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UCI自転車世界選手権男子エリート個人タイムトライアル プレビュー|ロードレースジャーナル

vol.62 平坦・上り・石畳がミックスした47.8kmのコース
トラックを終えたガンナ、ロードの雪辱期すワウトやレムコらがしのぎを削る

国内外のロードレース情報を専門的にお届けする連載「ロードレースジャーナル」。8月3日から競技が進行しているUCI自転車世界選手権は、会期後半に入っている。ロード種目は11日に男子エリートの個人タイムトライアルを実施。先のロードレースで活躍した選手のほか、トラック競技を終えた選手たちも加わってハイレベルの戦いとなりそうだ。注目のレースに向けて、コースの特徴や有力選手を展望する。

最終盤に待つ石畳の上りまで脚を残せるかがポイント

UCI(国際自転車競技連合)が初めて試みた“スーパー世界選手権”。自転車競技のあらゆる種目がひとつの街に集まって、大規模なイベントとして熱気を帯びている。ロード種目も進行し、各レースで今季の世界王者が決まっている。

8月6日に行われた男子エリートロードレースでは、マチュー・ファンデルプール(オランダ)がグラスゴーの市街地サーキットを攻略。終盤に圧倒的な強さを見せて、エリートカテゴリーでは初めてとなるロードのマイヨ・アルカンシエルに袖を通した。

マチューが世界王者に! 落車乗り切り22km独走し勝利|世界選手権・男子エリート

マチューが世界王者に! 落車乗り切り22km独走し勝利|世界選手権・男子エリート

2023年08月07日

これに続き、11日に個人タイムトライアルが実施される。レース距離47.8km、獲得標高352mのコースは、グラスゴーから北西に位置するスターリングを発着点とする。

行程中、いくつかのアップダウンが待ち受ける。スタートから12kmほど進んだところから始まるソーンヒルの緩斜面が1つ。30km地点手前ではキッペンへの登坂。35km地点を過ぎたところからはガーガノックの丘越えをして、フィニッシュ前8kmからは断続的な上り基調。特に、最後の750mは6%の上り勾配で、フィニッシュラインが敷かれるスターリング城へ向かって石畳の路面を進んでいく。

9日に行った男子アンダー23では、この石畳の上りで失速する選手が多く見られた。前半から飛ばしすぎると、終盤でかなり苦しむコースのようだ。このレースで勝ったロレンツォ・ミレージ(イタリア)は、「最後の750mをしっかり踏み切ることと、途中の短い下りでできる限り回復に努めることが重要」と攻略方法を語る。エリートはアンダーから11kmほどレース距離が長くなるだけに、ミレージの言葉は一層重要度が増すはずだ。

男子アンダー23を制したロレンツォ・ミレージは最後の750mをポイントに挙げる ©️ UCI

スーパー世界選手権のロード競技における、男子エリート最終種目。マチューはもうひとつの目標であるマウンテンバイク競技に臨むため欠場するが、マイヨ・アルカンシエルをかけた一戦には、やはりビッグネームが集結する。

最注目は、2年ぶりの王座返り咲きを目指すフィリッポ・ガンナ(イタリア)。今大会はすでにトラック競技で2つのメダルを獲得していて、インディビジュアルパシュートでは最後の1000mで驚異的な逆転を演じてみせた。それでも、「個人タイムトライアルが最大目標」と公言し、新たなTTバイクも用意。トラック競技と同様に、後半からペースを上げるスタイルでトップタイムを目指す。

上位独占への高い可能性を持つのがベルギー勢。ワウト・ファンアールトとレムコ・エヴェネプールの最強コンビで挑む。ロードレースではワウトが銀メダル。これまで世界選手権ではロード・TTともに2位が自己最高。ロード種目では初のアルカンシエルへ、かなりの意気込みで臨むことだろう。一方のレムコは、ロードレースでは「脚質的に合わなかった」と悔しい結果に。タイムトライアルは雪辱戦だ。前半からハイペースを刻んで、ライバルとの差を広げられるかがポイントだ。

©️ Face Peeters

前回は3秒差で優勝を逃したシュテファン・キュング(スイス)も、ロード種目では個人初のマイヨ・アルカンシェルへ向け視界は良好。ロードレースを5位で終え、8日にはミックスリレーで優勝。今回のコースについては「前半はDHバーから腕を離す必要がなさそうだ」と印象を述べ、攻めの走りができると自信を見せる。スイスは前回5位のシュテファン・ビッセガーも控えており、同国勢も上位独占の可能性は十分。

最有力のガンナにして「脅威の存在」とするのがタデイ・ポガチャル(スロベニア)。平坦・上り・石畳と、今回のコースには対応してくるだろう。トラブルさえなければ上位入りは固く、あとはTTスペシャリストとの差がいかなるものかが焦点。一気にトップまで駆け上がることもありうる。

地元イギリス勢では、ゲラント・トーマスが個人TT一本に集中。ツール・ド・ポローニュを調整レースに充て、世界選手権後のブエルタ・ア・エスパーニャも見据える。上り調子で今回を迎えるだろうから、自国ファンの声援を受けながら好走が期待できる。

もちろん、前回覇者のトビアス・フォス(ノルウェー)も忘れてはならない。昨年は驚きの勝利だったが、今回は「連覇を狙う」と宣言し、アルカンシエルを意識して臨む。一発勝負への強さを見せられるか。

©️ Getty Images

一昨年の大会では4位に入っているカスパー・アスグリーン(デンマーク)や、こちらもブエルタまでを視野に入れるジョアン・アルメイダ(ポルトガル)もアルカンシェル争いに加わる力を持つ。今季限りでの引退を表明しているローハン・デニス(オーストラリア)は、2018年と2019年に続く3度目の優勝で有終の美を飾れるか。

レースは現地時間8月11日午後2時35分(日本時間同日午後10時35分)に第一走者が出走。なお、男子アンダー23では優勝したミレージがアベレージスピード50.512km/hで走破。男子エリートもコンディションに問題がなければ、同じかそれを上回るペースでのアルカンシェル争いになることだろう。

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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