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ヴィンゲゴーがポガチャルに圧勝! 山岳個人TTで1分48秒差に|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランスは最終週・第3週の戦いがスタート。現地7月18日は第16ステージとして22.4kmの個人タイムトライアルが行われ、マイヨ・ジョーヌでスタートしたヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)が驚異的な走りでステージ優勝。最大のライバルであるタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)は1分38秒差の2位に終わり、両者の総合タイム差は1分48秒差に拡大した。

ひとり平均時速41km台で走破したヴィンゲゴー

大会第2週の後半からアルプス山脈を走っているプロトン。ヴィンゲゴーとポガチャルによる“2強”の争いは熾烈を極めており、2回目の休息日を前にその差は10秒。条件はほぼ同等で、第3週の走りですべてが決することに。

その皮切りとなる第16ステージは、22.4kmの個人タイムトライアル。山岳比重の高い今大会にあって唯一のタイムトライアルステージで、そのコースも山岳ルートといえるもの。全体を見ると、序盤に少し上って、その後下り基調。終盤にはコート・ド・ドマンシー(登坂距離2.5km、平均勾配9.4%)が控え、この登坂後もフィニッシュまで3.5kmの上り。アップダウンによるリズムの変化への対応、そして何より上りへの対応力が問われるルート。

© A.S.O. / Charly Lopez

コート・ド・ドマンシーは2016年大会第18ステージでの個人タイムトライアルにも採用されており、そのときは勝ったクリストファー・フルーム(当時チーム スカイ)はTTバイクで走破。ただ、上位陣の中にはノーマルバイクに交換した選手も多く、今回もバイクのチョイスが勝負のカギになる可能性を秘めた。

マイヨ・ジョーヌ争いにおける重要なステージを前に、現地では「ポガチャル有利」の評が多く見られた。山岳で見せるたびたびのアタックの力強さ、下りのテクニックなどを挙げる声が各所で聞かれ、追う者の強みがTTステージで生かされるかが見ものとなった。

© A.S.O. / Charly Lopez

個人総合の下位選手から順にコースへと繰り出すが、大会終盤の個人タイムトライアルとあって、多くが完走目的でセーフティー走行。しばらくは目立ったタイムが見られなかったが、47番目にスタートしたレミ・カヴァニャ(スーダル・クイックステップ、フランス)が35分42秒で走って当座の基準タイムとなる。

その後は長きにわたってトップタイム更新がなく、TTスペシャリストのシュテファン・キュング(グルパマ・エフデジ、スイス)なども後半にペースダウン。山岳TTの難しさを示す時間帯となった。

© A.S.O. / Charly Lopez

その流れを変えたのは、135番目に出走したワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)。7.1km地点の第1計測ポイント、16.1km地点の第2計測ポイントと数秒の後れを取るが、コート・ド・ドマンシーからペースアップ。ここを上り切った18.9km地点の第3計測ポイントでトップに立つと、フィニッシュは35分27秒。トップタイムを15秒更新し、2時間以上ホットシートに座り続けたカヴァニャから席を奪った。

個人総合上位の15人は2分おきのスタートに。しばしワウトのタイムに近づく選手が現れなかったが、個人総合8位につけるサイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)が序盤から飛ばした。第1計測を2秒遅れとすると、第2計測こそ遅れたが、やはりコート・ド・ドマンシーでペースを上げてタイムを取り戻す。フィニッシュではワウトから7秒差の暫定2位とする。

このタイムを上回ったのが同7位のペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)。やはり後半に好ペースを刻んで、フィニッシュはワウトから4秒差。サイモンを上回る。随所でポガチャルを支えるアシストぶりが光るアダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)も5番目のタイムでまとめあげた。

ついに迎えた“2強”のスタート。まずは個人総合2位のポガチャルから。総合タイム差10秒を縮め、さらには逆転を狙って序盤から飛ばす。狙いどおり第1計測からトップタイムを25秒更新、10分10秒で走る。

©︎ A.S.O. / Pauline Ballet

しかし、ポガチャルの出足を上回る攻めの走りを見せたのが最終走者のヴィンゲゴーだった。スタートから飛ばしに飛ばし、第1計測はただひとり10分切りの9分54秒。両者の差は縮まるどころか拡大の一方で、早い段階で30秒を超える。第2計測はポガチャルが19分36秒に対し、ヴィンゲゴーは19分05秒。

フィニッシュまで5.6kmのところで、ポガチャルはTTバイクからノーマルバイクに交換。これは戦前から予想されており、休息日にはバイク交換の予行演習も行っていた。起伏の激しくなる区間をノーマルバイクで攻めるポガチャルだが、TTバイクで押し続けるヴィンゲゴーが徐々にその差を広げていく。第3計測はポガチャルが26分57秒で、ヴィンゲゴーは25分52秒。

©︎ A.S.O. / Pauline Ballet

ここまでくると、ヴィンゲゴーの勝利は濃厚。あとはタイムだ。ポガチャルは前走者のカルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)に追いつこうかというところまで迫って、フィニッシュタイムは34分14秒。この時点ではワウトのタイムを1分13秒更新。

ただ、このステージばかりはヴィンゲゴーが別格の走りだった。ポガチャルのフィニッシュから22秒後、マイヨ・ジョーヌがフィニッシュへと現れた。そのタイムは32分36秒。出走者中唯一となる平均時速40kmオーバーとなる、41.227kmで走破。ポガチャルを1分38秒上回り、ステージ優勝を決めた。

©︎ A.S.O. / Pauline Ballet

この圧倒的な走りにより、ヴィンゲゴーはマイヨ・ジョーヌを守ったことはもちろん、ポガチャルとの差を1分48秒まで広げることに成功。2連覇へ向けて、大きなステップを踏んだ。個人総合3位にはステージ上位で終えたアダムが浮上。同4位にランクを落としたロドリゲスとの差は5秒で、総合表彰台の行方も激しくなりそうだ。

大一番が終わったが、タフなステージはまだまだ続く。翌19日に行われる第17ステージは、獲得標高5000m超の上級山岳コース。レース序盤から1級山岳が連続して現れ、2級山岳を挟んで終盤には今大会屈指の難所である超級山岳コル・ド・ラ・ローズへ。登坂距離28.1km、平均勾配6%、頂上近くでは最大勾配24%に達する。最後はクールシュヴェルのエアポート滑走路に敷かれるフィニッシュラインめがけて18%の勾配をアタックする。

ステージ優勝、個人総合時間賞 ヨナス・ヴィンゲゴー コメント

© A.S.O. / Charly Lopez

「今日はとても調子が良かった。今までのタイムトライアルの中で最高の走りができた。自分の走りを誇りに思うし、勝ててとてもうれしい。こんなにうまくいくとは思っていなかった。

今日はコースを4分割して考えた。最初の上りを全力で、下りで回復、平坦を我慢、最後の数キロはペースを維持しながら上りでアクセルを全開。思いどおりに走ることができた。ペースを緻密に計算して走っていたにもかかわらず、想定していた出力を上回っていた。

まだ今年のツール・ド・フランスを勝ったとは思っていない。厳しい日々が続くし、レースはまだ終わっていない。マイヨ・ジョーヌを守るためにできる限りのことをしていかなければならない。チームメートには心から感謝をしている。ツールで私たちが行っていることはすべて、日々実行中の大きな計画の一部だ」

ツール・ド・フランス2023 第16ステージ結果

ステージ結果

1 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク) 32’36″(Avg. 41.227km)
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+1’38”
3 ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)+2’51”
4 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)+2’55”
5 サイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)+2’58”
6 レミ・カヴァニャ(スーダル・クイックステップ、フランス)+3’06”
7 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+3’12”
8 マティアス・スケルモース(リドル・トレック、デンマーク)+3’21”
9 マッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)+3’31”
10 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)ST

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク) 63:06’53”
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+1’48”
3 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+8’52”
4 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+8’57”
5 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)+11’15”
6 セップ・クス(ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)+12’56”
7 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)+13’06”
8 サイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)+13’46”
9 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)+17’38”
10 フェリックス・ガル(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、オーストリア)+18’19”

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック、イタリア)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合時間賞

ユンボ・ヴィスマ 190:06’22”

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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