「もっと遠くに行ってみたい」・「知らない景色を見てみたい」といった気持ちが生まれてきますが、自宅から往復できる距離には限界があるので気づくと同じコースばかりを走ることが多くなってはいませんか?
そんなときにおすすめなのが日帰りではなく、宿泊をしながら楽しむ自転車旅です。自転車での宿泊しながらの旅はなんとなく過酷なイメージがありますが、走る距離や目的地、その日のゴールも全て自由に設定できるので、じつは過酷でも大変でもありません。
とはいえ、思い立ったらすぐに行けるわけではなく、「旅」である以上は最低限の計画と準備、そして知識が必要です。今回は自転車旅の魅力から計画の立て方・必要な持ち物・注意点・快適な旅を送るためのポイントなどをご紹介します。ぜひ参考にして楽しい旅を計画してください。
自転車旅の魅力とは
自転車旅の魅力とは、自由度の高さや達成感、景色や季節の移ろいなど、一言で語るのは難しいほど魅力に溢れています。
電車や車では通り過ぎてしまうような場所にふらっと立ち寄ったり、目の前の絶景を気の済むまで眺め続けたりすることだって可能です。慣れない現地の交通機関で乗り換えや時刻表を調べる煩わしさもありません。目的地に向かうまでの全てを楽しめるのが自転車旅の魅力と言えるでしょう。
達成感
電車やクルマを使った旅は乗っていれば目的地に到着しますが、自転車旅は自分の力でペダルを踏まなければ目的地に到着しません。目的地に向かうまでには峠があったり強い向かい風が吹いたりするかもしれません。そんな状況のなか、自分の力だけで歩みを進めるやりがいと、その日の目的地に到着したときの達成感は唯一無二、自転車旅でしか堪能できないものでしょう。
しかも自転車旅は移動すること自体が目的地に着くことと同じぐらい大切な旅の目的です。その充実感は想像に難くありません。自分の力で走るからこそ、移動も最高の旅になります。
景色の移り変わり
自転車旅は自転車の速度感だからこそ、目的地に向かうまでの景色を最大限に楽しめます。いい景色があれば止まって眺めてもいいし、のんびり走りながら音や香りを楽しむのもいいでしょう。自分の好きなように引いたルートで思いがけない絶景に出会えるかもしれません。
自転車旅の費用と計画の立て方
実際に自転車旅をする場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。目的地や旅の期間によっても変わってくるので、計画の立て方を交えて説明していきます。
自転車旅の費用について
自転車旅の費用はおもに食事や入浴、宿泊費など毎日かかる費用と観光や緊急のための予備費、自転車や装備品を用意するための準備費が必要になります。
旅のスタイルがテント泊&自炊の場合と外食&宿泊施設だとかかる費用は大きく違います。また、外食が毎回コンビニなのかお店を利用するかによっても変わるでしょう。予備費については、もしものときに公共交通機関を使って帰ることができる交通費と、それ以外の費用をわけて見積もった方が安心です。
自転車旅の計画の立て方
自転車旅の計画を立てる場合、最も重要となるのが旅の期間です。意外かもしれませんが、この日数次第でかかる費用や行くことのできる目的地が決まると言ってもいいでしょう。観光しながら1日50km走ることを目安にした場合、期間が3日間だと100km離れた目的地に行って帰って来ることはできません。
日程に余裕を持って旅ができる場合は、行きたい場所をリストアップしてルートをつくると良いでしょう。どうしても外せない場所を選んでいけばおのずとルートは決まります。
自転車を分解して専用の袋に入れる「輪行」という方法を使えば公共交通機関に乗せて運ぶことができます。目的地まで自転車旅をして帰りを輪行にすれば、限られた日程でも目的地の選択肢は大きく増えます。
自転車旅に必要な装備
ここからは自転車旅に必要な装備を紹介します。旅に限らず自転車に乗るときは「荷物は最小限」が基本。旅となると、あれもこれも持って行かなきゃという気持ちになりますが、本当に必要なものは意外と少ないです。よく検討して準備しましょう。
自転車
自転車旅に最適な自転車と言えば、ズバリ「ランドナー」でしょう。「ツーリング車」とも呼ばれ、荷物をたくさん積んで自転車旅をすることを想定した車種です。最初から荷物を積むためのキャリアや泥除けを付けるダボ穴が用意されていて、30ミリ以上の太いタイヤに対応しているので乗り心地や荷物を積載したときの安定性は抜群です。タイヤ径もロードバイクやクロスバイクよりやや小さめのサイズが採用されていることが多いです。

ただし、現代においては純粋な「ランドナー」はあまり販売されておらず、それに代わるのが「グラベルロード」です。荷物が積める、安定性も抜群というランドナー的利点を踏まえながらより速く走れる車種で、近年人気がでています。

旅行の期間や荷物の量、輪行の有無など旅の内容によってはこうしたツーリング車だけでなく、ロードやクロスバイク、MTB、折りたたみができるミニベロなどでも自転車旅を楽しめます。
バッグ
自転車旅で使うバッグは大きく分けると「身に着けるバッグ」と「自転車に付けるバッグ」になります。
身に着けるバッグの代表的なものはバッグパック(リュックサック)です。手軽で入手しやすく、自転車旅にも使えます。しかし自転車旅は「荷物を背負うよりも自転車に付けた方がいい」というのが、現代の一般的な考え方です。肩や腰など体への負担も少なくし、かつ重心も低くできるため、安全かつ効率的なのです。
自転車に付けるバッグには取り付ける場所により種類があります。
- フロントバッグ:ハンドル前方に取り付けます。スマホやカメラなどの頻繁に出し入れするものが取り出しやすいです。
- フレームバッグ:車体フレーム中央に取り付けます。重心が低いため走行に影響しにくく、用途によりサイズも豊富です。
- サドルバッグ:サドル下に取り付けます。車種を選ばず取り付けできるものが多く、サイズや形の種類も豊富です。
- パニアバッグ:前後のタイヤの側面に取り付けます。取り付けにキャリア(別売り)が必要で、車体に取り付けるバッグのなかでは最大の収納量があります。



その他
自転車旅で必要な最低限の持ち物をピックアップしました。現地で購入したり、目的地へ先に送ったりなど工夫をすると荷物は少なくて済みます。持ち物は極力少なくするのがおすすめです。
- 携帯電話
- モバイルバッテリー
- お金(カードや電子マネー、現金はやや多めに。場所やお店によっては現金しか使えないことがありえます)
- 自転車の鍵
- パンク修理キット(パンクはすることが前提です)
- 携帯ツール(簡単な機材トラブルに対応できるもの。携帯ポンプも忘れずに)
- 輪行袋(輪行予定の場合はもちろん、旅程を変更する場合やトラブルの際に)
- ハーフパンツ(ビブ姿がマナーに反すると思われる場所で便利です)
- 防寒ウェア(「思っていたより寒い」は夏でもありがちです)
- 水分と補給食(地方では商店やコンビニが少ない場合も。つねにストックしておきましょう)
自転車旅で注意するべきポイント9つ
ここからは旅を計画する際や、旅の最中に注意すべきポイントをご紹介します。
水分補給・栄養補給・食事
自転車を進めるにはエネルギーが必要です。いつものライドと同じように、お腹がすく前に少しずつ食べるようにしましょう。旅だからといって朝・昼・晩の食事にこだわる必要はありません。日本国内ではコンビニがあるのであまり心配はありませんが、周囲にお店や自動販売機の無いところでエネルギー切れになってしまうのは危険です。何もないところへ出かける場合には必ず補給食を用意しておきましょう。

同様に水分補給も大切です。喉の渇きを感じる前にこまめに水分をとりましょう。ただし、水だけでは発汗で失われたミネラルは補えません。スポーツドリンクなども意識して摂るとよいでしょう。

ルートの計画
旅は目的地も大切ですが、景色の移ろいを楽しむ自転車旅はルートも同じくらい大切です。しかし、同じ距離でも高低差が大きいルートでは使う体力もかかる時間も違います。自分の体力や日程にあったルートを選択することが重要です。ルートの高低差がわかるウェブサービスやアプリを使ってあらかじめ確認しておくことをおすすめします。
また、道路によっては橋やトンネル、バイパスなどで自転車通行禁止の場合や夜間の通行止め、自然災害(崩落やがけ崩れ、倒木など)による通行止めの場合もあります。知らずに行ってしまうとルート変更が必要な場合もあるため、体力やスケジュールにも大きく影響します。必ず事前に確認しましょう。
服装
自転車での旅ですが、服装はサイクルジャージでなくても問題はありません。サイクルジャージは空気抵抗を抑えるためにピッタリとしたデザインになっていますが、たくさんの荷物を積みさほど速度を出さない自転車旅なら、空気抵抗をそこまで意識する必要はありません。むしろ吸汗速乾系Tシャツとハーフパンツの方が観光地に寄ったりお店に入ったりするときなど、なにかと便利です。
そして必ず防風・防寒着を用意しましょう。走行中に予定外の日没を迎えてしまった場合や、山の上、そして雨など冷えを感じることは多くあります。体は冷えると体温を保つために想像以上にエネルギーを使ってしまいます。夏場であればウィンドブレーカーやレインウェアも有効です。
安全な運転
自転車旅は多くの荷物を積んだ自転車で走ります。思ったよりもスピードが上がらず、バランスがとりにくいためふらつきやすくなったり、下りではブレーキがききにくく、カーブでは外側へ膨らみやすくなったり、いつもの自転車とは運転の感覚にかなりの違いがあります。また、初めて走る道は先の予測がつかないためとても危険です。常に安全な運転を心がけましょう。
走る時間帯
基本的に夜は走らないことが基本です。ライトをつけていても日中より遥かに視界が悪く、車のドライバーから見えずらいため危険です。さらに路面のちょっとした段差や亀裂に気づけない可能性もあります。また、夜間はサイクルショップなども開いておらずトラブルの際に対応に困るばかりか、地域によってはコンビニなども閉まっている場合があります。せっかくの景色も楽しむことができません。初めての道を夜間に走行するのは極力控えましょう。
電車での移動がある場合は必ず時刻表の確認をしておきましょう。地方や田舎では電車の本数が極端に少なく、運行本数が1時間に1本以下ということは普通にあります。
休憩
長時間の走行は疲労がたまり、注意力や判断力が低下して思わぬ事故につながる可能性があります。慣れていない場合は疲れを感じる前に休憩することを心がけましょう。長い上りのあとでは、下りに入る前に休憩することもおすすめです。
数日かけて旅をする場合は休息日を設けて疲労を溜めないこともポイントです。疲れを感じている場合は、プランに遅れがでても無理をせず休むことが大切です。
トラブル対応
自転車旅に限らず、自転車に乗っていて最も起こる確率が高いトラブルはパンクでしょう。チューブ交換(タイヤ内のチューブを交換する)とパッチ修理(チューブのパンク穴だけを塞ぐ)は最低限ひとりでできる必要があります。
出発の前にタイヤの空気圧をチェックする習慣をつけておくと、空気圧が低すぎることによる「リム打ち」パンクの予防ができます。雨の日やその翌日は路肩にバンクの原因になる異物がたまるため、走行には注意が必要です。
輪行
輪行とは公共交通機関に自転車を載せて移動することです。自転車を折りたたむか分解して専用の「輪行袋」に入れれば手回り品として扱われます。このとき、ハンドルやサドルの一部が輪行袋の外に出た状態や、輪行袋以外のポリ袋やビニールシートで覆って車内に持ち込むことは認められません。また、タテ・ヨコ・高さの合計や一辺の長さ、重さにも鉄道会社による規定があります。最近では自転車をそのまま持ち込めるサイクルトレインも普及してきたので、こちらを利用するのも手です。
自転車の分解や組み立ては通行の妨げになりにくい場所を選び、点字ブロックなどに注意しておこないましょう。
荷物は持ちすぎない
「自転車旅に必要な装備」でも触れましたが、荷物は最小限にすることが基本になります。多すぎる荷物は自転車の重量を増します。重くなった自転車は脚だけでなくハンドルを握る手や腕、バランスをとるために肩や腰まで広範囲に疲労させます。
荷物を積む際も前後左右にバランスよく積むことが大事。こうした工夫は旅の安全運転にもつながります。ここまで紹介してきたポイントは、自転車旅をしていくうえで徐々に経験が積まれていくもので、そうして経験を積むこともまた「楽しみのひとつ」と言えるでしょう。
自転車旅におすすめの場所3選
自転車旅を考えている人の中には、まだ自転車に乗り始めてまもない人もいるでしょう。自転車旅をしたいと思っていても、初めてだと旅の計画に苦労すると思います。そんな方に向けて計画の参考になるような、自転車旅のおすすめの場所をご紹介します。
初めての自転車旅からベテランコースまで! 自転車旅の計画の参考になる全国ベスト5ルート
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1. エロイカジャパン舞台:「伊豆サムライルート」を巡る温泉ロード旅
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一生の思い出になる自転車旅にしよう!
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