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イェーツが最終日の山岳ステージで意地の勝利。個人総合はレムコが初優勝|UAEツアー

アラブ首長国連邦(UAE)で開催されていたステージレース、UAEツアーは2月26日に行われた第7ステージをもって閉幕。大会最終日は山岳ジェベル・ハフィートでの頂上フィニッシュで、残り3kmでアタックを成功させたアダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)が独走でステージ勝利。チーム本拠地のUAEで貴重な勝利を挙げた。個人総合では、ここまでトップを守ってきたレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)が最終日も2位でまとめて大会初制覇を果たしている。

名物の山岳ジェベル・ハフィートでの最終決戦

2月20日に開幕した大会は、平坦コースを軸としながらも、チームタイムトライアルや山岳ステージでも熱戦を展開。前日の第6ステージではティム・メルリール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)が勝ち、ポイント賞をほぼ決定的に。最終日の焦点は、山頂のフィニッシュラインに誰が一番に飛び込むかと個人総合の行方となった。

レース距離は153kmに設定され、最後の最後に名峰ジェベル・ハフィートの上りが控える。登坂距離は10.7kmで、平均勾配6.8%。フィニッシュ前3km地点が最大勾配11%に達する。そして実際に、最も勾配が厳しくなる区間で勝負が決まることとなる。

©️ Sprint Cycling Agency

レースを先行したのはヤーコ・ハンニネン(アージェードゥーゼール・シトロエンチーム、フィンランド)、サム・ウェルスフォード(チーム ディーエスエム、オーストラリア)、モーリス・バラーシュテット(アルペシン・ドゥクーニンク、ドイツ)、ミヒェル・ヘスマン(ユンボ・ヴィスマ、ドイツ)、イグナタス・コノヴァロヴァス(グルパマ・エフデジ、リトアニア)の5人。メイン集団に対して約5分のリードを得るが、山岳が控えていることを考えると十分なタイム差とは言えない。集団はエヴェネプール擁するスーダル・クイックステップがコントロールを担った。

©️ Sprint Cycling Agency

懸命に逃げ続ける5人だが、フィニッシュまで10kmとなったところから始まるジェベル・ハフィートの上りで協調体制が崩れる。ひとり、またひとりと遅れだし、ヘスマンとコノヴァロヴァスだけが先頭に残る状況になった。

この頃にはメイン集団も先頭2人と1分ほどの後ろまで迫っており、追いつくのは時間の問題に。ホームチームのUAEチームエミレーツが集団を率い、そのペースについていけない選手が続々と出てくる。また、スプリント系の選手たちは平坦区間で役目を終えて、山岳ではゆっくりと後退していった。

© LaPresse

残り3kmでイェーツがレムコを振り切る

大きな局面は、まず残り6kmでやってくる。アシストたちのペースメイクを受けたイェーツがアタック。すかさず反応したのはリーダージャージのエヴェネプールとセップ・クス(ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)の2人。個人総合2位につけるルーク・プラップ(イネオス・グレナディアーズ、オーストラリア)と同じく3位のペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)は一定ペースで前を追うことを選択。

ペースを上げた3人は、残り5.5kmで先頭を走っていた2人に追いつき、そのままパス。いよいよ山岳頂上決戦へ。その後ろではビルバオがプラップを引き離して、単独で前を追いかける。

リーダーのエヴェネプール自らが先頭に立って上り続けていると、クスがついていけずに脱落。追っていたビルバオがクスに追いつき、さらにはジョフリー・ブシャール(アージェードゥーゼール・シトロエンチーム、フランス)が猛然と上がってきた。

© LaPresse

そして決定打は残り3km。トップを走っていた2人からイェーツが満を持してアタック。勾配が最も厳しくなるポイントで仕掛けると、エヴェネプールは追いかけることができず。しばらくしてペースを取り戻すが、一気のペースアップで貯金を得たイェーツはそのままフィニッシュ目指して突き進んでいく。

© LaPresse

そして山頂のフィニッシュラインへ、イェーツが一番に現れた。今大会は序盤の出遅れもあり、ホームレースでの個人総合優勝は難しい情勢になっていたが、ここへきて調子を上げて意地のステージ優勝。今季UAEチームエミレーツ入りしたが、総合エースにふさわしい力があることを証明してみせた。

© LaPresse

イェーツから10秒後、2番手でフィニッシュへとやってきたのがエヴェネプール。イェーツのアタックには屈したが、大崩れすることなく走り切った。これで個人総合優勝が決定。昨年のブエルタ・ア・エスパーニャとロード世界選手権の王者が、また1つ勲章を手に。今年はこの大会と同じ主催者のジロ・デ・イタリアを目標にすることを宣言しており、その足掛かりとなる勝利になった。

©️ Sprint Cycling Agency

ステージ3位にはブシャールがビルバオとの競り合いに勝って先着。個人総合2位を守りたいプラップは一度離されたビルバオに追いつく粘りの走り。総合での順位を落とすことなく、殊勲のリザルトとなった。

トップライダーが集結した中東レースは、これで終結。シーズン前半を盛り上げ、春のビッグレースへとつながる好勝負が多数見られた。UCIワールドツアーは、3月に入り4日にストラーデビアンケ(イタリア)、5日からはパリ~ニース(フランス)、6日からティレーノ~アドリアティコ(イタリア)がそれぞれ開幕する。

©️ Sprint Cycling Agency

ステージ優勝 アダム・イェーツ コメント

©️ Sprint Cycling Agency

上り始めの10分がとてもうまくいった。アタックしたときにはレムコとセップ・クスが追いついてきて、再度のアタックで勝負が決まった。勾配の最も厳しい区間で仕掛けたが、それが私に一番ピッタリの方法だった。それでも、レムコは私の後ろを走りながら何をすべきか理解していたようで、さすがに私が1分以上の総合タイム差を逆転することは難しかった。UAEチームエミレーツは私を信頼してくれていて、ホームレースで勝利に導いてくれたことに感謝している。

個人総合優勝 レムコ・エヴェネプール コメント

© LaPresse

上りの最初から最後まで全力で走ったし、山岳のトレーニングが不足気味だった中でのこの結果なので走りそのものには満足している。このレースで勝てるとは思っていなかった。1週間を通して調子が良く、今日はレッドジャージ(リーダージャージ)のために戦いたいと思っていた。ジロに向けてはまだまだ改善の余地があるが、この勝利には満足している。

UAEツアー2023 第7ステージ結果

ステージ結果

1 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス) 3:29’42”
2 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+0’10”
3 ジョフリー・ブシャール(アージェードゥーゼール・シトロエンチーム、フランス)+0’42”
4 セップ・クス(ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)+0’47”
5 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)+0’54”
6 ルーク・プラップ(イネオス・グレナディアーズ、オーストラリア)
7 ワウト・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス、オランダ)+1’16”
8 アントニオ・ティベーリ(トレック・セガフレード、イタリア)
9 ベン・ツィーホフ(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)+1’25”
10 マイケル・ストーラー(グルパマ・エフデジ、オーストラリア)

個人総合時間賞

1 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー) 23:25’26”
2 ルーク・プラップ(イネオス・グレナディアーズ、オーストラリア)+0’59”
3 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+1’00”
4 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)+1’03”
5 セップ・クス(ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)+2’06”
6 ワウト・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス、オランダ)+2’18”
7 アントニオ・ティベーリ(トレック・セガフレード、イタリア)+2’33”
8 ベン・ツィーホフ(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)+2’38”
9 エマヌエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)
10 ハルム・ファンハウケ(チーム ディーエスエム、ベルギー)+2’40”

ポイント賞

ティム・メルリール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)

ヤングライダー賞

レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)

中間スプリント賞

エドワルト・プランカールト(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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