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モラノがチーム本拠で大きな勝利、リーダージャージはレムコがキープ|UAEツアー

アラブ首長国連邦(UAE)で開催中のステージレース、UAEツアー(UCIワールドツアー)は現地2月23日、第4ステージを実施。勝負はスプリントで決し、混戦をフアン・モラノ(UAEチームエミレーツ、コロンビア)が制した。ここまで苦戦が続いていたホームチームだったが、ついに勝利をゲット。個人総合上位陣には変動がなく、レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)がトップを守っている。

序盤から3選手がリード

今大会の中日に当たる第4ステージ。この日は大都市ドバイが舞台となる174kmの平坦ルート。高低の変化はほぼなくイージーな一方で、テクニカルなコーナーがいくつも待ち受け、スプリントに向けてはポジショニングが大きなウエイトを占めることになりそうだ。ここまでの3日間は個人総合上位に変動が起きていたが、このステージでも何か起こるだろうか。

©️ Sprint Cycling Agency

リアルスタートが切られると、早い段階で3選手が先行。メイン集団がこれを容認し、スプリンターを擁するユンボ・ヴィスマやロット・デスティニーなどがペースをコントロール。タイム差は2分から3分の間で推移した。

©️ Sprint Cycling Agency

レースをリードしたのは、アレックス・ボーダン(アージェードゥーゼール・シトロエンチーム、フランス)、アレッサンドロ・トネッリとサムエーレ・ゾッカラート(ともにイタリア)のグリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ勢。協調態勢が崩れることなく、残り距離を着々と減らしていく。後半に入ってようやくメイン集団も少しずつギアチェンジ。前を行く3人との差を縮めていき、フィニッシュまで30kmを残したところでタイムギャップは1分になった。

© LaPresse

僅差の勝負をモラノが制する

セオリーどおり後半にスピードを上げる集団に対し、長く先行し続ける3人も負けじと逃げる。残り20kmでタイム差は20秒。メイン集団は先頭メンバーを射程圏に捉えつつも、キャッチするタイミングを計りながら進む。

© LaPresse

粘りに粘った逃げの3人だったが、残り5kmで約10秒差まで迫られると、残り3kmを切ったところで集団が吸収。レースの大部分をリードしてきたが、逃げ切りはならず。

ここからはスプリントに向けた集団での位置取り争いが一層激化。ロット・デスティニーやアルペシン・ドゥクーニンク、チーム ディーエスエムが最前線でトレインを編成し、最終局面へと向かう。

そして残すは1km。右コーナーを抜けたところで集団3番手で中切れが発生。前を走っていたニキアス・アルント(バーレーン・ヴィクトリアス、ドイツ)がこの状況に気付くや早めのスパート。ただ、このステージに備えてきたスプリンター陣がさすがに見逃すことはなくすかさず反応。フェルナンド・ガビリア(モビスター チーム、コロンビア)がアルントとの差を詰めにいくが、追いついたところで失速。代わって前に出たのは、モラノ、オラフ・コーイ(ユンボ・ヴィスマ、オランダ)、サム・ウェルスフォード(チーム ディーエスエム、オーストラリア)。

スピードに乗った3人はそのまま並ぶようにしてフィニッシュラインを通過。パッと見た感じでは誰が勝ったか分からないほどの僅差となったが、写真判定の結果モラノが先着していることが判明。UAEチームエミレーツにとっては、待ちに待ったホームレースでの勝利となった。

© LaPresse

昨年のブエルタ・ア・エスパーニャ最終・第21ステージを勝った実績のあるモラノは、これが今季初勝利。今大会はここまでライバルチームに後れを取ってきたが、これをきっかけにチームは勢いを取り戻すか。モラノ個人としても、残りステージでまだまだスプリントチャンスが待っている。

個人総合上位陣はいずれもメイン集団内でフィニッシュしたことで、順位に変動はなし。エヴェネプールは終始安定した走りでリーダーの座を維持した。

翌23日に行われる第5ステージは、170kmの平坦ルート。幅の広い高速道路や砂漠地帯を進むが、風向きや強さによっては集団の動きを阻むものとなるかもしれない。大方の予想はスプリントだが、個人総合争いにおいても気を抜けない1日になるだろう。

ステージ優勝 フアン・モラノ コメント

© LaPresse

チームやスポンサーにとって非常に重要なレースなので、この勝利を心から喜びたい。もちろん彼らに捧げるステージ優勝だ。今大会は良いスタートとは言えなかったが、ステージを経て徐々に状態が上向いてきている。アダム・イェーツは最高の状態にあるし、好成績を挙げられると確信している。

個人総合首位 レムコ・エヴェネプール コメント

© LaPresse

第1ステージのような風の日ではなかったので、リラックスして走ることができた。高速で巡航するスリップストリームの中で過ごし、最後の数kmまで安心して走ることができていた。残り2kmまでティム・メルリールの後ろにつけて、危険回避にも心掛けた。UAEツアーのようなレースでトップに立っていることは特別で、レッドジャージ(リーダージャージ)の着用を楽しんでいるよ。

UAEツアー2023 第4ステージ結果

ステージ結果

1 フアン・モラノ(UAEチームエミレーツ、コロンビア) 3:50’01”
2 オラフ・コーイ(ユンボ・ヴィスマ、オランダ)+0’00”
3 サム・ウェルスフォード(チーム ディーエスエム、オーストラリア)
4 アーヴィッド・デクライン(チューダー・プロサイクリングチーム、オランダ)
5 ディラン・フルーネウェーヘン(チーム ジェイコ・アルウラー、オランダ)
6 ダニー・ファンポッペル(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)
7 マライン・ファンデンベルフ(EFエデュケーション・イージーポスト、オランダ)
8 サム・ベネット(ボーラ・ハンスグローエ、アイルランド)
9 ティム・メルリール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)
10 ヨン・アベラストゥリ(トレック・セガフレード、スペイン)

個人総合時間賞

1 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー) 12:17’23”
2 ルーク・プラップ(イネオス・グレナディアーズ、オーストラリア)+0’07”
3 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)+0’11”
4 ステファン・デボッド(EFエデュケーション・イージーポスト、南アフリカ)+1’01”
5 ワウト・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス、オランダ)+1’04”
6 ハルム・ファンハウケ(チーム ディーエスエム、ベルギー)+1’10”
7 アンドレアス・レックネスン(チーム ディーエスエム、ノルウェー)
8 エイネルアウグスト・ルビオ(モビスター チーム、コロンビア)+1’11”
9 ゲオルグ・シュタインハウザー(EFエデュケーション・イージーポスト、南アフリカ)
10 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+1’12”

ポイント賞

オラフ・コーイ(ユンボ・ヴィスマ、オランダ)

ヤングライダー賞

レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)

中間スプリント賞

エドワルト・プランカールト(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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