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プールスが勝利! ヴィンゲゴーとポガチャル差10秒は変わらず|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランスはアルプス山脈を走行中。第2週最終日となる第15ステージが現地7月16日に行われて、大人数の逃げから抜け出したワウト・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス、オランダ)がツール初となるステージ優勝。バーレーン・ヴィクトリアスとしては、第10ステージのペリョ・ビルバオ(スペイン)に続く勝利になった。激戦続くマイヨ・ジョーヌ争いは、トップのヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)と2位のタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)が同時にフィニッシュへ。総合タイム差10秒のまま最終の第3週へ向かうことになった。

“ワウト対決”を制したプールス

本格山岳3連戦の最後にして、第2週の最終日。179kmに設定されたレースは、これまで2度マウンテンバイクの世界選手権が開催されているレ・ジェ・レ・ポルト・デュ・ソレイユを出発。中盤以降立て続けに5つのカテゴリー山岳を上って、1級山岳サン・ジェルヴェ・モン・ブランの頂上にフィニッシュする。フィニッシュ前約12kmから上る2級山岳コート・デ・アメランは最大勾配17%。これを上った後に、10%の斜面が続くサン・ジェルヴェ・モン・ブランへ。この日も現地は30度を超える気温となり、消耗戦となるものと思われた。

© A.S.O. / Pauline Ballet

この日はダニエル・マルティネス(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)が未出走。前日のステージで大規模クラッシュが発生したが、その際に頭を打ち脳振とうの症状が出ていたことが分かっている。チームは前日の勝者であるカルロス・ロドリゲス(スペイン)が個人総合3位につけており、貴重なアシストを失うことになった。

© A.S.O. / Pauline Ballet

迎えたレースはマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)のファーストアタックでスタート。なかなか逃げが決まらないなか、ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)やジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ、フランス)らも積極的に動いて、プロトン全体が活性化。出入りを繰り返す流れが30kmほど続いた。

© A.S.O. / Pauline Ballet

ニルス・ポリッツ(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)のアタックを数人が追いかけ、さらに次々と選手たちが追随。40km地点手前で27人の先頭グループが形成され、そこからさらにアラフィリップとアレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・カザクスタン チーム、カザフスタン)が抜け出す。先頭2人の後ろでは、追走となるグループが最大37人まで膨らんでいた。

© A.S.O. / Pauline Ballet

全体的にハイペースで進行するなか、この日もメイン集団で大規模クラッシュが発生。集団前方を走る選手が沿道の観客と接触。バランスを崩したところに次々と選手が絡んでしまった。落車した選手たちは全員バイクへと戻ったが、集団はこうした選手たちを待つ判断をしたことで意識的にスピードダウン。結果的に、これらの動きが逃げを容認する格好になった。

アラフィリップとルツェンコを捕まえて39人になった先頭グループは、メイン集団に対して8分のリード。中間地点を過ぎたあたりからマルコ・ハラー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストリア)がひとりで抜け出したが、10kmほど進んだところでルイ・コスタ(アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ、ポルトガル)がジョイン。コスタはすぐにハラーを引き離して単独先頭となったが、このステージ2つ目のカテゴリー山岳である1級山岳コル・ド・ラ・クロワ・フリーで後続が再合流。この時点で前線に残ったのは20人。

© A.S.O. / Pauline Ballet

続く3級の上りで、今度はマルク・ソレル(UAEチームエミレーツ、スペイン)がアタック。1人のまま頂上を通過すると、そこからの下りでプールスやワウト、クリスツ・ニーランズ(イスラエル・プレミアテック、ラトビア)が追いつく。直後にニーランズがモーターバイクと接触したことによる落車で脱落したが、3人は後ろの選手たちに対して1分以上のリードを確保。フィニッシュまで15kmとなったところでもその差は変わらず。メイン集団とは約7分30秒差で、先頭を行く3選手の中からステージ優勝者が出る可能性が高まってきた。

© A.S.O. / Pauline Ballet

フィニッシュ前23kmから約10kmにわたるダウンヒル区間で慎重に下っていたソレルをプールスとワウトは待たず、数秒の差がついた状態で2級山岳コート・デ・アメランへ。これを上っていた残り10.7kmでプールスがアタック。ワウトはついていけず、プールスが独走態勢に持ち込んだ。

© A.S.O. / Pauline Ballet

フィニッシュへ続く1級山岳サン・ジェルヴェ・モン・ブランの上りでもプールスの快調なペースは変わらず。後ろでは一度追いついてきたソレルをワウトが再び引き離し、テンポでプールスを追うがその差は開く一方。

十分なリードを確保したプールスは、初めてとなるツールのステージ優勝を頂上フィニッシュでつかんでみせた。2016年にはリエージュ~バストーニュ~リエージュを制し、ワンデーレースからステージレースまで幅広くこなすベテランがついにツールでも歓喜の瞬間を迎えた。35歳288日でのステージ優勝は、ツール史上23番目の年長者である。

© A.S.O. / Pauline Ballet

プールスから2分8秒遅れてワウトが2位でレースを終え、3位には終盤に追い上げたマチュー・ビュルゴドー(トタルエナジーズ、フランス)が入った。

ポガチャルのアタックは決まらず、総合タイム差10秒のまま

ステージ優勝争いとは別のレースになったマイヨ・ジョーヌ争い。コート・デ・アメランめがけてペースが上がると、UAEチームエミレーツが上りでペーシング。人数が一気に絞られていき、上位陣による戦いのムードが高まっていく。ロドリゲスがアタックを試みたが決まらず、UAEチームエミレーツがペースを維持。個人総合4位につけるジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)や同7位のサイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)らが遅れ、サン・ジェルヴェ・モン・ブランでは同10位のダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)も後ろへ。

© A.S.O. / Pauline Ballet

アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)の引きが始まると、ロドリゲスとセップ・クス(ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)も下がって、残ったのはヴィンゲゴーとポガチャル。残り2kmを切ったところからはイェーツを前に行かせたまま、2人が牽制状態に。互いが見合っている間にロドリゲスが追いついたが、両者は依然牽制し合う。残り1kmとなったところでポガチャルがアタックしたが、ヴィンゲゴーがすぐに反応。前待ちしていたソレルとイェーツの引きからポガチャルがもう一度仕掛けたが、それも決まらず両者がっぷり四つのままフィニッシュラインへ。総合タイム差10秒のまま、第2週を終えることになった。

翌17日は今大会2回目の休息日。18日から第3週のレースが始まり、第16ステージは今大会唯一となる個人タイムトライアル。22.4kmのコースは山岳TTの趣きで、マイヨ・ジョーヌ争いに重要な意味を持つことになりそうだ。

ステージ優勝 ワウト・プールス コメント

© A.S.O. / Pauline Ballet

「こういう瞬間が本当に大好き。ツール・ド・フランスで勝つことを夢見ていたし、ジーノ(6月のツール・ド・スイスで事故死したジーノ・メーダー)の存在がより意味を持たせている。最後の数kmで勝利を確信したが、それでも全力で踏み続けなければならなかった。今日は本当にアメイジング! ジーノが助けてくれたのだと思う。

ツールに向けては完璧なアプローチができていた。ツアー・オブ・スロベニアの走りをチームが認めてくれて、今大会のメンバーに選んでもらえた。第3週で力を発揮できると確信しているし、実際に大会後半に調子が上がってきた。この勝利が何よりの証拠だ」

個人総合時間賞 ヨナス・ヴィンゲゴー コメント

© A.S.O. / Pauline Ballet

「2人だけの戦いになっていたね。観る側にとってはとても楽しいと思う。チームとしての感触は良かったが、クラッシュに何人かが影響を受けてしまった。彼らが引き続き走れるよう願っている。個人的にも調子は良い。レースをコントロールできたし、走りの内容にも満足している。

観客の方々には、路上に立ったりビールを選手にかけたりせず、純粋にレースを楽しんでほしいと言いたい」

ツール・ド・フランス2023 第15ステージ結果

ステージ結果

1 ワウト・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス、オランダ) 4:40’45”
2 ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)+2’08”
3 マチュー・ビュルゴドー(トタルエナジーズ、フランス)+3’00”
4 ローソン・クラドック(チーム ジェイコ・アルウラー、アメリカ)+3’10”
5 ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)+3’14”
6 ティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ、フランス)ST
7 ギヨーム・マルタン(コフィディス、フランス)+3’32”
8 マティアス・スケルモース(リドル・トレック、デンマーク)+3’43”
9 シモン・グリエルミ(チーム アルケア・サムシック、フランス)+3’59”
10 ワレン・バルギル(チーム アルケア・サムシック、フランス)+4’20”

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク) 62:34’17”
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+0’10”
3 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+5’21”
4 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+5’40”
5 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)+6’38”
6 セップ・クス(ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)+9’16”
7 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)+10’11”
8 サイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)+10’48”
9 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)+14’07”
10 ギヨーム・マルタン(コフィディス、フランス)+14’18”

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック、イタリア)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合時間賞

ユンボ・ヴィスマ 188:22’03”

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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