ニセコグラベルに参加、北海道ならではの景観を楽しむ|竹下佳映のグラベルの世界
竹下佳映
- 2022年10月29日
アメリカで活動するグラベル界の第一人者、竹下佳映さんが北海道のニセコで行われたグラベルイベント「Panaracerニセコグラベル」」に参加した。本場のグラベルを知る竹下さんが感じた、日本ならではのグラベルの楽しみ方とは?
INDEX
日本でのグラベルイベント参加は意外にも初めて!
アメリカが発祥の地の新しいサイクリングのジャンル、「グラベル」という名の未舗装路ライド・未舗装路レースをし始めたのが2014年。当時のアメリカのパナレーサーグラベルチーム所属選手となったのが2017年。バイシクルクラブさんの本誌に「これがグラベルレースだ! 日本人選手、竹下佳映の挑戦」と私の特集が初めて掲載されたのが2018年。当初からずっと「日本にグラベルロードってあるのかな。あるとしたら、どこだろう。日本中であるのかもしれないけど、北海道は土地も自然もあるしグラベルするのに最高に違いない……」と思っていましたから、ニセコでグラベルイベントが行われると去年知ったときはうれしかったですね。今回Panaracerニセコグラベルに参加するのを心待ちにしていました!
早めに帰国してプレライドへ!
帰国後、慣れない右ハンドル運転・左側通行でニセコに到着。
一日早めに現地入りした私は、同じく1日早くに来ていた札幌グラベルライダーたちと彼・彼女らの東京からのライダー仲間と合流し、「エリア散策・新たなグラベルロードを見つけに行こう! ライド」へ。あっちに行こうこっちに行こうとGPSと相談しながら進み、結構な長さのグラベルクライムの後にふと振り向いたら、なんと美しい羊蹄山が! 蝦夷富士と知られているだけあって、本当に優美な姿でした。
短いプレライドでこんなに良いものが見れるとは……、イベント当日が楽しみです。
夜はジンギスカン食べながらわいわいしました!
前日のエキスポもにぎやかでした
Panaracerニセコグラベル1日目・土曜日の午前中には、会場付近から独り2時間弱の短いライドへ行きました。甘露水と呼ばれるニセコ連山の自然湧水で水汲みしたり、森の中にある別荘で庭仕事をしていた別荘オーナーと立ち話したり、偶然帰り道にSNS友と初顔合わせしたり。
そして午後から始まったエキスポでは結構な数のブース出店があり、いろんなブーステントでバイク話に世間話に花を咲かせました。私はなんせ話すのが好きなので、どこの大会に行ってもブース回りは楽しいですね。普段なかなか見たり触ったりする機会のないバイク関連用品に出会えるのもいいです。会場内でのお昼ご飯チョイスも多々あり、どれにしようかと悩みました。
トークショーにもゲスト参加
午後のスケジュールの1部であるトークショーでは、ゲストスピーカーとして、私のグラベルとの出会い、今に至るまでの経緯、最近のレースの話を主にさせて頂きました。鮮明に浮かんでくる思い出を皆さんとても熱心に聞いてくださって、とてもうれしく思います。
パナレーサー・三上勇輝さん、キャノンデール・カズ(山本和弘)さん、シマノ・鞍谷融紀さんも一緒に登壇し、自転車業界の中でどうグラベル機材が進化していってるか等、話が弾みました!
会場も盛り上がり、あっという間に時間が過ぎてしまって、じつはMCのAleeさんが3回も時間延長してくださってたそうです。時計見てなかったので気付きもしませんでした! あと3時間は話せましたね。(笑)
当日は約115kmのExtra Longクラスに参加
さて日曜日、お待ちかねのライド。コースは4種類、Small、Medium、Long、Extra Longで、私が参加したXLは約115kmで獲得標高が2200+メートルとなっていました。朝の会場はみんなやる気満々。ライド仲間とおそろいのジャージの参加者もたくさん。私のその日のライドパートナー、バイシクルクラブ記者坂本君とスタート地点で集合。いい日になりそうです。
スタート直後、駐車場から出てすぐ、進行方向とは真逆の方向にXLの全員が進んでしまったのは、ここだけの話です(笑)。
上りも充実した走りごたえのあるコース
山があるから当然上り下りに満ちて、そして舗装が半分くらい、という理解だけで臨んだXLコースはなかなか走りごたえがありました。
グラベルは、ダブルトラックの山中林道が多くを占めていて、田んぼ道もいくつもあります。いつの間にこんなに上っていたのかな?と思う程、森林内を下っていくグラベルロードは長かったです。コースを反回りにしてあの長い長い下り区間が全部グラベルクライムだったら、それはそれで面白いかも。
後半で斜度のきついグラベル上りもあって「おぉ、このタイミングでこれは、なかなかコースクリエーターやるね!」と思わせましたね。後から主催者の北海道イベンツの田村さんにそのグラベル坂の話を聞いたら、あれは入れるかどうか迷ったんですよー、とおっしゃってました。個人的には大正解だと思います。印象に残るようなチャレンジングな部分がいくつかあるのがいい、簡単で景色が良いだけだったら面白くないもの。
そして幅広く整った舗装路が、グラベル区間をつなぎます。
日本ならではのコンパクトなグラベル
空気は澄んでいて、交通量は少ない。空気がおいしいって、これのことだなって、よく分かります。のんびり田舎な家な風景を眺めたり、森林浴をしながら、自然を感じながらの北海道ライドは、肌で感じる気持ち良さだけでなく心までもすっきりします。北海道では9月頭にすでに黄金色になってきている稲穂がキラキラと輝いて見えました。これ以上のライド日和はなかなかないな、と思うほどの理想的な天気でした。
私の活動拠点のアメリカは国土が広くグラベルの種類も多様多種あるので、XLコース中にときたま「あ、ここ、○○州に似てる!」のようなところもありました。しかし普段私がよく走っている米国中西部の延々と続くだだっ広いグラベルロードやザクザクの緩い深い砂利とは、ニセコのグラベルはまた一味も二味も違います。スケールだけ比較すればアメリカより小さいものの、山に囲まれながらもたっぷりとスペースのある北海道ならではの景観は最高! 特に最後のほうでは、羊蹄山の眺めのいいこと!
グラベルで楽しみを分かち合えるのは世界共通
各休憩所・補給地点には大会スタッフがたくさん配置され、各参加者の同行確認したり補給職配ったりと忙しそうにされてました。そして元気にあふれた応援を参加者全員に浴びせてくれました。ありがとうございます!
参加者は、グラベル好きで乗り慣れているライダーから、グラベル始めたばかりなんです、自転車乗り始めたばかりなんです、と言うライダー、他の自転車競技のベテラン選手までさまざま。
今年は三人チームでの登録だったので、仲間と一緒にやり遂げる!というチームスピリットで会場もコース上も溢れていました。
じつは、私は日本でバイクイベントに参加するのが今回初めてだったのですが、自転車で、そしてグラベルで楽しみを分かち合えるのは世界共通!というのがひしと感じ取れました。
その日のライドパートナーだったバイシクルクラブ記者・坂本君にとっては、バイクイベントそのものが初、グラベル乗るのも初めてのようなもので、度重なる試練が待ち構えていました、苦笑。強靭な精神力で完走した彼に拍手喝采です。
私自身、初のグラベルライドが100kmのグラベルレースで、未舗装路経験ゼロで何も知らないままいきなり飛び込み、トラブルに見舞われながらも完全にグラベルにはまったので、終わった後に苦笑いを浮かべながら、すっごい楽しかった、グラベルまたやりたいと言う彼の反応を見てうれしく思いました。私とは違った角度から楽しめる、彼のレポートも必読です。
▼「新米ライター坂本のニセコグラベル参戦記」の記事はコチラから
そして、参加者の全員に、お疲れ様!!
日本のグラベルは発展途上、これからの成長が楽しみ!
今回のPanaracerニセコグラベルは、レースではない、楽しみを追求する「ライド」という位置付けのイベントでした。人気度が上がってきたとはいえ、グラベルは日本ではまだ認知度が低いジャンルなので、楽しさを知ってもらってライダー人口を増やすためには、みんなでワイワイと楽しめるこのお祭りみたいな雰囲気は良かったですね。
ニセコは、新千歳空港からレンタカーでアクセスも簡単。列車移動も不要。スキーリゾート地なので難なく多くの人を収容できるのが、大会開催地として適しているし、まだまだ成長ポテンシャルがあると思います。今後、このイベントがどう発展していくのか楽しみです。私もまた走りたいです。
写真ももっとたくさんありますので私のIGのストーリーハイライト、Japan Gravel からご覧ください!
当日のセットアップ
バイク:Lauf Seigla + SRAM AXS 12スピード
タイヤ:パナレーサー GravelKing SS 38c
サイコン:ガーミンEdge 830
ホイール:Zipp Firecrest 303
キット:Champion System、Apexサマースーツ(デザインはオリジナル)
シューズ:シマノRX8 グラベルシューズ、女性用
ヘルメット:KPLUS Nova
サングラス:Bliz Breeze
ツールケース:食べ終わったピーナッツバターの容器をフレーム下のボトルケージに入れています(写真に写ってません)
KAEさんと走れる! 筑波山ライド! 11月3日に開催
集合場所:PEDAL DAY GO Mt.TSUKUBA -ペダルでいご~筑波山-会場。
バイシクルクラブブース(平沢官衙遺跡歴史ひろば 住所:茨城県つくば市平沢353)
参加費:3,500円(普通傷害保険付き、個人賠償責任保険については各自で加入してください。お支払い方法についてはフォームにて申し込みいただいたのち、別途ご案内いたします)
定員:先着20名(女性大歓迎)
申し込み締め切り:11月1⽇ 18:00
オマケ
もし道外からの訪問であれば、併せて車で北海道観光に行くのも良いかもしれません。
私は、神威岬から見た積丹ブルーの青さに圧倒されました。北国の海にこんな青色があるなんて信じられない!
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PROFILE
札幌出身、現在は米国シカゴ都市部に在住。2014年に偶然出会ったグラベルレースの魅力に引かれ、プロ選手に混ざって上位入賞するなどレースに出続けている第一人者。5年間グラベルチーム選手として活躍し、2022年からはプライベーターとしてソロ活動。ここしばらく飛んでいないが飛行機乗り。