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ワウト・マチュー・ポガチャルの3強が軸! ロンド・ファン・フラーンデレン展望|ロードレースジャーナル

vol.55 石畳全勝のユンボはワウト一択、マチューは2連覇へ万全の調整
独走に持ち込みたいポガチャルはスタミナを武器に

国内外のロードレース情報を専門的にお届けする連載「ロードレースジャーナル」。ロードシーンは4月に入り、春のクラシック戦線がより一層深みを増してくる時期へ。特に華となるレースの1つが、自転車王国ベルギー最高峰のレース「ロンド・ファン・フラーンデレン」だ。ワンデーレース最高権威ともいわれる名誉ある戦いは、4月2日に開催。同国のエース、ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ)に、2連覇を狙うマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)、そしてツール・ド・フランス覇者にしてクラシックへの強い執念を燃やすタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)の3人が軸となる戦いだ。激戦必至のレースへ思いをはせるべく、注目選手やコースをプレビューする。

名所クワレモント、パテルベルグでの好勝負に期待

クラシックレースの中でもとりわけ歴史と伝統を誇る「モニュメント」の1つに数えられているロンド・ファン・フラーンデレン。ロードレースが国技のベルギーでは最も格式の高いレースとされ、このレースの勝者は“キング・オブ・クラシック”として称えられる。

「クラシックの王様」が初開催されたのは1913年。今回で107回目となる。レースステータスが高いゆえんは、そうした歴史ときわめて過酷なコース設定によるところが大きい。例年250kmを超える長距離、テクニカルなルートセッティング、次々とやってくるパヴェ(石畳)や急坂……そんな要素が複雑に絡み合い、選手たちをふるいにかける。ときに目まぐるしい天候の変化も加わり、予想をくつがえす……いや、はるかにしのぐ展開となることも。

多くのファンが注目する「クラシックの王様」ロンド・ファン・フラーンデレン © Flanders Classics

本記執筆中の日本時間4月1日午前時点では、開催地の天候(レース開催日4月2日)は晴れ、最高気温は9度との予報である。

そんなコンディション下でのレースは、昨年とほぼ同じ273.4kmで争われる。前回はアントウェルペンをスタートし南西に針路をとったが、今回は逆側のブルッヘを出発し、南東へ進行。フィニッシュ地のアウデナールデを目指す。

ブルッヘからしばしのワンウェイルートはほぼ平坦。重要なのは、レース半ばからの周回ルート。パヴェ区間6カ所、登坂区間19カ所(路面が石畳の箇所も含まれる)が待ち受ける。

なかでも注目は、3回(136.8km地点、218.8km地点、256.7km地点)登坂するおなじみのオウデ・クワレモント(登坂距離2.2km、平均勾配4%、最大勾配11.6%)と、2回登坂(222.3km地点、260.1km地点)のパテルベルグ(0.36km、12.9%、20.3%)。この2カ所で決定打が生まれることが多く、それぞれ3回目と2回目はレース終盤とあり、優勝争いの最重要局面となることは間違いない。2回目のパテルベルグを越えると、フィニッシュまではおおよそ13km。ここで独走に持ち込めるか、はたまた小集団か、いや大集団か。そのときの状況によって、最終盤の展開は大きく変わってくる。

そのほかでは、ファルケンベルグ(184.9km地点)や、ベルグ・テン・ホウト(197.4km)などでも展開が変化するケースがあり、今回も有力選手たちが前線へ顔を見せ始めるタイミングであると考えられる。そうなれば、メイン集団の絞り込みやペースアップが発生する可能性が高い。

第107回ロンド・ファン・フラーンデレン コースマップ

充実ユンボはワウトで。マチューとポガチャルは拠点で再調整

クラシックシーズンに入って、ユンボ・ヴィスマの充実ぶりが著しい。ここまで開催されてきた主要な石畳系レースをすべて勝っているのである。

内訳は、オムロープ・ヘットニュースブラット(2月25日)でディラン・ファンバーレ(オランダ)、クールネ~ブリュッセル~クールネ(2月26日)でティシュ・ベノート(ベルギー)、E3サクソ・クラシック(3月24日)でワウト、ヘント~ウェヴェルヘム(3月26日)でクリストフ・ラポルト(フランス)、ドワルス・ドール・フラーンデレン(3月29日)で同じくラポルト。

これだけのタレントを有するが、いわば“本番”のフランドルへはもちろん、ワウトをエースに擁立する。特に、フランドルに類似するルートを使ったE3でマチュー、ポガチャルとの三つどもえ戦に勝利。ワンデーレースでの最終局面で後につくことの多かったマチューに対してスプリントで勝ったことも大きい。さらに、直後のヘント~ウェヴェルヘムではラポルトと2人で50km以上逃げて、そのままフィニッシュする驚異的な戦いぶり。勝利こそラポルトに譲ったが、要所では単独先頭になる場面も見られ、誰の目にもワウトの強さは明らかだった。

自国最大のレースでの勝利はいまだなし。昨年は直前の体調不良で欠場した悔しさもあり、今年にかける思いは強い。彼を支えるべく、前述のラポルトやベノートのほか、随所で好アシストを見せるネイサン・ファンホーイドンク(ベルギー)らも控える。ファンバーレがE3での落車負傷で戦列を離れているが、それでも今大会最高の布陣であることは間違いない。

今大会最高の戦力を誇るユンボ・ヴィスマ。フランドルはやはりワウト・ファンアールト(右)を軸に戦う。主要レース2勝しているクリストフ・ラポルト(左)の働きもポイント © Flanders Classics

ユンボ・ヴィスマのチーム力に個人でも打開できる力を持つのが、マチューだ。2連覇がかかる今回は、ワウトに敗れたE3後にスペインの自宅へ戻って再調整。父・アドリ氏によれば、「勝った昨年より調子は良い」とのこと。そのアドリ氏は1986年のこの大会を制しており、息子マチューにとっては“父超え”となる2回目の優勝に挑む。ミラノ~サンレモで魅せた鮮烈な走りを思えば、ここ一番の爆発力は誰も追随できないだろう。

ミラノ〜サンレモでの勝利が印象的なマチュー・ファンデルプール。スペインでの調整を経てフランドルに臨む ©️ LaPresse

この2人と並ぶのが、過去2回ツールを制しているポガチャル。昨年は初出場でダークホース的存在だったが(それでも優勝争いに絡んで4位)、いよいよ今回は本命の1人となる。先のE3ではワウト、マチューに続く3位だったが、オウデ・クワレモントなど石畳の急坂区間で再三攻撃を仕掛けた。決定打を欠いたものの、十二分に北のクラシックを戦えることを示している。こちらも一度モナコの自宅へ戻って調整。3月31日にチームが行ったプレスカンファレンス(記者会見)では、「270kmを超える距離は私にとって大きなアドバンテージ。スタミナでは負けない。ワウトとマチューに対して、独走に持ち込むことが勝利への近道」とプランを語った。

石畳系クラシックにも強さを発揮するタデイ・ポガチャル。フランドル制覇の鍵は独走にあると自己分析 ©️ A.S.O./Aurélien Vialatte

“3強”の力が群を抜いているが、他の選手にもチャンスがないわけではない。前回3位のヴァランタン・マデュアス(フランス)と戦い方を知るシュテファン・キュング(スイス)はグルパマ・エフデジの2枚看板。E3ではキュング6位、マデュアス8位と共闘態勢が整った。両者とも、コンビネーションでの上位進出に自信を見せる。

イネオス・グレナディアーズは、ティレーノ~アドリアティコでの落車で脳震盪に見舞われたトーマス・ピドコック(イギリス)がギリギリ間に合った。最終テストとして臨んだドワルス・ドール・フラーンデレンで11位にまとめ、満を持してエースを務める。なお、フィリッポ・ガンナ(イタリア)はパリ~ルーベ(4月9日)に備えるため、フランドルを回避する。

脳震盪からの戦線離脱から戻ったトーマス・ピドコック。上位争いに加わっていけるか ©️ LaPresse

今季の石畳系レースで安定して上位に顔を見せているのがマテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス、スロベニア)。タフなレースほど真価を発揮するだけに、優勝争いに加わる可能性は十分。トレック・セガフレードのダブルリーダー、ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー)とマッズ・ピーダスン(デンマーク)は小集団の争いに持ち込めるとチャンスあり。

かたや、この春のクラシックで苦戦を強いられているのがスーダル・クイックステップである。主要な石畳系レースでは優勝争いにすら選手を送り込めない状況が続いており、チームマネージャーのパトリック・ルフェヴェル氏も頭を抱えているという。フランドルへは、2年前の覇者カスパー・アスグリーン(デンマーク)、ジュリアン・アラフィリップ(フランス)、イヴ・ランパールト(ベルギー)といった限りなくベストに近い布陣を敷いて挑む。ホームレースで名誉挽回となるか、運命の一戦だ。

クラシックシーズン不調のスーダル・クイックステップ。ジュリアン・アラフィリップらが名誉挽回を狙う ©️ GettySport

このほか、ブノワ・コスヌフロワ(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス)、カレブ・ユアン(ロット・デスティニー、オーストラリア)、マイケル・マシューズ(チーム ジェイコ・アルウラー、オーストラリア)、ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ、エリトリア)といった選手たちも集結。アレクサンドル・クリストフ(ウノエックス・プロサイクリングチーム、ノルウェー)、ペテル・サガン(トタルエナジーズ、スロバキア)の優勝経験者、ドワルス・ドール・フラーンデレンで2位に入り一躍注目株となったオイエル・ラスカノ(モビスター チーム、スペイン)らもスタートラインにつく。

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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