ペテル・サガンが2023年限りでロードレーサーとしての一線を退く。パリ五輪はMTBで
福光俊介
- 2023年01月27日
ロードレースのUCIプロチーム、トタルエナジーズに所属するペテル・サガン(33歳)がこのほどアップした動画において、ロードレーサーとしてのキャリアを2023年限りで事実上終了すると発表。同時にマウンテンバイクでパリ五輪を目指す姿勢を明らかにした。
「マウンテンバイクでキャリアを終えたい」
日本時間午前10時15分に自らのYouTubeチャンネルにアップした動画「My programmes for my future」で、今後の活動について語ったサガン。そこで、「UCIワールドツアーを走るライダーとしては今季(2023年)で終了。パリ五輪はマウンテンバイクで目指していきたい」と明言した。
サガンは現在、アルゼンチンで開催されるブエルタ・ア・サンフアン(UCI2.Pro)に出場中。休息日の26日に行われた記者会見でも、「そのときがやってきたと思っている。私のキャリアはマウンテンバイクで始まっていて、常々キャリアの終わりもマウンテンバイクで、と思っていた。こうした判断ができることをとてもうれしく思っていて、今は喜びしかない」とコメントしている。
ジュニア時代にマウンテンバイクやシクロクロスで世代のトップを走り、2010年にリクイガス・ドイモでロードシーンに本格デビュー。これまで、ツール・ド・フランスではステージ通算12勝し、2012年から2019年までポイント賞のマイヨヴェールを獲得すること7回。中間スプリント、フィニッシュとそつなくポイントを重ねる走りは「ポイント貯金」とまで言われたほど。また、ロード世界選手権では2015年から3連覇、パリ~ルーベとロンド・ファン・フラーンデレンでそれぞれ優勝1回、ヘント~ウェヴェルヘムでは優勝3回と、スプリントや北のクラシックで驚異的な強さを誇った。
近年はそのスピードとパワーに陰りが見え、私生活でも慌ただしい日々を送るなど、かつてほどの強さとはいかないものの、コンスタントに上位進出を重ね、サンフアンでも第4ステージで2位。ロードレーサーとして実質最終シーズンとなる今年について問われると、「ただ楽しんで終えるつもりは毛頭ない。常にトップレベルでありたいと思っている」。
マウンテンバイクでは2016年リオ五輪を経験し、そのときは35位。パリ五輪へ向けては、「メダルとかは考えていない。勝ち負けのプレッシャーはもはやないと言えるし、とにかくマウンテンバイクでキャリアを終えること。そして来年(2024年)が五輪イヤーであること。そこで自分が何をしたいのかを総合的に判断した」と述べる。
すでに将来へ目を向けており、「息子との時間を増やして、人生をさまざまな角度から見られるようになりたい。40歳や50歳を過ぎても走り続けようとは思っていなかった」と話している。
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PROFILE
サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。