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ポガチャルvsレムコに注目! リエージュ~バストーニュ~リエージュ|ロードレースジャーナル

vol.58 ポガチャルとレムコが今季初対戦
ハットトリックかリエージュ2連覇か、はたまた……世紀の一戦

国内外のロードレース情報を専門的にお届けする連載「ロードレースジャーナル」。春のクラシックはいよいよ最終戦。ロードレース界で最も歴史のあるワンデーレース、リエージュ~バストーニュ~リエージュが4月23日に開催される。これまで数多くの名勝負が生まれているが、今年は一層注目度の高いレースになる。なぜなら、アルデンヌクラシック・ハットトリックがかかるタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)と、この大会2連覇がかかるレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)の直接対決が見られるからだ! そんな世紀の一戦をプレビューしていこう。

前回はレムコが驚異の独走劇。独走か小集団か、運命は最後の35kmで決まる

リエージュ~バストーニュ~リエージュの初開催は1892年。ツール・ド・フランスが初めて行われたのが1903年で、それ以上の歴史を有するレースである。「ラ・ドワイエンヌ(la Doyenne・最古参)」との別名にもそんな意味が含まれている。ワンデーレースの中でもとりわけ歴史と格式が高い「モニュメント」の1つに数えられ、ここでの勝利は大きな栄誉とされる。

©️ A.S.O./Gautier Demouveaux

ベルギー南部のフランス語圏・ワロン地域の丘陵地帯が舞台となり、レース名のとおりリエージュを出発。しばし南下してバストーニュの街で折り返して、リエージュへと戻るコースセッティング。両都市を基点として8の字を描くようなルーティングになっている。

例年260km前後とレース距離が長いが、今年もそれに違わず258.1kmで争われる。その間に11カ所の登坂区間を越える。特にバストーニュで折り返した後のレース中盤から後半にかけては上りが10カ所と集中。全行程の獲得標高は4500mに迫り、常に高低の変化の中を走る状態になる。

フィニッシュまで約95kmのコート・ド・モン・ル・ソワ(登坂距離1.7km、平均勾配7.9%)に始まり、コート・ド・ワンヌ(3.6km、5.1%)、コート・ド・ストクー(1km、12.5%)、コート・ド・オート・ルヴェ(2.2km、7.5%)と連続する上りで最初のふるい分け。

残り約60kmのコル・ドゥ・ロジエ(4.4km、5.9%)、13km進んだ先のコート・ド・デニエ(1.6km、8.1%)を越えた頃には、メイン集団の人数が絞られていることだろう。

最後の35kmは2年前までのルートが復活。コート・ド・ラ・ルドゥット(1.6km、9.4%)は先制攻撃のポイントとなることが多く、各チームの準エース級がまずは動き出すか。この後に小さなアップダウンをこなして、2年ぶりのコース採用となるコート・デ・フォルジュ(1.3km、7.8%)を上る。

そして、最大のヤマ場となるのが最後の登坂区間コート・ド・ラ・ロシュ・オ・フォーコン(1.3km、11%、最大勾配13.2%)。ここでの仕掛けで独走に持ち込む選手がいるのか、または小集団となるのか。その状況によって、最終局面の展開は大きく変わってくる。この頂上で、フィニッシュまでは13.3km。あとは小さな上りと長い下りをこなして、リエージュの街へ向かう平坦区間となる。

前回は残り約30kmで上ったコート・ド・ラ・ルドゥットでレムコがアタックに成功。そのまま独走に持ち込んでフィニッシュへ到達した。それまではコート・ド・ラ・ロシュ・オ・フォーコンでアタックに成功した選手の逃げ切り、または小集団でのラスト勝負だったことから、型破りな勝ちっぷりは大きな驚きとなった。

アムステル・ゴールドレースやラ・フレーシュ・ワロンヌと比較し、主要な登坂区間の距離が長く、クラシックハンターよりもグランツールレーサーやクライマーが有利に働くことも多い。さらに、レムコのように際立つ独走力を誇る選手が流れをつかめば、昨年のような驚異的な勝ち方が見られる可能性もある。

スプリングクラシック千秋楽にビッグネーム集結。新城幸也の出場も決定!

例年注目度が高いレースではあるが、今年は特に「何か大きなことが起こるのでは……」との期待が高まっている。やはりポガチャルとレムコの直接対決がそのムードを高めているといえよう。

ポガチャルは4月16日のアムステル・ゴールドレース、19日のラ・フレーシュ・ワロンヌともに快勝。リエージュを勝てば、史上3人目のアルデンヌクラシック・ハットトリックを達成することに。ツール・ド・フランス個人総合優勝経験者では、初の快挙ともなる。

©️ A.S.O./Maxime Delobel

ポガチャルは今季、ステージレースとワンデーレース合わせて8大会に出場し6勝のハイアベレージ。ステージ優勝も含めると12勝と、2月のシーズンイン以降絶好調をキープ。勝負どころでのアタックが冴えわたり、ロンド・ファン・フラーンデレンやアムステルのように独走に持ち込めば他の追随を許さない。それでいて、この大会では2年前に5人cによる争いをスプリントで制するなど、フィニッシュまでのスピードも見せる。アシスト陣も登坂力・スピードそれぞれに長けたメンバーがそろい、いかなる展開にも対応できる布陣を敷く。フレーシュでは終始UAEチームエミレーツがレースを統率したが、今度も同様の流れとなることが想定される。

ポガチャルを止めるとするなら誰か。総大将はやはりレムコだろう。昨年の独走劇は、その後の勝ちパターン形成のきっかけになった。フィニッシュまで20~30kmを残して単独先頭に立ち逃げ切る戦い方は、マイヨアルカンシエルを獲った世界選手権などでも光った。ただ、今回は同じような勝ち方ができるポガチャルがいるので、その状況を作り出すのはかなり難しいとみられる。もっとも、早い段階で仕掛けてポガチャルとのマッチアップという究極の展開になることも考えられる。

© David Ramos / Getty Images

レムコ自身、「スプリントになってもポガチャルとの勝負は十分にできる」と自信を見せる。その証拠に、3月に出場したボルタ・ア・カタルーニャでは個人総合2位だったものの、毎ステージのようにプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、リエージュは欠場)とフィニッシュ前でスプリントで勝負した。スピードのあるログリッチ相手では分が悪かったものの、ギリギリまで追い詰めたことは大きな収穫だった。同程度のスプリント力であるポガチャルにも迫っていける手ごたえはつかんでいる。

今大会には5月上旬からのジロ・デ・イタリアに向けた最終テストにも位置づけており、スペイン・カナリア諸島での高地トレーニングの成果が見られそう。スーダル・クイックステップはこの春不発だが、ここへきてジュリアン・アラフィリップ(フランス)がケガから復帰。ほぼベストなメンバーで挑めるとあり、UAEに迫る戦力を整える。

ポガチャルとレムコの強さが抜きんでているとはいえ、他選手にもチャンスはある。マティアス・スケルモース(トレック・セガフレード、デンマーク)は、2位に入ったフレーシュに続く殊勲なるか。トレック・セガフレードには、ジュリオ・チッコーネ(イタリア)やバウケ・モレマ(オランダ)も控える。

©️ A.S.O./Maxime Delobel

フレーシュで3位のミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)は、リエージュでも表彰台を目指す。ペリョ・ビルバオ(スペイン)も控えるほか、これまで数シーズン両者を支えてきた新城幸也がメンバー入り。体調を崩し休養をしていたが、ビッグレースにしっかり合わせてきた。

アムステルで2位と大健闘したベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト、アイルランド)は長丁場かつ起伏の激しいレースでどこまで対応できるか。展開次第ではニールソン・パウレス(アメリカ)が上位戦線に加わってくることも。

トーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)は、不発に終わったフレーシュからの修正を図ってスタートラインへ。ポガチャルやレムコに食らいついて、終盤勝負にもっていきたい。

© Getty Images

前回大会2位のクインテン・ヘルマンス(ベルギー)は今年、アルペシン・ドゥクーニンクのエースとして出走。2018年には2位に入っているマイケル・ウッズ(イスラエル・プレミアテック)も、フレーシュでの走りを見る限り好調だ。エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)、アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ)といったグランツールレーサーも、コース適性は高い。

今大会には25チームが出場。日本時間17時35分にスタートし、フィニッシュは23時35分頃と見込まれている。

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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