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ツール・ド・フランス2023有力選手プレビュー、ヴィンゲゴーとポガチャルの激闘再び!?

いよいよ、世界最大のロードレースイベント「ツール・ド・フランス」の2023年大会が開幕を迎える。今回のグランデパール(開幕地)はスペインはバスク自治州のビルバオ。3週間をかけてフランスの首都・パリはシャンゼリゼを目指す。総走行距離は3405.6km。出場22チーム・全176選手の顔触れがおおむね出そろったところで、今大会の注目選手を挙げてみよう。

INDEX

マイヨ・ジョーヌ争いは前回に続きヴィンゲゴーとポガチャルの2強か

昨年のツールでは、結果的に個人総合優勝を挙げるヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)とタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)の歴史的激闘が演じられ、山岳や個人タイムトライアルはもとより、平坦ステージも含めて、彼らの動向が日々注目されるものとなった。

あれから1年。ヴィンゲゴーはすっかりプロトンきってのステージレーサーとなり、ポガチャルもステージレースやワンデーレース問わずタイトルを総なめに。ロードレース界はこの2人を中心に回っていると言っても過言ではないだろう。両者とも“約束どおり”ツールに帰還する。

ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)

©️ A.S.O./Aurélien Vialatte

ヴィンゲゴーはツール前哨戦のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネで、個人総合2位以下に2分以上の大差をつける圧勝。山岳を中心に2勝を挙げて、ツールに向けても視界は良好。ユンボ・ヴィスマはアシストを含めたメンバー編成を早くから固め、ほぼ同一メンバーで高地トレーニングを行うなど準備を進めてきた。昨年に続くマイヨ・ヴェール候補のワウト・ファンアールト(ベルギー)や、ドーフィネでは2勝を挙げてポイント賞にも輝いたクリストフ・ラポルト(フランス)、セップ・クス(アメリカ)といった堅実な山岳系ライダーまで隙のない布陣。今季加入のディラン・ファンバーレはチーム本拠のオランダのチャンピオンとして、ツールに乗り込む。先のジロ・デ・イタリアを制したプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)はメンバーに入らず、チーム最大ミッションはヴィンゲゴーの個人総合2連覇一択である。

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

©️ A.S.O./Charly Lopez

ポガチャルも今年は春まで順調そのものだった。体調の問題でシーズンインの時期をずらしたものの、3月にはパリ~ニースでヴィンゲゴーに勝ち、春のクラシックではロンド・ファン・フラーンデレン、アムステル・ゴールドレース、ラ・フレーシュ・ワロンヌで圧勝。そんな流れを一変させたリエージュ~バストーニュ~リエージュでのクラッシュは、手首の骨折とともにツールへ暗雲が立ち込めたかに思われた。しかし、驚異のスピードで回復し、復帰戦となったスロベニア選手権では個人TT、ロードともに完勝。しっかりと仕上げてきている。

©️ A.S.O./Billy Ceusters

ポガチャルにとって何よりの援軍となるのが、今季加入し、ここまでエースとして結果を残しているアダム・イェーツ(イギリス)の存在だ。UAEツアー、ツール・ド・ロマンディとビッグレースで勝ち、先のドーフィネでも個人総合2位。ヴィンゲゴーから大きく水をあけられてしまったが、それでもツールの上位を狙えるだけの力は十二分にあるといえる。そんな彼が、ポガチャルの山岳最終アシストを務める。もっとも、TT能力も向上し、今大会1回(第16ステージ)だけある上り基調の個人TTでも好走が期待できる。UAEチームエミレーツとしては、イェーツをどう生かしていくのかは、ポガチャルを上に押し上げていくうえでの重要なファクターとなるだろう。

ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)

Photo: Syunsuke FUKUMITSU

山岳比重の高い今大会は、クライマー寄りの選手たちに可能性が膨らむ。昨年のジロ覇者のジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)は、満を持して初のツールに臨む。今季はビッグリザルトこそまだないものの、ドーフィネは個人総合4位にまとめ、調子を上げてきていることは間違いない。

ベン・オコーナー(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、オーストラリア)

©️ A.S.O./Charly Lopez

ヒンドレーと公私ともに近い関係にあるベン・オコーナー(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、オーストラリア)は、ドーフィネでヒンドレーの上を行く個人総合3位。山岳ステージでは確実に上位を押さえており、ツール本番でも戦える状態にあることは間違いない。昨年は落車負傷で大会を途中で去ったが、今回はその雪辱にも燃える。

リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)

Photo: Syunsuke FUKUMITSU

ドーフィネでは失速してしまったリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)も、当然本番には合わせてくるはず。新たな環境での初年度は、ここまでレース数を絞ってツールに集中する構えをとってきている。個人総合の最高位は2021年の3位。長年チームを引っ張ってきたリゴベルト・ウラン(コロンビア)から総合エースの座を継承されるであろう今大会で、きっちりと成果を上げたい。

スペイン選手ダブルエースで挑むバーレーン・ヴィクトリアス
ミケル・ランダとペリョ・ビルバオ

Photo: Syunsuke FUKUMITSU

バーレーン・ヴィクトリアスのダブルリーダー、ミケル・ランダとペリョ・ビルバオ(ともにスペイン)も地元であり、今回の開幕地のバスクをにぎわせることだろう。ここでの応援を背に3週間を走り切りたい。山岳ステージを取りこぼしなく走れれば、総合表彰台も現実的なものになる。

エンリク・マス(モビスター チーム)

Photo: Syunsuke FUKUMITSU

同じくスペイン勢では、エンリク・マス(モビスター チーム)も上位候補。昨年は途中リタイアに終わり、この大会の総合表彰台との縁もまだないが、今年こそ好成績を挙げたいところ。山岳アシストもそろっており、今年は単独エースとしてスタートラインにつく。

エガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)

©️ A.S.O./Charly Lopez

昨年の大事故を乗り越え、ツールに戻ってくるエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)は、どんな走りを見せるか。まだまだ完全復活とはいっていないが、ところどころでチャンピオンの走りの片鱗を見せている。今大会には若き総合エースのカルロス・ロドリゲス(スペイン)がメンバー入りしており、ベルナルとともにチームを押し上げていく役割が課されている。

マティアス・スケルモース(リドル・トレック、デンマーク)

Photo: Buchli Fotografie | Sam Buchli

ヤングライダーでは、ドーフィネと並ぶ前哨戦のツール・ド・スイスを制した22歳のマティアス・スケルモース(リドル・トレック、デンマーク)の台頭が著しい。ラ・フレーシュ・ワロンヌではポガチャルを追って2位に入るなど、ビッグレースできっちり上位を押さえる走りでチームリーダーにふさわしい姿を見せている。一大勢力となっているデンマークに、また新たな力が現れ、このツールを席巻する可能性が高まっている。チームには経験豊富なジュリオ・チッコーネ(イタリア)も控えており、そろって上位進出を狙っていく体制を整えている。

ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ)

Photo: Syunsuke FUKUMITSU

そしてツールといえば、地元フランス勢の走りにも期待が高まる。ここ数年は総合表彰台に手が届いていないが、ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ)が昨年4位になっており、今回はさらに上を行けるかが見もの。今年で現役を退くチームメートのティボー・ピノから受け継ぐフランス人エースの流れを断ち切るわけにはいかない。また、「目標はステージ優勝」と公言するロマン・バルデ(チーム ディーエスエム・フィルメニッヒ)も、力どおり走れば個人総合でも上位には入ってくるだろう。

マイヨ・ヴェール2連覇かかるワウトの動向に注目

マイヨ・ジョーヌに続く目玉、ポイント賞のマイヨ・ヴェール争い。

ツールのポイント付与は、各ステージ1カ所ずつ設定される中間スプリントポイントを15位以内に通過するか、ステージ15位以内に入るかに限定される。ステージの難易度によってフィニッシュ時の付与ポイントが変わるが、いずれにせよコンスタントにポイントを稼げる脚が必要になってくる。傾向としては、平坦ステージでスプリント勝利できるだけの脚をもちつつ、丘陵や山岳ステージでも状況次第で逃げに入って、中間スプリントポイントを上位通過できる術を持つ選手が勝ち取っている。

ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)

Photo: Buchli Fotografie | Sam Buchli

その意味で、昨年初めてこの賞を取ったワウトが今回も筆頭格になりそうだ。前回はステージ3勝を挙げると同時に、要所でヴィンゲゴーを支え、マルチなところを見せつけた。ステージによっては逃げでポイント収集後、前待ちでヴィンゲゴーのアシスト、といった動きをしており、今年も同様の働き方になってくるだろうか。直前にはスイスを走っており、勝ち星こそなかったもののポイント賞を取っており、状態は悪くない。当然調子を合わせてくるだろう。

マチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)

Photo: Syunsuke FUKUMITSU

本来であれば、ワウトの対抗馬はマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)となってくるが、狙いをどう定めてくるかでこの賞に対する意思が見えてきそうだ。チームにはエーススプリンターのヤスペル・フィリプセン(ベルギー)が控えており、“最強のリードアウトマン”としての働きもある。どこかでステージ優勝を狙ってくることが考えられるが、賞レースに加わるために3週間をトータルに走るかは未知数。実力だけで見れば、大いにチャンスがあることは間違いない。

マッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)

Photo: Syunsuke FUKUMITSU

マッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)もスプリント、逃げと万能で、この賞を手にする資格は十分にある。順当にいけば平坦ステージではコンスタントに上位入りするであろうことから、ポイント収集の状況次第では、丘陵や山岳でも逃げてマイヨ・ヴェールへの意識の高さを見せてくるかもしれない。

ディラン・フルーネウェーヘン(チーム ジェイコ・アルウラー、オランダ)

Photo: Syunsuke FUKUMITSU

ピュアスプリンターでは、フィリプセンのほか、今季6勝と好調のディラン・フルーネウェーヘン(チーム ジェイコ・アルウラー、オランダ)、直前のベルギー・ツアーで良いところを見せたファビオ・ヤコブセン(スーダル・クイックステップ、オランダ)らがひしめく。昨年のツールでも平坦ステージをにぎわせたこの3人が、まずは中心となってくる。

ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ、エリトリア)

Photo: Syunsuke FUKUMITSU

ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ、エリトリア)も、スイスの1勝でスプリント戦線の一員に名乗りを上げる。昨年はジロで劇的勝利を挙げ、そのスピードはワールドクラスにふさわしいもの。もともと平坦に強いチームだけに、メンバーをそろえる今回はより一層フィニッシュ前を席巻する可能性を秘める。

カレブ・ユアン(ロット・デスティニー、オーストラリア)

Photo: Syunsuke FUKUMITSU

今季はまだ1勝と“控え目”なカレブ・ユアン(ロット・デスティニー、オーストラリア)や、スプリント王国のボーラ・ハンスグローエのフィニッシュ前を任されるヨルディ・メーウス(ベルギー)も奮起するか。初出場のウノエックス・プロサイクリングチームは、ベテランのアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)が押しも押されもせぬチームリーダーとしてツールに乗り込む。

マーク・カヴェンディッシュ(アスタナ・カザクスタン チーム、イギリス)

Photo: Syunsuke FUKUMITSU

そして、これが最後のツールになるマーク・カヴェンディッシュ(アスタナ・カザクスタン チーム、イギリス)の“ラストダンス”も見逃せない。ジロでは最終日に勝つという最高のストーリーを演じてみせたが、ツールでもその再現となるか。もっとも、ツール通算34勝と、現時点でエディ・メルクス氏とならぶ最多勝にあり、今回1つでも勝てば単独トップに立つ。大仕事が待っており、感傷に浸るのはまだまだ早い。

その他の見どころ、山岳賞と新人賞争いにも注目

ここ3年は個人総合成績がそのまま反映されている山岳賞のマイヨ・アポワ。レース展開次第の側面も強いが、山岳逃げから同賞を狙っていく選手が出てくることを期待したい。その筆頭として、ピノを上げておきたい。同賞を獲れば、ジロに続く山岳賞“2冠”を達成することになり、キャリア最後のツールに花を添える最高のシナリオと言えるだろう。

同様に、個人総合成績が直結しがちなヤングライダー賞(2023年中に25歳になる選手までが対象)のマイヨ・ブラン。ポガチャルが同賞対象最終年(9月に25歳になる)で、順当にいけば“4連覇”達成は固い。ただ、前述した総合系ライダーのうち、ロドリゲスやスケルモースらが大飛躍する可能性もあり、彼らの走り次第では「新時代到来」なんてことも。

©️ A.S.O./Charly Lopez

大会最初のマイヨ・ジョーヌ着用者が決まる第1ステージは、182kmの丘陵コース。全体を通して5カ所のカテゴリー山岳があり、大会初日から獲得標高は3300m。主催者いわく「史上最難関の第1ステージ」で、総合系ライダーやクラシックハンターらが「最初のイエロー」に執着しそう。ワウトやマチュー、ジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ、フランス)らも力を発揮できそうなコースだ。

なお、今大会にはのべ19人の各国チャンピオンがツールに集う。カラフルなプロトンにさらに彩りを加える国の王者たちの姿も楽しみにしよう。

ツール・ド・フランス2023に出場する各国王者
※R:ロード、T:個人タイムトライアル

グレゴール・ミュールベルガー(モビスター チーム)オーストリア R
ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ)ベルギー T
エステバン・チャベス(EFエデュケーション・イージーポスト)コロンビア R
マティアス・スケルモース(リドル・トレック)デンマーク R
カスパー・アスグリーン(スーダル・クイックステップ)デンマーク T
リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト)エクアドル R
ヴァランタン・マデュアス(グルパマ・エフデジ)フランス R
レミ・カヴァニャ(スーダル・クイックステップ)フランス T
エマヌエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグローエ)ドイツ R
ニルス・ポリッツ(ボーラ・ハンスグローエ)ドイツ T
フレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス)イギリス R
アレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・カザクスタン チーム)カザフスタン R,T
アレックス・キルシュ(リドル・トレック)ルクセンブルク R,T
ディラン・ファンバーレ(ユンボ・ヴィスマ)オランダ R
ソーレン・ヴァーレンショルト(ウノエックス・プロサイクリングチーム)ノルウェー R,T
ミハウ・クフィアトコフスキ(イネオス・グレナディアーズ)ポーランド T
タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)スロベニア R,T
ヨナタン・カストロヴィエホ(イネオス・グレナディアーズ)スペイン T
クイン・シモンズ(リドル・トレック)アメリカ R

 

【保存版】ツール・ド・フランス2023チームリスト&コースプレビューはこちら

ツール・ド・フランス2023 チームリスト&コースプレビュー

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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