総合リーダーのカルボーニがクイーンステージを制す!|ツアー・オブ・ジャパン富士山
Bicycle Club編集部
- 2024年05月25日
5月19日から26日にかけての8日間・8ステージにて開催されているツアー・オブ・ジャパン2024。大会6日目となる24日は静岡県小山町にて第6ステージとして今大会のクイーンステージとなる富士山ステージが開催された。総合リーダージャージを着用したジョバンニ・カルボーニ(イタリア、JCL TEAM UKYO)が独走でフィニッシュし、クイーンステージを制し、カルボーニは総合成績で2位以下に2分以上のタイム差をつけ、次の相模原ステージに臨むこととなった。
総合争いを決定づける富士山ステージ
5月19日から26日にかけての8日間・8ステージにて開催されているツアー・オブ・ジャパン2024(以下、TOJ)。大会6日目となる24日は静岡県小山町にて第6ステージとして今大会のクイーンステージとなる富士山ステージが開催された。
TOJ全8ステージの中で最もタイム差がつくのがこの富士山ステージ。ステージレースの中で最も厳しいステージに与えられるクイーンステージの称号。TOJにおいてこの称号を与えられているのが富士山ステージだ。前日の信州飯田ステージでは総合成績としては大きな動きがなく、この富士山ステージでどのような動きとなるのか注目された。
ポイント賞ジャージを奪還したい寺田吉騎が中間ポイントを積み重ねる
レースはリアルスタート直後からシマノレーシングが中間スプリントポイントを狙う寺田吉騎(シマノレーシング)をアシストする形で先頭に送り出しし、その動きに数名の選手が追走。バイクトラブルなどもあり、最終的に以下の5名の選手が逃げ集団を形成する。
- マックス・ウォーカー(イギリス、アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)
- ダヴィデ・トネアッティ(イタリア、アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)
- ライアン・カバナ(オーストラリア、キナンレーシングチーム)
- 山口瑛志(レバンテフジ静岡)
- 寺田吉騎(シマノレーシング)
5名の選手は協調しながら逃げ続け、1分弱のタイム差をもって周回コースの2周目に設定された中間スプリントポイントを迎える。ローテーションの順番を少し変えるような動きを見せながら各選手が警戒する中、カバナがアタック。さらにカバナのアタックにしっかりと反応した寺田が1回目の中間スプリントを1着で通過し、カバナ、ウォーカーの順で通過する。一方メイン集団は総合リーダーチームであるJCL TEAM UKYOがコントロールする。
4周回目に設定された2回目の中間スプリントポイントに向けて5名が逃げる中、山口が少し遅れては戻るような動きを見せ、さらにコース西側にあるオカムラ御殿場工場からの上り区間でカバナがアタック。この動きにすぐに追走に入ったのはトネアッティ。寺田は少し車間を開けて追走し、ウォーカーも追走、山口がこのタイミングで少し遅れる。
選手たちは補給所でボトルを受け取っては水を体にかけるなど、気温がかなり高い中でのレースに。4名の選手たちは中間スプリントに向けた動きを優先するカバナ、寺田と、アスタナの2名で少し協調が崩れる場面も。ペースが少し落ちたこともあり山口も逃げに復帰する。下り区間では寺田とカバナがローテーションの順番を入れ替え、中間スプリントポイントに向けてお互いが意識しているのがわかる場面も。
アスタナ勢がペースをコントロールし、スプリント間際になると寺田とカバナを前に出す。寺田が先頭でカバナの動きを見る中、残り100mあたりでカバナがアタックし、カバナ、寺田、山口の順で通過。この時点で寺田がポイント賞のポイントを8点加算し、わずか1点ではあるものの、再びカルボーニからポイント賞ジャージを奪い返すことに成功する。
寺田は中間スプリントを終えたタイミングで先頭から離脱、先頭は4名に。周回コースの西側を勝負の舞台となるふじあざみラインへと向かう中、カバナが先頭を牽く意思を見せなくなると、ウォーカーが単独でアタック。さらにトネアッティも抜け出してアスタナの2名が先頭に立ち、ふじあざみラインへと向かう。一方、ふじあざみラインへのコースも上り坂となっている関係で、プロトンでも勝負が始まる。
総合リーダーのジョバンニ・カルボーニが独走でクイーンステージを制す
ふじあざみラインに入ると先頭ではウォーカーがトネアッティを発射する。
ふじあざみラインの序盤、残り9kmでタイム差が1分まで縮まると、メイン集団の人数もかなり絞られる。そしてここで勝負の鐘を鳴らすかのように、昨年このステージで2位に入っているベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、ヴィクトワール広島)がアタック。追走は総合リーダーのジョバンニ・カルボーニ(イタリア、JCL TEAM UKYO)、クドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(エリトリア、トレンガヌサイクリングチーム)の2名となり、2名がダイボールに追いついて追走は3名に。
残り6kmを切った旧馬返しと呼ばれる区間で、追走の3名がトネアッティに追いつき、トネアッティはそのままついていくことができず先頭は3名に。ダイボールがペースをコントロールする中、後ろからはアドネ・ファン・エングレン(オランダ、ルージャイ・インシュアランス)が追走、15秒程度のタイム差で追走する。
残り2kmを前にここまで静観を見せていたクドゥスがアタックし、追走はカルボーニのみ、ダイボールは少し遅れる。さらに残り1kmを前にクドゥスが苦しそうな動きを見せると、カルボーニがアタックし、一気に差を広げる。
カルボーニはそのまま独走でフィニッシュ前に姿を現し、総合リーダージャージを着用した状態でクイーンステージ・富士山ステージを制するという素晴らしい走りを見せた。そして、総合成績で2位以下に2分以上のタイム差をつけて相模原ステージを迎えることとなった。
2位にはクドゥスが、3位にはダイボールが入る。クドゥスとダイボールの差はわずか2秒となり、総合成績では2位ダイボールに対して3位クドゥスが3秒差という僅差の状態に。この日は中間スプリント含めてボーナスタイムの設定がなかったが、翌日の相模原ステージ、2日後の東京ステージでは中間スプリントポイントおよびフィニッシュでの上位3名にボーナスタイムが設定されており、中間スプリントポイントでは3秒、2秒、1秒、フィニッシュでは10秒、6秒、4秒がそれぞれ上位3名に与えられる。フィニッシュだけでなく中間スプリントでも総合順位が入れ替わるという状況なだけに、明日のレースでクドゥスや9位のカーター・ベトルス(オーストラリア、ルージャイ・インシュアランス)までの選手たちがどのような動きを見せるのか注目だ。
また、中間スプリンポイントおよびフィニッシュはポイント賞ジャージにも大きな影響を与える。さらに山岳賞ジャージ争いについても、ニコラス・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)が3回設定されている山岳賞ポイントをすべて1着で通過し、現山岳賞リーダーの中井唯晶(シマノレーシング)が1ポイントも獲得できなければ、大逆転で山岳賞ジャージが入れ替わる可能性もまだ残されている。明日は様々な思惑の中でレースが展開されることが予想されるだけに、どのようなレースとなるのか注目いただきたい。
リザルト
第6ステージ・富士山ステージリザルト
1位:ジョバンニ・カルボーニ(イタリア、JCL TEAM UKYO) 2時間11分53秒
2位:クドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(エリトリア、トレンガヌサイクリングチーム) +21秒
3位:ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、ヴィクトワール広島) +23秒
4位:アドネ・ファン・エングレン(オランダ、ルージャイ・インシュアランス) +41秒
5位:ニコラス・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム) +58秒
6位:小林 海(マトリックスパワータグ) +1分10秒
7位:ザッカリー・マリッジ(オーストラリア、チームブリッジレーン) +2分1秒
8位:マシュー・グリーンウッド(オーストラリア、チームブリッジレーン) 同
9位:ネイサン・アール(オーストラリア、JCL TEAM UKYO) +2分27秒
10位:ドリュー・モレ(オーストラリア、キナンレーシングチーム) +2分30秒
富士山ステージ終了時点個人総合成績
1位:ジョバンニ・カルボーニ(イタリア、JCL TEAM UKYO) 14時間16分44秒
2位:ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、ヴィクトワール広島) +2分7秒
3位:クドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(エリトリア、トレンガヌサイクリングチーム) +2分10秒
4位:ニコラス・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム) +2分28秒
5位:ザッカリー・マリッジ(オーストラリア、チームブリッジレーン) +2分42秒
6位:アドネ・ファン・エングレン(オランダ、ルージャイ・インシュアランス) +2分49秒
7位:ドリュー・モレ(オーストラリア、キナンレーシングチーム) 同
8位:小林 海(マトリックスパワータグ) +3分2秒
9位:カーター・ベトルス(オーストラリア、ルージャイ・インシュアランス) +3分12秒
10位:アナトリー・ブディアク(ウクライナ、トレンガヌサイクリングチーム) +3分52秒
個人総合リーダージャージ:ジョバンニ・カルボーニ(イタリア、JCL TEAM UKYO)
ポイント賞ジャージ:寺田吉騎(シマノレーシング)
山岳賞ジャージ:中井唯晶(シマノレーシング)
新人賞ジャージ:ニコラス・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)
大会公式サイト https://www.toj.co.jp
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