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自転車チームをブランディングする「広報担当」とは?|チームスタッフ目線で見るツール・ド・フランス

7月1日に開幕した世界最大のサイクルロードレース「ツール・ド・フランス」に、国内外のチームでマッサー・ソワニエとして活躍し、現在も現役スタッフである森川健一郎さんが帯同している。

「原点回帰」として、長年の経験をフィードバックするとともに、世界のトップチームが導入している技術を自らの目で確かめるため、3週間のフル帯同を決意したという。そこで、“チームスタッフ目線”で見るツール・ド・フランスがいかなるものかを、数回にわたってレポートしてもらおうと思う。

第4回は「ツールの最前線で活躍する女性スタッフ」の後編。ボーラ・ハンスグローエのプレスオフィサーである、ステファニー・コンスタンドさんに話を聞いた。

夢を生きる女性レースドクター「運も実力のうち」|チームスタッフ目線で見るツール・ド・フランス

夢を生きる女性レースドクター「運も実力のうち」|チームスタッフ目線で見るツール・ド・フランス

2023年07月20日

チームのブランディングを担う「広報担当」

前回ご紹介したメディカルディレクターであるフロランス・ポメリー医師が大会そのものを支えるスタッフであるなら、今回話を聞いたステファニー・コンスタンドはチームをブランディングする立場にあるといえよう。スポーツディレクター(監督)、メカニック、マッサージャー、ソワニエ以外にも、レースの最前線でチームを支えるスタッフが存在する。

詳しいことは彼女に答えてもらおう。

レーススタート前のボーラ・ハンスグローエのチームパドック Photo: Kenichiro MORIKAWA

ボーラ・ハンスグローエにおけるあなたのお仕事を教えてください

「プレスオフィサー(Press Officer・日本的には広報担当)をしています。具体的には、メディアや記者からのインタビュー、写真撮影の対応。私は年間100日以上遠征に出ている選手のインタビューをすてきなものにするために、ソーシャルメディアチャンネルも担当しているの。最近だとTikTokもやっていますよ! チームにおけるとても重要な仕事。だから、写真を撮ったり、動画も撮影したりしているわ」

チームの、そしてこのレースのファミリーとして参加することを、どう感じていらっしゃいますか?

「ツールには10回来ているの。ボーラ・ハンスグローエや関係者、それに選手のみんなには本当に感謝しているわ。そして今まで、一度として同じではなかったからいつも新鮮よ。本当に光栄なことだと思うわ」

チームの広報や、チームに関わる仕事を将来してみたいと思っている、未来の「Staff」には何が必要でしょう?

「人数の限られた職場ではあるけれど、ますます女性の進出が多くなり、たくさんの女性がいる職場になってきているわ。他の職種や、他のチームの女性とたくさん話すことがあるけれど、私は人とのコミュニケーションがとても好きよ。

コミュニケーションの幅を広げて、自分の仕事を好きになること。言語だったり、生活様式だったり、いろいろなことに興味を持つことも大事ね。もっと仕事が楽しくなるから。恥ずかしがってちゃダメよ」

ボーラ・ハンスグローエのプレスオフィサー、ステファニー・コンスタンドさん Photo: Kenichiro MORIKAWA

世界を股にかけて仕事をすることの本質

世界最大の自転車レース「ツール・ド・フランス」で活躍するすべての女性の笑顔に、強さと自信、何よりレースの一員であるという誇りを持った仕事ぶりがとてもまぶしい。「強さ」と「優しさ」をたずさえて。

「楽しみながら、真剣に、気負いなく」である。

スタッフというと「チームや大会を縁の下から支える」。そう表現することがあるが、捉え方ひとつで見え方は大きく変わってくる。女性が男性スタッフと、男性が女性スタッフと「ともに向き合い・楽しみ・創り上げる」。互いに助け合える安心感がある現場では、確実に「大きな柱としてレースを支え、己の仕事に向き合っている」そんな佇まいがあった。

レース前後のミックスゾーン(取材エリア)での取材対象選手の手配や、時間・質問内容などのコントロールも広報担当には求められる © A.S.O. / Pauline Ballet

男女比率がうんぬん……など騒がれている昨今、こと「ツール・ド・フランス」について言えば、そんな言葉は必要ないようだ。誰もががのびのびと活躍できる場所が、ここなのかもしれない。

最前線で活躍する……そんなすてきなお二人の気持ちが伝わればと思います。これから、レースの運営やチームスタッフを目指したいという方々のモチベーションになれば、とも。

お話を聞いたときの彼女たちの、

「佇まい」
「言葉」
「眼差し」

ロードレースの世界を目指すみなさんの姿を、ずっと背中しか見えなかった彼女たちがふと振り返ったとき、笑顔で語りかけてくれるのではないでしょうか。

「その調子よ!」
「やればできるじゃないの!」

選手やチームを支えた先に勝利がある。喜びを共有できるのもチームスタッフの魅力である © A.S.O. / Pauline Ballet

森川健一郎

Photo: Syunsuke FUKUMITSU

コンディショニング・トレーナー
アスレチックトレーナー
インディバ・アクティブ セラピスト
自転車ロードレースチームスタッフ
柔道整復師
BLUE CORN SPORTS 代表

略歴
2004〜
自転車ロードレースのスタッフとして活動を始める
同時に、数多の方々の協力でイタリアへソワニエ修行のチャンスをいただく

2005〜2008
ナショナルチームスタッフとして活動

2008〜
日本国内でのスタッフ活動を中心に、主にアジア・オセアニアツアーで現在も活動
自転車チームスタッフ歴約20年

2012〜
スキー競技、アルペン・クロスカントリーのジュニア・育成年代のトレーニングに自転車を取り入れた、基礎体力育成・強化トレーニングセッションを通年で開催している

2015〜
ワールドツアーのチームや多くのトップ選手のケアにも多数導入されている「インディバ・アクティブ®️」のセラピストとして、一般の方から選手まで、ケガ等のアフターケア〜スポーツコンディショニングケアをスタッフ活動と並行して行なっている

1969年(昭和44年)生まれ
静岡県静岡市(旧清水市)出身

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PROFILE

Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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