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全行程逃げたアスグリーンがツール初勝利。ヴィンゲゴーの首位は揺るがず|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランス第18ステージが現地7月20日に行われ、リアルスタートから逃げ続けたカスパー・アスグリーン(スーダル・クイックステップ、デンマーク)がステージ優勝。ツール初勝利を挙げた。個人総合上位陣に変動はなく、ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)がマイヨ・ジョーヌを着用し続ける。

ケガや体調不良を乗り越えたアスグリーンが復活の勝利

第2週後半からのアルプスステージが一段落し、最終決戦の場であるヴォージュ山脈へと移動していく。この日はムチエからブール・カン・ブレスまでの184.9km。久々の平坦ステージで、レイアウト的にはスプリンター向き。ただ、一部の有力スプリンターは大会を去っており、スピードマンを擁するチームも大会終盤にきてどこまでレースをコントロールできるか未知数。逃げ狙いの選手にもチャンスありとの声も上がった。

© A.S.O. / Charly Lopez

前々日の個人タイムトライアル、前日の山岳ステージでヴィンゲゴーはリード拡大に成功。とりわけ第17ステージでは最大のライバルであるタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)が大ブレーキ。総合タイム差が7分35秒に広がり、残りステージを考えるとリードを守り切る可能性は高まっていると見ることができる。まずはこのステージを無難に走り終えることが大切となる。

© A.S.O. / Charly Lopez

レースを前に、ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)が出走しないことを発表。間近に控える第2子の誕生に立ち会うため、今大会を早めに切り上げて帰宅することを選んだ。前日まで随所でのアシストが光り、大会第1週のベストアシストライダーにも選ばれている。ここでお役御免となり、残りのステージを仲間に託している。また、アントニー・ペレス(コフィディス、フランス)も出走を回避している。

152人がスタートを切ったレースは、アスグリーンのファーストアタックで幕開け。そこにヴィクトル・カンペナールツ(ロット・デスティニー、ベルギー)、ヨナス・アブラハムセン(ウノエックス・プロサイクリングチーム、ノルウェー)が同調。そのまま3人逃げとなって先を急いだ。

© A.S.O. / Charly Lopez

メイン集団はおおむね1分程度のタイム差にとどめてレースを展開。スプリンターチームが主にコントロールを担って、マイヨ・ヴェールのヤスペル・フィリプセン(ベルギー)擁するアルペシン・ドゥクーニンクや、チーム ジェイコ・アルウラー、チーム ディーエスエム・フィルメニッヒが前方を固めた。

© A.S.O. / Charly Lopez

長く全体の構図が変わらず進んだが、残り65kmで集団からパスカル・エインコールン(ロット・デスティニー、オランダ)がアタック。ほどなくして先頭3人に合流。これでロット勢が2人前線にメンバーを送り込む格好に。迎えた中間スプリントポイントはアブラハムセンが前に出て1位通過し、1分差でメイン集団が到達。スプリントで競う形にはならず、フィリプセンを集団の一番前に出て全体の5位通過としている。

残り30kmになろうかというところで、ボーラ・ハンスグローエとリドル・トレックも集団牽引を開始。タイム差は1分を切り、残り20kmで40秒。以降も着々と差を縮めて、残り15kmで30秒、残り10kmで20秒とした。

© A.S.O. / Charly Lopez

こうなると集団が有利に思われたが、逃げる4人も粘る。残り3kmで差は8秒となるが、そこから先が縮まらない。最終局面に向けては2人が控えるロット勢のうち、タイムトライアルを得意とするカンペナールツが引っ張る。集団もアルペシン・ドゥクーニンクを中心に追いかけるが、数秒差のまま最後の1kmを切った。

残り400mでカンペナールツが引き終え、スプリントタイミングを計る3人。後ろも迫っているが、ギリギリまで待って加速する構えだ。フィニッシュ前の250mは上り基調。勾配が変化したタイミングでアスグリーンがスプリントを開始。逆サイドからアブラハムセン、後ろからはエインコールンもスピードを上げるが、アスグリーンが前を譲らずステージ優勝を決めた。

©︎ A.S.O. / Pauline Ballet

グランツールでは初のステージ優勝を挙げた28歳のアスグリーン。2021年にはロンド・ファン・フラーンデレンを制するなど、北のクラシックでは優勝争いの常連。タイムトライアルを得意にしているほか、スプリントトレインの牽引役としてもチームの重要な戦力。昨年のツールではオーバートレーニング症候群で途中リタイアし、そのままシーズンを終了。復活をかけた今季は北のクラシックこそ不発だったが、ここにきて復調。エーススプリンターのファビオ・ヤコブセン(オランダ)が途中で大会を去った中、大仕事をやってのけた。

© A.S.O. / Charly Lopez

最後まで追いきれなかった集団は、アスグリーンらと同タイム扱いに。フィリプセンが先着し、今大会5勝目はならなかったもののポイントは加算。ヴィンゲゴーら個人総合上位陣もメイン集団内でレースを終え、順位の変動なく1日を終えている。

翌21日に行われる第19ステージも平坦にカテゴライズされる。172.8kmに設定され、この日勝ちを逃したスプリンター陣にとってはリベンジを狙うことになる。

ステージ優勝 カスパー・アスグリーン コメント

© A.S.O. / Charly Lopez

「逃げてはみたものの、状況は良くなかった。できるなら7~8人で逃げたいところだった。ここまで本当にハードだったし、集団に対して小さな逃げを試みたこともあったので、今日の状況にも諦めたりはしなかった。1日中タイムトライアル状態だったけど、一緒に逃げた選手たちはとても協力的だった。それぞれに力を費やし逃げ続けたことを思うと、全員が勝利に値すると思う。逃げ切れてとても良かった。

昨年のツール・ド・スイスでの落車以来、ここまで長かったがとても意味のあるものだったと思う。こうして勝てて最高の気分。困難な時期をともにしてくれたすべての人々、そして最後のツールにして最終シーズンを走っているドリース・デヴェナインスにこの勝利をささげたい」

個人総合時間賞 ヨナス・ヴィンゲゴー コメント

© A.S.O. / Charly Lopez

「ストレスの多い1日だった。逃げと集団との間でのせめぎあいがあり、最後はとても速いスピードだった。それでも、最後までスプリンターチームに集団をコントロールしてもらえて助かった。

今後数日間は、基本的に集中力を切らすことなく、トラブルに巻き込まれないようにしていきたい。その点において、今日のチームメートは素晴らしい仕事ぶりだった。リラックスするのはパリのステージが終わってからだ」

ツール・ド・フランス2023 第18ステージ結果

ステージ結果

1 カスパー・アスグリーン(スーダル・クイックステップ、デンマーク) 4:06’48”
2 パスカル・エインコールン(ロット・デスティニー、オランダ)ST
3 ヨナス・アブラハムセン(ウノエックス・プロサイクリングチーム、ノルウェー)
4 ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)
5 マッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)
6 ケース・ボル(アスタナ・カザクスタン チーム、オランダ)
7 ヨルディ・メーウス(ボーラ・ハンスグローエ、ベルギー)
8 マッテオ・トレンティン(UAEチームエミレーツ、イタリア)
9 クリストフ・ラポルト(ユンボ・ヴィスマ、フランス)
10 ルーカ・モッツァート(チーム アルケア・サムシック、イタリア)

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク) 72:04’39”
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+7’35”
3 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+10’45”
4 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+12’01”
5 サイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)+12’19”
6 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)+12’50”
7 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)+13’50”
8 フェリックス・ガル(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、オーストリア)+16’11”
9 セップ・クス(ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)+16’49”
10 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)+17’57”

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック、イタリア)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合時間賞

ユンボ・ヴィスマ 217:05’34”

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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