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クリステン・フォークナーが残り3kmで抜け出し金メダル 與那嶺恵理26位|パリ五輪女子ロードレース

パリ五輪の自転車競技・ロード種目の最後を飾った女子ロードレースは、4選手の争いからクリステン・フォークナー(アメリカ)が抜け出し、そのまま独走。最終盤の猛追で先頭に追いつくと、そのままの勢いでトップに立って金メダル獲得へとつなげた。日本勢唯一の参戦だった與那嶺恵理は26位でレースを終えている。

モンマントル周回で人数が絞り込まれる

前日はレムコ・エヴェネプール(ベルギー)のロード種目2冠に沸いたパリは、その余韻を残したまま女子ロードのスタートを迎えた。157.6kmに設定されるレースは、おおよそ男子と同じルートを走り、ショートカットしてパリ郊外の丘陵地へ。ワンウェイルートを110km走ると、モンマントルの丘を含む18.4kmの周回コースを3周。男子ロードでも決定打が生まれた重要区間を経たら、残りの9.5kmはパリ中心部への帰還に向けた最終局面となる。

© SWpix.com (t/a Photography Hub Ltd)

男子と同数の90人が出走したレースは、まず1選手の逃げを容認し、集団はスローペースで進行。のちに逃げメンバーが入れ替わると、さらに5人が前線合流に向けて追走を開始。スタートから約50km進んだところで6人逃げがまとまり、レースを先導した。

メイン集団ではオランダがエレン・ファンダイクを前に出してペースメイクを開始。2012年のロンドン五輪で銅メダルを獲得しているオルカ・ザベリンスカヤ(ウズベキスタン)がひとりで先頭グループへのブリッジを試みたが、30kmほどの単独走ののち集団に引き戻される。フィニッシュまで70kmを切ろうかというあたりからファンダイクがさらにペースを上げて、最大4分あった先頭とのタイム差が徐々に縮まっていった。

丘陵地帯へ入ったところでマビ・ガルシア(スペイン)が仕掛けると、集団は一斉に活性化。この直前に集団内で落車が発生していたことも関係し、遅れる選手の姿も見られるようになる。その中には、3年前の東京五輪で独走勝利を挙げたアナ・キーゼンホーファー(オーストリア)の姿もあった。

さらにアンナ・ヘンダーソン(イギリス)がアタック。ここはマリアンヌ・フォス(オランダ)がチェックし、他の有力選手も追随。この頃には先頭は2人まで減っており、スピードが上がる一方のメイン集団とのタイム差は数十秒となる。

残り距離が50kmを切り、周回コースへのコーナーに入ったところで集団前方を走っていたロッテ・コペッキー(ベルギー)が落車。クロエ・ダイガート(アメリカ)やエリーズ・シャベイ(スイス)が巻き込まれ、さらに集団後方の選手たちが足止めを余儀なくされる。前方ではガルシアが上りを利用してペースを上げたことで、人数が急速に絞り込まれる。同時に逃げの2人はパスされ、最前線に位置できたのは12人となった。

遅れていたコペッキーは自力で先頭合流を果たしたものの、同様に優勝候補に挙げられていたデミ・フォレリングやロレーナ・ウィーベスのオランダ勢は前線への復帰が難しい状況に。先頭グループに入ったフォスが重要な役割を担う形になった。

アタック一発で金メダルを射止めたフォークナー

先を急ぐ先頭グループは、3人を残したイギリス勢が積極的に牽引。ヘンダーソンとエリザベス・ダイグナンが役目を果たすと、ファイファー・ジョルジが下りでアタック。これは決まらなかったが、上りで一度遅れていたダイグナンが再合流したところでみずからアタック。ここにフォスとカタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー)がチェックに入り、そのまま他のメンバーを引き離しにかかった。

効果的な動きを見せたダイグナンだったが、直後の上りで後退。フィニッシュまで21kmとなったところでフォスとヴァシュが先頭に立ち、後続との差を広げる。後ろでは厳しいマークにあうコペッキーが牽かされる形になるが、モンマントルへの石畳の上りで数人を引き離すことに成功。唯一同調できたフォークナーと追走態勢に入った。

© SWpix.com (t/a Photography Hub Ltd)

先頭交代をしながら進むフォスとヴァシュだが、最後のモンマントルで再加速したフォークナーとコペッキーが猛追し、30秒あったタイム差があっという間に数秒に。6秒差が数キロ続いたが、残り5kmで3秒差に。前日は独走勝利目前だったレムコがパンクしヒヤリとさせたルーヴル美術館脇のキャルーゼル広場で、追走2人がついに先頭に合流した。

メダル争いが4人となった直後、フィニッシュまで3kmのタイミングでフォークナーがアタック。ヴァシュが反応するも追いきれず、スプリント力に長けるコペッキーとフォスも牽制。3人の脚が止まったことで、フォークナーは一気に優勢に。数百メートルのうちに20秒以上のタイム差を得て、金メダルを確実なものとした。

© SWpix.com (t/a Photography Hub Ltd)

エッフェル塔をバックにフィニッシュへとやってきたフォークナー。31歳にして初めてつかんだ五輪出場で金メダルを獲得。もともとはトラック競技・チームパシュートの一員としての代表選出で、ロードレースについては補欠扱いだったところからの緊急昇格だったという。

その経歴もユニークで、2016年にハーバード大学を卒業後、ニューヨークのベンチャー企業の投資部門で勤務。それまではボート競技で有望視された選手だったが、自転車競技に転向。2020年にプロライダーとして活動を始めた当時は、まだシリコンバレーのベンチャー企業の投資部門でフルタイム勤務していたとか。

以後は競技メインの生活となり、2022年にはジロ・デ・イタリア ドンネでステージ2勝。今季もブエルタ・エスパーニャ・フェメニーナでステージ1勝を挙げ、国内選手権では女王にも輝いていた。五輪ロードの2日後には当初の“本職”チームパシュートが控えており、慌ただしい日々がもう少し続く。

© SWpix.com (t/a Photography Hub Ltd)

2位争いはフォークナーから58秒差まで広がって、3人のスプリントはフォスが先着。コペッキーが続き、それぞれ銀メダル・銅メダルを獲得した。

© SWpix.com (t/a Photography Hub Ltd)

終始メイン集団でレースを進めた與那嶺は、5分差の26位でレースを終えた。

與那嶺恵理 レース後コメント

「今回のコースが自分向きではなかったのですが、ベストのパフォーマンスを出せたと思います。目標としていた15位を狙える集団で最後の周回コースには入れたのはとても良かったです。周回コースで落車があり、集団が割れてしまう場面もありました。結果の着順は26位でしたが、17位グループと同タイムでしたし、自分としては力を出し切れたので満足しています。日本からの沢山の応援、ありがとうございました。」

※JCFのリリースより

パリ五輪 女子ロードレース(157.6km) 結果

1 クリステン・フォークナー(アメリカ) 3:59’23”
2 マリアンヌ・フォス(オランダ)+0’58”
3 ロッテ・コペッキー(ベルギー)ST
4 カタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー)
5 ファイファー・ジョルジ(イギリス)+1’21”
6 マビ・ガルシア(スペイン)+1’23”
7 ノエミ・リュエッグ(スイス)+2’04”
8 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド)+2’44”
9 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)+3’05”
10 マルタ・ラフ(ポーランド)+3’27”

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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