中大はケイリンで市田龍生都、日大はチームスプリントで勝利し激闘! インカレ2日目
Bicycle Club編集部
- 2023年08月27日
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8月25日から27日の3日間にかけて、千葉県千葉市にあるTIPSTAR DOME CHIBA(千葉JPFドーム)で2023年文部科学大臣杯第78回全日本大学対抗選手権自転車競技大会(インカレ)のトラックレース競技が開催された。
大会2日目となる8月26日は男女インディヴィジュアルパシュート、女子マディソン、男子ケイリン、男子オムニアム、男女チームスプリントの決勝が開催され、男女チームスプリントでは大会新記録ならびに学連新記録が出るなど、白熱した戦いが繰り広げられた。
男女インディヴィジュアルパシュート
決勝ではそれぞれ予選2位の選手が逆転で優勝を飾る
8月25日から27日の3日間にかけて、千葉県千葉市にあるTIPSTAR DOME CHIBA(千葉JPFドーム)で2023年文部科学大臣杯第78回全日本大学対抗選手権自転車競技大会(インカレ)のトラックレース競技が開催された。
大会2日目となる8月26日は土曜日ということもあってか、各校OBや保護者を中心に前日以上に多くの観客が集まる中でのレースとなった。
最初の決勝レースは前日に予選が開催された男女インディヴィジュアルパシュート。
先に女子3kmインディヴィジュアルパシュート決勝が開催され、予選2位で決勝進出を決めた渡部春雅(明治大学)が予選タイムを上回る3分49秒515のタイムで逆転優勝を飾った。
「連覇できてうれしい。今のコンディション的にはまずまずのタイムだったと思う」渡部春雅(明治大学)のコメント
「タイム的には少し悔しい部分もありますが、優勝できたこと、大会連覇を飾ることができたのは素直にうれしいです。自転車から少し離れていた期間があって、ちゃんと練習を再開したのはインカレの約1カ月前から。3分49秒というタイムは良いタイムとは言えないですが、直近のコンディションを考えたら自分の中ではできる限りのタイムが出せたのかなと思います。今日優勝できたことで良い流れができたと思うので、明日のオムニアムでも攻めた走りができればと思います」
男子4kmインディヴィジュアルパシュート決勝では、終盤まで予選1位の伊藤 恭(中央大学)がリードを奪うものの、最終周回で伊藤を逆転した安達光伸(朝日大学)が同種目2連覇を飾った。
「負けたくないという思いが最後の逆転につながったと思う」安達光伸(朝日大学)のコメント
「負けたくないという思いで踏み続け、最後の最後で逆転できました。チームパシュートが予選落ちだったこともあり、個人種目しか残っていない中でのインディヴィジュアルパシュートだったのでプレッシャーはありましたが、優勝できてうれしいです。最後のインカレなので、チーム一丸で大学対抗での入賞ができるように最終日もチームで頑張りたいです」
女子マディソンではレース前半からリードをした順天堂大学ペアが優勝
早稲田大学および日本体育大学が欠場し、順天堂大学(牧田咲子/田中杏奈)、鹿屋体育大学(岩元美佳/川本莉子)、法政大学(阿部セラ/ 濱口夕海)の3チームのみ出走となった女子マディソン。
3チームしか出走がないとこともあってか、前半から順天堂大学ペアが積極的にレースをリードし、1着のポイントを獲得していく。
後半にかけて鹿屋体育大学ペアが順天堂大学ペアに追いつき、逆に鹿屋体育大学ペアが先頭を奪う形で1着のポイントを獲得するも、前半に失ったポイント差が大きく、順天堂大学ペアが前半のリードをしっかりとキープして優勝を決めた。
男子ケイリンでは1kmTTに続き、市田龍生都(中央大学)が3連覇を飾る
1回戦から決勝まで1日で行われた男子ケイリン。決勝に残ったのは市田龍生都(中央大学)、田村一暉(京都産業大学)、小嶋海音(日本体育大学)、伊藤京介(日本大学)、香西玲良(鹿屋体育大学)、野中龍之介(明治大学)の6選手。
市田が先行のまま残り2周を迎えると、最終周回で伊藤、田村が市田を追いかける。残り半周で伊藤が市田の横に並びかけるも、3コーナーから4コーナーにかけて勢いよく伸びた市田が伊藤を抑えて1着でフィニッシュし、昨日の1kmタイムトライアルに続いてインカレ・ケイリン3連覇を飾った。
男女チームスプリントでは男女共に大会および学連新記録を樹立
男子ケイリン同様、予選と決勝が同日での開催となった男女チームスプリント。
女子チームスプリントでは予選で大会および学連新記録を樹立した鹿屋体育大学(岩元美佳/年見穂風/中西美央)と、順天堂大学(田中杏奈/沢登香里/牧田咲子)が決勝へ進出。決勝では予選タイムからさらにタイムを伸ばした鹿屋体育大学が53秒369の大会および学連新記録でインカレ・女子チームスプリント3連覇を飾った。
男子チームスプリントでは予選で大会および学連新記録を樹立した日本大学(邊見竜馬/三神遼矢/伊藤京介)と、大会記録を樹立した中央大学(大橋真慧/市田龍生都/井出晃太郎)が決勝へ進出。
決勝では1走、2走ともにほとんど差がなく、最後はケイリン決勝でも素晴らしいレースをした伊藤京介(日本大学)と市田龍生都(中央大学)の勝負に。
残り半周でもほとんど差がつかず、最後もわずか0.1秒差という僅差となったレースを日本大学が制し、日本大学としては2017年以来6年ぶりに同種目での優勝を飾った。
「日大、4年間ありがとう」男子ケイリンで3連覇を達成した市田龍生都(中央大学)のコメント
「やはり日大は強かった。悔しい思いもありますが、日大に対しては「4年間ありがとう」という思いです。大学でケイリンを走るのはこのレースが最後になるので、僕らしさを発揮して負けるならそれまでという思いで走りました。日大の伊藤京介は僕が2年生の頃からずっとライバル視していたんですが、(全日本トラックを除いて)インカレといった大学のレースで一緒に走ることは今まで一度もなく、今回最高の舞台で同じレースを走ることができ、過去一番楽しいケイリンのレースを走ることができました。残り2周半で伊藤と僕が並走したときは2人して笑顔になってしまって。チームスプリントでは負けて悔しいですが、悔いはないです。今後は競輪選手になって父(元競輪選手で特別競輪でも優勝経験のある佳寿浩さん)を越えることが目標です」
「先輩を信じて、強い思いで走った結果チームスプリントで優勝することができた」伊藤京介(日本大学)のコメント
「ケイリンで市田選手との過去一番のレースを終えた後だったので、疲労は過去最高にありましたが、予選で素晴らしいタイムを出してくれた1走、2走の先輩の走りを信じて、最後は自分が限界まで出しきれれば勝てるという強い思いで走ることができたので、最後は0.1秒差ですが勝つことができたんじゃないかなと思います。チームスプリントの練習自体はあまりやっていなかったんですが、みんなで苦しい練習を毎朝早くから積んできたことで生まれた固い絆が最後に強く出たんじゃないかなと思います。ケイリン決勝では市田さんが絶対に先行してくるとイメージしていたので、その後ろから捲って差すことをイメージしていました。並走することまではできたんですが、4コーナーから市田さんがすごい伸びて、4年生の力は本当にすごいなと。僕が大学1年生の時から追いかけ続けた選手だったので、最後に本当に充実したレースができたんじゃないかと思います。学連の最強は僕が市田さんから引き継ぐ形で、来年は負けなしで終れるようになりたいと思います。明日のスプリントでは同じ日大の先輩である三神さんが一番のライバルで、どっちが勝つかはわかりませんが、最後の最後に僕が勝てればいいなと思っています」
男子オムニアムでは最終ポイントレース終盤までもつれる混戦を岡本勝哉(日本大学)が制す
男子オムニアムもケイリン、チームスプリント同様に予選・決勝を同日に開催。予選を勝ち上がった18名の選手が決勝レースに出走。最初の種目であるスクラッチでは菅原 聡(順天堂大学)が単独でのラップに成功し、1位を獲得すると、続く2種目目のテンポレースでは優勝候補の岡本勝哉(日本大学)がこちらも単独でのラップに成功し、1位を獲得し、続くエリミネーションでも岡本が1位を獲得。
岡本が116ポイントで1位、梅澤幹太(鹿屋体育大学)が108ポイントで2位、北村翔太(日本体育大学)が98ポイントで3位という状態で、最終種目ポイントレースを迎える。
最終種目ポイントレースでは最初のポイントこそ岡本が1着で通過するものの、2回目のポイント前にスクラッチで1位を獲得している菅原らが抜け出し、菅原、武智 光(愛媛大学)、清水稜太郎(明治国際医療大学)の3名がラップに成功する。
さらに、2021年のインターハイ・ポイントレース王者である山下虎ノ亮(中央大学)や矢萩悠也(京都産業大学)も飛び出し、ペースをコントロールしながら8回目のポイントまで逃げ続ける。
8回目のポイントを終えて山下の矢萩がラップに成功すると、山下が山本大智(朝日大学)と再び集団から飛び出し、9回目のポイントを終えてからラップに成功する。
山下が2度のラップ成功とそこに至るまでのポイント周回でのポイント獲得でトップの岡本に対して2点差にまで迫り、さらに山本もラップにより3位まで順位を上げた状態でフィニッシュのポイントを残すのみとなる。
山下と山本がラップしたことで梅澤が単独先頭に立つと、梅澤はそのまま逃げ続け、フィニッシュを1着で通過。岡本が2着、山本が3着でフィニッシュし、梅澤と山本が123点で同点に並ぶとフィニッシュ着順により梅澤が逆転で3位を決め、1位岡本、2位山下、3位梅澤が確定。
昨年まで兒島直樹(当時日本大学)が3連覇していたインカレ・男子オムニアムのタイトルを岡本が獲得し、日本大学としては4連覇を飾る形となった。
「大学対抗で重要な種目であるオムニアムで優勝できてホっとしている」岡本勝哉(日本大学)のコメント
「調子自体はあまり良くはないなと感じていたんですが、スクラッチで3位、テンポレースとエリミネーションで1位とうまく走ることができ、ポイントレースにつなぐことができました。ただ、そのポイントレースではマークされていたとはいえ、力の差を見せつけられてしまったのかなと感じています。(山下虎ノ亮(中央大学)に2回目のラップされた際は)さすがに焦りましたが、それまでもポイントを取れてはいたので、2位や3位との差は把握できていました。また、日大の応援の力は感じました、自分の名前を呼んでもらうことで勢いをつけることもできましたし。オムニアムは個人種目ですが、大学対抗のポイントにおいては団体種目と同じポイントが獲得できるので、そんな重要な種目で優勝できてホッとしています。明日はマディソンとチームパシュートがあるので、マディソンではしっかりと優勝を目指して、チームパシュートでは一緒に走るメンバーの走りを信じて、3冠を狙いたいと思います」
大学対抗は日本大学と中央大学の2強に注目
大会最終日となる8月27日は女子オムニアムや男女およびタンデムのスプリント、男子マディソン、そして男子チームパシュートの決勝が開催される。
大会2日目を終え、大学対抗のポイントでは男子は日本大学と中央大学がそれぞれ52点と49点で3位以降を大きく突き放し、女子では鹿屋体育大学と順天堂大学が24点と21点で3位以降を大きく突き放している。
どちらの大学が1位の状態で来週の個人ロードレースを迎えるのか注目だ。
リザルト
女子3kmインディヴィジュアルパシュート
1位:渡部春雅(明治大学) 3分49秒515
2位:大関奏音(日本体育大学) 3分56秒409
3位:大蔵こころ(早稲田大学) 3分56秒013
4位:石田明梨(同志社大学) 4分0秒087
5位:牧田咲子(順天堂大学) 3分59秒917
6位:岩元美佳(鹿屋体育大学) 4分2秒415
※1位~4位は決勝及び順位決定戦でのタイムにより決定
男子4kmインディヴィジュアルパシュート
1位:安達光伸(朝日大学) 4分23秒996
2位:伊藤 恭(中央大学) 4分24秒362
3位:大仲凜功(早稲田大学) 4分26秒456
4位:伊澤将也(鹿屋体育大学) 4分34秒546
5位:生野優翔(日本大学) 4分33秒767
6位:片岡遼真(明治大学) 4分37秒041
7位:増山輝咲(法政大学) 4分37秒813
8位:塩出皓成(順天堂大学) 4分38秒256
※1位~4位は決勝及び順位決定戦でのタイムにより決定
女子マディソン
1位:順天堂大学(牧田咲子/田中杏奈) 40ポイント
2位:鹿屋体育大学(岩元美佳/川本莉子) 29ポイント
3位:法政大学(阿部セラ/ 濱口夕海) -19ポイント
男子ケイリン
1位:市田龍生都(中央大学)
2位:伊藤京介(日本大学)
3位:田村一暉(京都産業大学)
4位:野中龍之介(明治大学)
5位:香西玲良(鹿屋体育大学)
6位:小嶋海音(日本体育大学)
7位:山田壮太郎(慶應義塾大学)
8位:青木光琉(新潟食料農業大学)
男子オムニアム
1位:岡本勝哉(日本大学) 132ポイント
2位:山下虎ノ亮(中央大学) 124ポイント
3位:梅澤幹太(鹿屋体育大学) 123ポイント
4位:山本大智(朝日大学) 123ポイント
5位:菅原 聡(順天堂大学) 105ポイント
6位:川野碧己(慶應義塾大学) 99ポイント
7位:北村翔太(日本体育大学) 98ポイント
8位:矢萩悠也(京都産業大学) 94ポイント
女子チームスプリント
1位:鹿屋体育大学(岩元美佳/年見穂風/中西美央) 53秒369
2位:順天堂大学(田中杏奈/沢登香里/牧田咲子) 54秒222
3位:法政大学(濱 彩春/濱口夕海/阿部セラ) 54秒694
4位:日本体育大学(大野風貴芽/大関奏音/米田千紘) 55秒547
男子チームスプリント
1位:日本大学(邊見竜馬/三神遼矢/伊藤京介) 45秒225
2位:中央大学(大橋真慧/市田龍生都/井出晃太郎) 45秒397
3位:明治大学(野中龍之介/吉岡優太/吉田唯斗) 46秒866
4位:法政大学(小西涼太/福地晶/横溝貫太) 47秒247
5位:鹿屋体育大学(小谷寛待/香西玲良/伊澤将也) 47秒710
6位:早稲田大学(諸隈健太郎/中野大詞/大仲凜功) 47秒953
7位:日本体育大学(山本和瑳/庄司佳真/小嶋海音) 48秒003
8位:朝日大学(伊藤涼介/白井 輝/上杉有弘) 48秒144
※5位~8位は予選でのタイムにより決定
レースに関する問い合わせ:日本学生自転車競技連盟
https://jicf.info/
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Bicycle Club編集部
ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
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