BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo

STORE

  • FUNQTEN ファンクテン

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ
  • Bicycle Club BOX

レムコ金メダル! 雨中の激戦でガンナ、ワウトに走り勝つ|パリ五輪個人タイムトライアル

現地7月26日に開幕したパリ五輪は、翌27日から自転車競技がスタート。その皮切りとして男女の個人タイムトライアルが行われ、男子はレムコ・エヴェネプール(ベルギー)、女子はグレース・ブラウン(オーストラリア)がそれぞれ金メダル。ツール・ド・フランスを戦い終えたばかりのレムコは、早くから目標に据えてきた五輪個人TT金メダルを獲得。銀メダルにはフィリッポ・ガンナ(イタリア)、銅メダルにはワウト・ファンアールト(ベルギー)がそれぞれ輝いている。

レインコンディションを切り裂いて進んだレムコ

26日にセーヌ川で華やかに開会式が催されたパリ五輪(一部競技は開会式に先立って行われている)。実質の競技開始日にあたる27日から、自転車競技のロード種目が始まっている。

先陣を切って実施されるのは男女の個人タイムトライアル。多くの競技がパリの中心部で行われるように、ロードコースもパリの街を駆け抜けるルートが採用されている。具体的には、アンヴァリッドを出発し、セーヌ川にかかるシュリー橋を通過。バスティーユ広場を抜けるとヴァンセンヌの森に入って、連続コーナーをクリア。ヴァンセンヌ城を見ながら進んだのち、再びバスティーユ広場へ。それからは往路と反対のルートを伝ってセーヌ川にかかるアレクサンドル3世橋にフィニッシュする。レース距離は32.4km。

レイアウト的にはおおむね平坦で、コースが正式発表された昨夏からTTスペシャリスト向きとの評価がなされていた。実際に、男女ともにトップシーンで活躍する選手たちを中心に独走力に長ける選手たちがエントリーした。

パリは前日から雨が降り続き、レースの時間を迎えても降ったり止んだりの繰り返し。ときおり強く降りつける時間帯もあり、スタート時間による有利・不利はほとんど感じられない状況。何より、ウェットな路面への対応力が問われる格好にもなった。

出走したのは34人。一番出走のアミール・アンサリ(難民選手団)から、以降1分30秒おきに選手たちがコースへと繰り出す。早い段階で出走した選手の中では、9番目にスタートしたマティアス・ヴァチェック(チェコ)が37分55秒で走り、しばしトップタイムについた。

降り続く雨はいくつもの波乱を呼ぶ。マグナス・シェフィールド(アメリカ)はクラッシュし、最後から5番目にコースへ飛び出した優勝候補のひとり、ジョシュア・ターリング(イギリス)はコース前半で前輪をパンク。バイク交換をして再出発する。

タフな状況下で好走したのは24番出走のワウト。レースを前に前後ディスクホイールを試す様子が欧米のサイクルメディアを中心に話題になっていたが、実際にレースでも同様のスタイルで登場。13.1km地点に置かれた第1計測、22km地点に置かれた第2計測とも暫定トップで通過すると、フィニッシュタイムも36分37秒とその時点での一番時計。最初の37分切りでもあった。

その後の選手がワウトを上回れず、ターリングもわずかに届かず。大きな注目は最後の2人、ガンナとレムコの走りへ。

先にコースへと出たガンナは序盤から飛ばして、第1計測でワウトを2秒ほどリード。コーナーが多い中盤区間は慎重に走って、一度はワウトのタイムから遅れる。しかし直線的なレイアウトに戻る終盤に再びペースを上げると、再びその時点のトップに。フィニッシュタイムは36分27秒。ワウトを約10秒上回って、レムコのフィニッシュを待った。

© SWpix.com

最終走者のレムコは、誰よりも強く、速い走りを披露した。スタートから飛ばして、第1計測でガンナを7秒リード。これで完全に軌道に乗せて、第2計測もトップタイムを塗り替える。ウェットな路面を攻めに攻めて、フィニッシュタイムは36分12秒。トップに立ったばかりのガンナのタイムを15秒更新し金メダルを確定。フィニッシュではモニターに映し出された計測タイムに目をやって勝利を確信。力強いウイニングセレブレーションでみずからの勝利を祝った。

© SWpix.com

レムコは2000年1月25日生まれの24歳。バックボーンはサッカーで、年代別のベルギー代表主将を務めた経歴を持つほどの有望選手だった。その後ロードレースに転向し、ジュニア時代から敵なし。アンダー23カテゴリーを飛ばしてトッププロになると、2022年にロードレースで、昨年は個人タイムトライアルで世界選手権を制した。グランツールでは2022年のブエルタ・ア・エスパーニャを制し、今年は初出場のツール・ド・フランスで個人総合3位。ヤングライダー賞のマイヨ・ブランを獲得した。

これまで数々のタイトルを獲得してきたレムコだが、ついに五輪でも頂点に。またひとつ、大きな勲章を手に。レース後には2位となったガンナや3位のワウトと健闘を称え合った。

女子はブラウンが別次元の走り

男子に先立って行われた女子は、ヴァンセンヌの森のテクニカルなコーナーで落車が多発。ときおり強く雨が降りつけるハードなコンディション下で選手たちはトップを目指した。

ロード、トラックで複数の種目に出場予定のロッテ・コペッキー(ベルギー)は、これがこの五輪最初のレース出場。その走りに期待がかかったが、落車でタイムロス。地元期待のジュリエット・ラブー(フランス)が41分19秒で走破して、残りの選手たちの帰りを待つ。

昨年のツール・ド・フランス ファムを制しているデミ・フォレリング(オランダ)や、先のジロ・デ・イタリア・ウィメンを勝ったエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)らもトップには届かない。

一方で、最後から4人目に出走したアンナ・ヘンダーソン(イギリス)が好ペースを刻むと、後半もスピードを維持してラブーのタイムを更新。41分9秒で走って、トップに立って残り3人の走りを見守る。

© SWpix.com

この日最高の走りを見せたのがブラウンだった。第1計測からヘンダーソンを20秒上回ると、第2計測でその差は51秒まで広がる。後半も別次元の走りでハイペースを維持して、フィニッシュタイムは驚異の39分38秒。平均スピード49.05kmと、男子選手顔負けの強さを発揮した。

最終出走のクロエ・ダイガート(アメリカ)も途中で落車に見舞われ、後半にスピードアップを図ったもののトップまでは届かず。ブラウンから1分32秒差の3番時計だった。

この結果、ブラウンの金メダルが決定。ヘンダーソンが銀、ダイガートが銅でそれぞれメダルを獲得した。

© SWpix.com

ロード種目はおおよそ一週間後の8月3日に男子ロードレース、翌4日に女子ロードレースが行われる。

男子個人タイムトライアル金メダル レムコ・エヴェネプール コメント

© SWpix.com

「人生においても、キャリアにおいても特別な瞬間になった。これから頭と体にこの事実を浸透させる必要がありそうだ。本当にクレイジーで、いまだに信じられない。

昨日の朝の時点で調子の良さを実感して、今日も目が覚めた時にフレッシュな気分だった。勝てるかもしれないとは思っていたけど、最初から最後まで全力を尽くしたのでどんな結果になっても自分の走りを誇れると感じていた。

女子のレースをワウトと一緒に見ていて、自分たちのレース時に危険を冒さないよう心がけようと思っていた。チームスタッフともストレートでプッシュするだけで十分だと話していた」

パリ五輪 男子個人タイムトライアル(32.4km)結果

1 レムコ・エヴェネプール(ベルギー) 36’12”
2 フィリッポ・ガンナ(イタリア)+0’15”
3 ワウト・ファンアールト(ベルギー)+0’25”
4 ジョシュア・ターリング(イギリス)+0’27”
5 ブランドン・マクナルティ(アメリカ)+1’04”
6 シュテファン・ビッセガー(スイス)+1’26”
7 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル)+1’31”
8 シュテファン・キュング(スイス)+1’35”
9 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ)+1’38”
10 ミッケル・ビョーグ(デンマーク)+1’43”

パリ五輪 女子個人タイムトライアル(32.4km)結果

1 グレース・ブラウン(オーストラリア) 39’38”
2 アンナ・ヘンダーソン(イギリス)+1’31”
3 クロエ・ダイガート(アメリカ)+1’32”
4 ジュリエット・ラブー(フランス)+1’41”
5 デミ・フォレリング(オランダ)+1’51”
6 ロッテ・コペッキー(ベルギー)+1’56”
7 キム・キャゾウ(ニュージーランド)+2’08”
8 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)+2’11”
9 オドレー・コルドンラゴ(フランス)+2’13”
10 クリスティーナ・シュヴァインバーガー(オーストリア)+2’14”

SHARE

PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

No more pages to load