ニューサドルで2023年、シーズン・イン！
小俣 雄風太
- 2023年01月31日
今年は……グラベルをはじめオールロードをガンガン走りたい！
ジャンルのひとつとしてすっかり定着したグラベルだが、それに反してバイクやギア選択の幅が広く、自分のスタイルに合ったものを選ぶのも楽しい。快適性に振ったサドルが理想かと思われるが、クッション性が高すぎてもライドフィールを損なうため、パフォーマンスも重視したい。各メーカーが考えるグラベル向けサドルは、荒れた路面をものともしないオールロードライドにも適する。
fi’zi:k TERRA ARGO X3
-グラベルサドルのベンチマーク
フィジークのサドルラインアップの中で、オフロード用のシリーズがTERRA。さらにその中で、ショートサドルモデルのARGOがラインアップする。アグレッシブなライドスタイルに適応するARGOシリーズは、ロードレースのような集団走行や高速巡航が繰り広げられる欧米のグラベルレースで活躍するだろう。
グラベル向けのフィーチャーとして、サドルシェルにロードモデルより柔軟性を持たせており、荒れた路面からの振動吸収性を高めている。また、パッドにも厚めのものを採用し、クッション性に富む。X3はサドルレールに金属製のKiumレールを採用しており、高い耐久性を誇る。上記で見てきたロード用のVENTO ARGOはサドルセンターにホールが設けられていたが、TERRA ARGOではカバーされている。これは路面からの砂利の跳ね上げによって、ショーツとサドル座面が傷まないための配慮で、未舗装路サドルならではのフィーチャーといえよう。
IMPRESSION
国内のグラベルでも生きるオールマイティサドル
走り始めてまず感じるのは、ロードサドルよりもふかふかとした座り心地。VENTO ARGOのイメージでいると、オンロード上では柔らかく感じる。しかしグラベルの荒れた路面に入るとこのクッション性がありがたい。ラインを選びながら、少し腰を浮かせつつ上るようなシチュエーションではバイクからの突き上げが抑えられ、スムーズにライドできる。砂利道やダートでサドル上に腰を落ち着けてもお尻に優しく、なるほどこれは未舗装路用のサドルだ。
アンバウンド・グラベルやニセコグラベルのようなハイスピードなグラベル路面では試せなかったため、ARGOの持ち味であるアグレッシブなライディングポジションでの安定性を見極めることはできなかったが、日本国内のグラベルルートでは避けがたいテクニカルなコーナーや下りでは、ショートサドルの良さが生きた。サドル全長が短いため取り回しがよく、腰を少し下げるだけでサドル後方に重心をかけることができる。ドロッパーポストのないバイクでの下りにおける重心移動のしやすさは発見だった。激坂上りで1:1よりも軽いギヤを使う前乗りでの安定感はよく、グラベルオールマイティなサドルと言うことができる。
レースではパワーロスにつながるため好まれないだろうが、このクッション性はオンロードでも荒れた路面を多く走るようなロングライドでぜひ使ってみたいと思ったのはここだけの話。
Specialized S-Works Romin EVO Mirror saddle
-グラベルトッププロの選択
正直なところ「グラベル専用」サドルというのはマーケットにそこまで多くない。特化した性能を持たせてプロモーションすると、そのターゲット層も必然的に狭めてしまうからだ。多岐にわたる路面状況をまとめてグラベルと呼んでいる現状にあってはメーカーとしても専用をうたいづらいところだろう。そんな前提を踏まえつつ、グラベル向けとして紹介するスペシャライズドのサドルは「S-Works Romin EVO Mirror」、そう、ロードレースサドルの定番モデルの「ミラー」バージョンだ。
多くのプロ選手が愛用することから、Romin EVOの基本性能の高さが伺える。あのジュリアン・アラフィリップ（フランス、スーダル・クイックステップ）もその一人だ。そしてミラーテクノロジーを投入した「S-Works Romin EVO Mirror」を愛用するグラベルプロ選手の名前には、イアン・ボズウェルが挙げられる。かつてグランツールで活躍し、今はアメリカ屈指のグラベルレーサーだ。彼が2022年、グラベルレースの最高峰アンバウンド・グラベルにディフェンディングチャンピオンとして舞い戻った際にこのサドルが装着されていた。アメリカのグラベルレースにおいてスペシャライズドのバイクに乗
価格：55,000円（税込）
カラー：ブラック
サイズ：143mm、155mm
重量：194g（155mm／実測）
製品情報はコチラ
- BRAND :
- Bicycle Club
- CREDIT :
- TEXT：小俣 雄風太 PHOTO：水上 俊介
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