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モホリッチが2年ぶりステージ優勝。連勝狙ったアスグリーンと写真判定の激戦|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランス第19ステージが現地7月21日に行われ、逃げメンバーによるステージ優勝争いをマテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス、スロベニア)が2大会ぶりのステージ優勝。ツール通算3勝目を挙げた。2位となった前日勝者のカスパー・アスグリーン(スーダル・クイックステップ、デンマーク)とは写真判定までもつれた。メイン集団は13分43秒差でのフィニッシュ。個人総合上位陣の順位変動はなく、ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)がマイヨ・ジョーヌを守っている。

平均時速49.13kmは21世紀のツールで3番目の速さ

長く滞在したアルプスを前日に離れて、最終決戦の地であるヴォージュ山脈へと少しずつ進んでいる。フランスきっての木工産業の盛んなモワラン・アン・モンターニュを出発し、ツール初登場のポリニーにフィニッシュする172.8km。平坦にカテゴライズされ、細かな高低の変化はあるものの主催者によれば「スプリントトレインを妨げるものにはならない」とも。逃げが決まるか、セオリーどおりのスプリントかが焦点になった。

©︎ A.S.O. / Pauline Ballet

前日は逃げ切りを演出したヴィクトル・カンペナールツ(ロット・デスティニー、ベルギー)が再度のアタック。10kmほど進んだところで捕まったものの、このステージが激しくなることを予感させる動きになった。

そのとおり、レース序盤は出入りの激しい展開。マッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)とアレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・カザクスタン チーム、カザフスタン)のビッグネーム2人が飛び出すと、プロトン全体がさらにペースアップ。2人が逃げを図っている間にメイン集団は2つに割れ、個人総合上位陣は前の集団に位置。

©︎ A.S.O. / Pauline Ballet

ピーダスンとルツェンコが捕まり、直後にはジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ、フランス)とシュテファン・キュング(グルパマ・エフデジ、スイス)がアタック。これも5kmほど進んで集団へと引き戻され、今度はニルス・ポリッツ(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)が動いた。

これが効果的なものとなって、追随した選手が合流すると9人の先頭グループに。逃げに選手を送り込めなかったチームが集団に引き戻そうと躍起になっていたこともあり、しばし1分前後のタイム差で推移。97.7km地点に設置された中間スプリントポイント通過後には、29人が大きな追走グループが形成され、前を行く選手たちを追う。そう時間を駆けずに最前線への合流を果たし、この日最大となる37人の先頭グループに膨らんだ。

©︎ A.S.O. / Pauline Ballet

フィニッシュまで55kmのタイミングで、先頭からカンペナールツとサイモン・クラーク(イスラエル・プレミアテック、オーストラリア)が抜け出す。すぐに30秒ほどのリードを確保した。一方、メイン集団では前を追っていたチームが諦めたことでペースダウン。同時に逃げ切りを容認するスタンスへと移った。

先頭を行く2人だが、3級山岳に向けて上り基調になったところでクラークが脚を攣り戦線離脱。先頭はカンペナールツひとりとなる。ほどなくして、モホリッチ、アスグリーン、ベン・オコーナー(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、オーストラリア)の3人が上りでカンペナールツに合流。そのままパスして3人逃げの体制へと持ち込む。後ろでは、ポイント賞のマイヨ・ヴェールを着るヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)らを含んだ9人の追走グループが組まれるが、快調に飛ばす3人はタイム差を広げる。

残り10kmを切って20秒だったその差は、残り5kmで30秒、残り1kmで33秒。先頭3人の中からステージ優勝者が出るのは固い情勢に。アスグリーンを前に、モホリッチ、オコーナーの並びで最終局面を迎えると、残り400mでオコーナーが早めの仕掛け。これは決まらず、残り200mからアスグリーンが連勝をかけてのスプリント。モホリッチが反応し、最後の100mでアスグリーンに並ぶ。両者横並びのままフィニッシュラインを通過した。

©︎ A.S.O. / Pauline Ballet

目視では分からないほどの僅差となった勝負は、写真判定によってモホリッチの勝利が確定。ステージ優勝が決まった瞬間に人目をはばからず涙を流した。ジュニア、アンダー23それぞれのカテゴリーで世界の頂点に立ち、プロ入り後も数々のビッグタイトルを獲得。2022年にはミラノ~サンレモを勝ち、そのときに用いたドロッパーシートポストは大きな話題となった。今季はクラシックシーズンでのクラッシュが影響し春は不調だったが、今大会前に臨んだツアー・オブ・スロベニアで復調。今回は開幕直後こそ後れを取ったが、第9ステージで3位に入るなど、逃げから勝機をうかがい続けていた。そして大会終盤で会心の勝利。2021年大会に2勝を挙げており、それ以来となるツールでのステージ優勝だ。

© A.S.O. / Charly Lopez

連勝ならずもアスグリーンは再びインパクトを残すステージ2位。オコーナーが3位で続いた。追走は39秒差でのフィニッシュになり、ここはフィリプセンが先着。初のマイヨ・ヴェール獲得に向け、着実にポイントを加算している。

ステージ33位までを逃げた選手たちが占め、メイン集団はセーフティーに走り切ることを選択。リーダーチームのユンボ・ヴィスマがレースをクローズさせて、モホリッチから13分43秒差でレースを完了。個人総合上位陣はすべてこの中で走り終え、順位変動なく次のステージへと向かう。

なお、勝ったモホリッチの平均スピード49.13kmは、21世紀に入ってのツールでは3番目に速いステージだった(最速は2003年大会第18ステージの時速49.983km)。

© A.S.O. / Charly Lopez

翌22日は第20ステージ。最終・第21ステージでは総合争いが基本行われないことから、このステージが事実上の最終決戦となる。133.5kmとレース距離は短いが、6つのカテゴリー山岳を詰め込み、個人総合争いを演出する。タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)に7分35秒差をつけるヴィンゲゴーのマイヨ・ジョーヌは安泰とみられるが、トラブルなく走り終えることが最大のミッション。総合表彰台争い含め、3位以下の争いはまだ続いており、最終結果が確定するまで戦いは残されている。

ステージ優勝 マテイ・モホリッチ コメント

©︎ A.S.O. / Pauline Ballet

「この勝利は私にとって大きな意味を持つものだ。なぜなら、プロのライダーであることは大変で残酷なことだから。私たちは準備でたくさん苦しみ、自らの人生や家族を犠牲にしてしまっている。

先日のロズ(第17ステージ)では空っぽになってしまった。チームスタッフが毎朝6時に起きて、夜遅くまで働いているというのに結果で応えられない。苦労ばかりで、ここにいるべきではないのではないかとさえ思っていた。でもみんな苦しみながら走っているから、自分ももっとやらねばと思い直した。

カスパー(アスグリーン)がアタックしたとき、あまりの強さに驚かされた。彼を追わないと勝ち目がないと感じていた。今日は自分のためだけでなく、ジーノ(メーダー、6月にツール・ド・スイスで事故死)とチームのためにベストを尽くした。一緒に逃げ続けた仲間たちに勝たないといけないと分かっていたけど、裏切ってしまったような気分でもある。だけどそれがプロスポーツ。勝ちたいならカスパーを追うしかなかったんだ」

■個人総合時間賞 ヨナス・ヴィンゲゴー コメント

©︎ A.S.O. / Pauline Ballet

「総合系ライダーの誰もが逃げを行かせてエネルギーを節約したいと考えていたと思う。序盤こそ難しかったが、逃げが決まってからはひたすら温存に努めた。私は自分自身を家族思いだと思っているが、シャイな面もある。ただ、アスリートとしては勝つことを好む攻撃的なライダーだ。そのあたりは他のライダーたちと同じだと思う」

ツール・ド・フランス2023 第19ステージ結果

ステージ結果

1 マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス、スロベニア) 3:31’02”
2 カスパー・アスグリーン(スーダル・クイックステップ、デンマーク)ST
3 ベン・オコーナー(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、オーストラリア)+0’04”
4 ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)+0’39”
5 マッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)ST
6 クリストフ・ラポルト(ユンボ・ヴィスマ、フランス)
7 ルカ・メズゲッツ(チーム ジェイコ・アルウラー、スロベニア)
8 アルベルト・ベッティオル(EFエデュケーション・イージーポスト、イタリア)
9 マッテオ・トレンティン(UAEチームエミレーツ、イタリア)
10 トーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク) 75:49’24”
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+7’35”
3 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+10’45”
4 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+12’01”
5 サイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)+12’19”
6 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)+12’50”
7 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)+13’50”
8 フェリックス・ガル(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、オーストリア)+16’11”
9 セップ・クス(ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)+16’49”
10 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)+17’57”

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック、イタリア)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合時間賞

ユンボ・ヴィスマ 227:54’45”

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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