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ポガチャルの大ブレーキ、スタッフの対応策とは?|チームスタッフ目線で見るツール・ド・フランス

7月23日に閉幕した世界最大のサイクルロードレース「ツール・ド・フランス」に、国内外のチームでマッサー・ソワニエとして活躍し、現在も現役スタッフである森川健一郎さんが帯同した。

「原点回帰」として、長年の経験をフィードバックするとともに、世界のトップチームが導入している技術を自らの目で確かめるため、3週間のフル帯同を決意したという。そこで、“チームスタッフ目線”で見るツール・ド・フランスがいかなるものかを、数回にわたってレポート。

その第6回目は、タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)が第17ステージで大きな遅れを喫した要因を探り、そのサポート方法とケアのあり方を考えてみる。

ポガチャルの腹部に見たテーピングに衝撃を受ける

第17ステージ終了の翌日(20日)。現地新聞一面に、ポガチャルとそれに付き添うチームメートのマルク・ソレル(スペイン)の写真が掲載されていた。

ポガチャルがまさかの大ブレーキ、TOPヴィンゲゴーとの差7分超|ツール・ド・フランス

ポガチャルがまさかの大ブレーキ、TOPヴィンゲゴーとの差7分超|ツール・ド・フランス

2023年07月20日

ケアスタッフとしては、目を奪われるポイントでもあった。ウェアの前を開けたポガチャルの腹部に太いテーピングが見えたからだ。

大きな力を出す筋肉の疲労、硬さに加えて、アスリートとして必要な分の血流が滞っていたのではないのか?

タイムトライアルのダメージが残ってしまっていたのではないのか?

そういう印象を抱いたポガチャルの1枚であった。

それを表すようにポガチャルはレース後、「補給食の栄養をうまく体に取り込めていなかった」と語っている。“栄養・休息・睡眠・回復”の重要性を物語るコメントだ。

翌21日、同チームのパフォーマンスディレクターで、アメリカ・コロラド大学で細胞代謝研究を行っているイニゴ・サン・ミラン教授はフランス紙「レキップ」のインタビューにこうコメントしている。

「タデイの最大の長所は、その万能性だ」

続けて、こうも答えていた。

「私たちは彼の体がどのように機能し、さまざまなタイプの努力にどのように反応するかを理解している。4月上旬のツール・ド・フランドルで絶好調に達したからといって、7月のツール優勝の可能性を危うくするようなことはない。その逆だ。
今年、フランドルの後、彼はキャリア最高の数字を出した。正直なところ、それは信じがたいことだった。オーバートレーニングに陥っているのではないかとさえ思った。
そこで私は1週間、モナコの彼の家で乳酸テストを行った。正直なところ、それは信じがたいことだった」

「彼が明日(22日)のステージで勝てるほど早く回復すると思いますか?」という問いに対しては、

「タデイは獣のようだ。挫折から立ち直るのが彼の性格だし、彼の頭の中では勝利を確信していると信じている。土曜日(明日)には勝てるだろう」

そして、第20ステージで見事にポガチャルはステージ勝利を挙げた。最後のゴールスプリントは、体も安定していてしっかり力強さが戻ってきたように私の目には映った。

第17ステージでの大ブレーキから驚異的な回復を見せ、第20ステージで勝利を挙げたタデイ・ポガチャル © A.S.O. / Charly Lopez

トータルで見ると、イニゴ・サン・ミラン教授が述べるように肉体が3週間のレースに耐えるよう作りきれていなかった。しかし、適切な休養を取れば1日でも回復し最高の結果を残す……。

「栄養・休息・睡眠・回復」の分野でいけば、我々は「回復」というファクターでいかにそれを促していくのか? それを助ける方法は何が良いのか? 「正しい知識、確かな技術」を追求することも大切になるのではと感じた。

これらについては、ワールドスタンダードといわれるものを見習いながら、「日本」に合うやり方に応用していけば良いだろう。今後求められる人材であり続けるためには、これらをピースとして持っていることが強みになるのだろう。

初めてのツール・ド・フランス帯同を終えて

今回の帯同にあたって、忙しい仕事の合間に話を聞かせてもらい、いろいろ教えてもらったヤチェック(イネオス・グレナディアーズ所属のケアラー)にお礼を伝えました。そしてコメントをもらったので少しお伝えできたらと思います。

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2023年07月18日

「私の説明が少しでも伝わっていたらうれしい。難しいことではないが、とても大切なことが詰まっていると私は思うからやっているんだ。

もちろんチームや選手から求められてもいる。チームの規模によってはできること、できないこともあるだろう。だから工夫が必要になってくるし、専門家のアドバイスも必要になってくる。これからもっと良い方法もこれから出てくるだろうしね。

日本のみなさん! イネオス・グレナディアーズの応援をたくさんしてください!!!

このような機会をいただけてありがとう。さいたまクリテリウムに選手と一緒に行きますからお会いしましょう! たぶんね。hahahaha」

旧友であるヤチェックと筆者 Photo: Kenichiro MORIKAWA

森川健一郎

Photo: Syunsuke FUKUMITSU

コンディショニング・トレーナー
アスレチックトレーナー
インディバ・アクティブ セラピスト
自転車ロードレースチームスタッフ
柔道整復師
BLUE CORN SPORTS 代表

略歴
2004〜
自転車ロードレースのスタッフとして活動を始める
同時に、数多の方々の協力でイタリアへソワニエ修行のチャンスをいただく

2005〜2008
ナショナルチームスタッフとして活動

2008〜
日本国内でのスタッフ活動を中心に、主にアジア・オセアニアツアーで現在も活動
自転車チームスタッフ歴約20年

2012〜
スキー競技、アルペン・クロスカントリーのジュニア・育成年代のトレーニングに自転車を取り入れた、基礎体力育成・強化トレーニングセッションを通年で開催している

2015〜
ワールドツアーのチームや多くのトップ選手のケアにも多数導入されている「インディバ・アクティブ®️」のセラピストとして、一般の方から選手まで、ケガ等のアフターケア〜スポーツコンディショニングケアをスタッフ活動と並行して行なっている

1969年(昭和44年)生まれ
静岡県静岡市(旧清水市)出身

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PROFILE

Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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