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ポガチャルが勝利、マイヨ・ジョーヌはヴィンゲゴー|ツール・ド・フランス

ピレネー山脈を進行中のツール・ド・フランス。現地7月6日は第6ステージが行われ、名峰トゥールマレーを上って、コトレ・カンバスクへ。戦いはタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)とヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)の頂上決戦の様相となり、残り約3kmでアタックを決めたポガチャルが一番にフィニッシュへ。今大会1つ目となるステージ優勝を挙げるとともに、前日の遅れを部分的ながら取り戻すことに成功。24秒差でのフィニッシュとなったヴィンゲゴーの手には、前日からの総合タイムによりマイヨ・ジョーヌが渡っている。

ポガチャルが1日で28秒を取り戻す

ピレネー初日だった第5ステージでは、大人数の逃げからジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)が独走に持ち込みステージ優勝。同時にマイヨ・ジョーヌにも袖を通し、第6ステージはレースリーダーを務める。

©️ A.S.O./Charly Lopez

そんな1日は、今大会最初の山頂フィニッシュ。レース中盤以降に上級カテゴリーの登坂が続々と待っていて、1級コル・ド・アスパン(登坂距離12km、平均勾配6.5%)に始まり、超級山岳トゥールマレー(17.1km、7.3%)では標高2115mまで。ここには最高標高地点である「ジャック・ゴデ賞」が設けられる。31kmのダウンヒルをこなしたのち、フィニッシュラインが敷かれる1級のコトレ・カンバスク(16km、5.4%)へ。

スタート前の形勢としては、トップのヒンドレーから総合タイム差47秒でヴィンゲゴーが続き、ポガチャルは同じく1分40秒差の6位。このステージでどうシャッフルするかが見ものとなった。

©️ A.S.O./Charly Lopez

迎えたレースは、前日に続いてワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)やジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ、フランス)らのスタートアタックで始まり、13km地点で15人の先頭グループが形成される。さらに5人が追いかけて、やがて20人に膨らむ。その中には、ワウトやアラフィリップのほか、マチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)の姿も。29.9km地点に設定された3級山岳では、ニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト)が1位通過。42.2km地点に置かれた中間スプリントポイントは、ブライアン・コカール(コフィディス、フランス)がトップを取っている。

©️ A.S.O./Charly Lopez

レースが半ばとなり、1級山岳コル・ド・アスパンへ。先頭グループ、その後ろ約3分30秒で続いているメイン集団ともに、上りが進むにつれて人数が減っていく。頂上は再びパウレスが1位通過。メイン集団はリーダーチームのボーラ・ハンスグローエがペーシングを担って、山越えを果たしている。

14人まで人数が絞られた先頭グループは、超級山岳トゥールマレーへ。上り始めてしばらく進んだところで、先頭グループからアラフィリップがペースアップ。ただ、これは効果的な動きとはならず、再び一団に。主にワウトが牽引して進んでいく間に、マチューらが脱落。頂上に到達するころには5人に減り、ルーベン・ゲレイロ(モビスター チーム、ポルトガル)との競り合いを制したトビアス・ヨハンネセン(ウノエックス・プロサイクリングチーム、ノルウェー)が1位通過した。

©️ A.S.O./Charly Lopez

タイミングを同じくして、メイン集団でも大きな局面が訪れる。主導権をユンボ・ヴィスマが取ると、徐々にペースアップ。セップ・クス(アメリカ)の引きでさらにスピードが上がると、前線にはヴィンゲゴー、ポガチャル、ヒンドレーだけに。すぐにヒンドレーが遅れたほか、クスの牽引が終わったところでヴィンゲゴーがアタックし、ポガチャルがすかさずチェック。“2強”と目される両者が他の総合系ライダーから先行して、そのまま逃げる選手たちを追う状況となった。

©️ A.S.O./Charly Lopez

大観衆でコースがふさがるほどのトゥールマレーの上りを終え、長いダウンヒルを迎えると、先頭グループからワウトが下がり、ヴィンゲゴーの合流を待つ。少ししてヴィンゲゴーとポガチャルが追いつくと、そこからはワウトの引きで下りを攻める。テクニカルな下りを終えた残り27km地点で前を走っていた4人に追いつき、先頭グループは再編成。8人になって、最後の上りであるコトレ・カンバスクに入った。

©️ A.S.O./Charly Lopez

引き続き牽引役はワウト。中腹に達する頃には人数を絞り込み、ヴィンゲゴーとポガチャルの“頂上決戦”へムードが高まっていく。そして残り4.5km。ワウトが引き終えたところでヴィンゲゴーがペースアップ。ポガチャルはシッティングで続き、一時的にミハウ・クフィアトコフスキ(イネオス・グレナディアーズ、ポーランド)も食らいついたが、ほどなくして下がっていった。

©️ A.S.O./Charly Lopez

今大会6日目にして絶対的マイヨ・ジョーヌ候補2人の争いへ。たびたびダンシングでペースを作るヴィンゲゴーに対し、シッティングで淡々と踏み続けるポガチャル。その形勢が崩れたのは、残り2.7kmだった。図ったようにポガチャルがアタックすると、ヴィンゲゴーは対応できず、あっという間にその差は広がっていく。

©️ A.S.O./Charly Lopez

残り2kmでようやく表情が苦しさでゆがんだポガチャル。それとは対照的にペダリングは力強いままで、ヴィンゲゴーとの差を徐々に、徐々に拡大する。最後まで勢いは衰えることなく、ポガチャルが今大会1勝目、ツール通算では10勝目となるステージ優勝を挙げた。

©️ A.S.O./Charly Lopez

今大会は開幕から好調に思われたポガチャルだったが、前日のステージではヴィンゲゴーのアタックに合わせられず、他の総合系ライダーと一緒にレースを終えていた。個人総合順位も下げていたが、その遅れをすぐに取り戻す快走。ガールフレンドがジロ・ドンネでクラッシュし負傷したことを心配する様子も見られたが、レースになれば最高の仕事をこなしてみせた。

©️ A.S.O./Charly Lopez

前日のリベンジを許したヴィンゲゴーは24秒差でのフィニッシュ。ヒンドレーが2分以上遅れてステージを終えたこともあり、マイヨ・ジョーヌに袖を通すことになった。このステージを終えた段階で、個人総合2位に上がってきたポガチャルとのタイム差は25秒。先に控えるステージを考えると、勝負はまだまだここからといったところだ。ちなみに、ヴィンゲゴーのトゥールマレー走行時間45分11秒は、2021年大会でダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ)がマークした47分35秒を上回ってStravaの新記録となった。

©️ A.S.O./Charly Lopez

この2人に差をつけられたものの、ステージ6位でまとめたヒンドレーは、マイヨ・ジョーヌこそ明け渡したが個人総合3位に踏みとどまっている。このほか、サイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)や、カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)などがランキングを上げている。

ピレネーでの2連戦を終えたプロトンは、翌7日に3日ぶりとなる平坦ステージをこなす。ワインどころボルドーにフィニッシュする、169.9kmのレースが予定されている。

ステージ優勝、ヤングライダー賞 タデイ・ポガチャル コメント

©️ A.S.O./Charly Lopez

「リベンジというほどでもないが、タイムを取り戻せたことは良かった。昨日の走りを心配してくれる人が多かった。ただただヨナス(ヴィンゲゴー)が強かったんだ。今日もトゥールマレーでユンボ・ヴィスマがコントロールを始めたから、昨日と同じような結果になるなら荷物をまとめて家に帰ろうと思ったくらいだよ(笑)

アタックは自分にとってベストだと感じたタイミングで行った。ツールの勝利は10回目。マーク(カヴェンディッシュ)、あなたが私の目標だ!(笑) もちろん冗談だよ。

今日の勝利はウルシュカ(ジロ・ドンネで落車負傷したガールフレンド)に捧げるよ。彼女はレースを走れず、自宅に帰ったのだけれど、私にすべての力を与えてくれたよ」

個人総合時間賞 ヨナス・ヴィンゲゴー コメント

©️ A.S.O./Charly Lopez

「マイヨ・ジョーヌを再び着る日がめぐってきてうれしい。トゥールマレーでアタックを成功させたかったが、力が足りていなかった。今日のタデイ(ポガチャル)は本当に強く、ステージ優勝に値する。彼が昨日から今日にかけて修正していても何の驚きもない。ここからはエキサイティングなツール・ド・フランスになっていくよ」

ツール・ド・フランス2023 第6ステージ結果

ステージ結果

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 3:54’27”
2 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)+0’24”
3 トビアス・ヨハンネセン(ウノエックス・プロサイクリングチーム、ノルウェー)+1’22”
4 ルーベン・ゲレイロ(モビスター チーム、ポルトガル)+2’06”
5 ジェームズ・ショー(EFエデュケーション・イージーポスト、イギリス)+2’15”
6 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)+2’15”
7 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)ST
8 サイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)
9 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+3’11”
10 ロマン・バルデ(チーム ディーエスエム・フェルメニッヒ、フランス)+3’12”

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク) 26:10’44”
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+0’25”
3 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)+1’34”
4 サイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)+3’14”
5 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+3’30”
6 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+3’40”
7 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)+4’03”
8 ロマン・バルデ(チーム ディーエスエム・フェルメニッヒ、フランス)+4’43”
9 トーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)ST
10 セップ・クス(ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)+5’28”

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

ニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト、アメリカ)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合時間賞

ユンボ・ヴィスマ 78:43’21”

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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