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ツール・ド・ふくしま初代王者は世界チャンピオンの高岡亮寛!独走で勝利

9月14日(土)と15日(日)、福島県内の15市町村を舞台に、国内最大級の市民ロードレースイベント「ツール・ド・ふくしま」が開催された。2日目となる15日は午前中にレースが行われ、ふくしま240の第2ステージでは終盤に独走した高岡亮寛(Roppongi Express)が優勝し、初代王者に輝いた。同時出走となったふくしま160は小宮貴裕(セマスレーシング新松戸)が、ショートコースのふくしま20は、昨日のふくしま80で優勝した小林柊友(岐阜第一高等学校)がそれぞれ優勝した。

▼初日の模様はこちら
ツール・ド・ふくしま初代王者は世界チャンピオンの高岡亮寛!独走で勝利

ツール・ド・ふくしま初代王者は世界チャンピオンの高岡亮寛!独走で勝利

2024年09月16日

厳しい山岳コースでの激戦

2日目のコースは初日と異なり、浜通り地域の内陸部を南下してJヴィレッジを目指す山岳コース(ふくしま20は大熊町役場をスタートするショートコース)。全長160km、獲得標高2300mを超える国内屈指のタフなコースプロフィールで、激しいレースが予想された。

スタートは朝6時と早い時間だったが、天候は前日から一転し、太陽が顔を出し残暑厳しいレースが予想された。スタートラインには、昨日のレースを完走したふくしま240の参加者76名に加え、ふくしま160の参加者17名、さらに駅伝240参加の4チームを合わせ、合計97名が並んだ。

序盤はアタック合戦、集団は一つに

レースがスタートすると、平坦区間ではスプリント賞ジャージを着る高山恭彰(MAX SPEED 97)が1人飛び出したり、岩間来空(Team Aniki)と山本裕昭(BONDS静岡レーシングチーム)がアタックを仕掛ける場面もあったが、集団は大人数のまま真野ダムへの登りへと入った。登りに入ると集団から飛び出したのは伊藤洋平(ハヤサカサイクルレーシングチーム)だったが、勢いよくそれをパスしていったのは、昨日も積極的にアタックを続けていた鳴海颯(Vini Monzo – Savini Due – OMZ)だった。

鳴海はルーマニア籍のUCIコンチネンタルチームに所属しており、「当初はトロフェオ・マッテオッティ(イタリアのUCI1.1クラスのレース)に出場予定だった」という。彼は快調に登りを進み、集団から森本誠(GOKISO)と岡泰誠(イナーメ信濃山形)が合流し、3人で逃げを形成した。

3人はきれいにローテーションを回しながら、KOMポイントの麓までに集団とのタイム差を30秒まで広げた。KOMでの登りでは鳴海が飛び出す形となったが、昨日も積極的だった石井雄悟(MAS X SAURUS)が集団からジャンプしてパスし、KOMポイントを先頭で通過。

集団が20名に絞られる中、金田遼祐が独走

下りでは再び4人の逃げになったが、「集団がうまく回っていたため逃げは決まらない」と判断した石井が集団に戻り、その後逃げも集団に吸収された。その時点で集団は20名程度に絞り込まれた。

「自転車競技をはじめて3年目。ようやくロードレースらしい走りができるようになった」という金田さん。「ロードレースをやっている人ならシューズひとつで参加できるデュアスロンに興味を持っていただけたら嬉しい」とゴール後にコメント

82km地点のスプリントポイント(津島SPRINT)では、昨日のゴールで集団の先頭を取り2位に入った小林亮(soleil de lest)が先頭で通過し、金田遼祐(筑波大学トライアスロン部)と2人で抜け出す形になった。しかし、その後小林は集団へと戻り、金田の独走が始まった。

現役のデュアスロン全日本チャンピオンである金田は約20kmにわたり独走を続けたが、川内村の登りで集団に吸収された。

高岡亮寛が決定的なアタック、独走でゴール

その後、高岡亮寛(Roppongi Express)のペースアップや、再び石井が飛び出す場面もあり、最後の本格的な登りの前にある補給地点では、集団は以下の12名にまで絞られた。

  • 森本誠(GOKISO)
  • 西尾勇人(7Eleven Cliqq Roadbike Philippines)
  • 高岡亮寛(Roppongi Express)
  • 小林亮(soleil de lest)
  • 岩間来人(Team Aniki)
  • 池谷隆太(PARK)
  • 石井雄悟(MAS X SAURUS)
  • 鳴海颯(Vini Monzon – Savini Due – OMZ)
  • 田村和音(CornoGrande/AbutokuCC)
  • 金田遼祐(筑波大学トライアスロン部)
  • 南広樹(TeamZenko)
  • 市村直生(湾岸サイクリング・ユナイテッド)

最後の本格的な登りで高岡がペースを上げると、池谷が集団から抜け出し、先頭で下りに入った。下りで集団は再びまとまり、森本、西尾、鳴海、南の4人がドロップし、集団は8名になった。

8名は80km/hに迫る速度で下りをこなし、富岡町の市街地へと入った。市街地のアップダウンで勝負を仕掛けたのは「ここで仕掛けると決めていた」という高岡だった。これに唯一反応できたのは小林だった。

この動きで集団はばらけ、優勝争いは高岡と小林の2名に絞られた。事前にフルコースを試走し、コースを熟知していた2人は厳しい表情ながらもローテーションを回しながらゴール近くの海岸線まで進んだが、残り5kmで小林が脚を攣り、完全に失速してしまった。

その後、高岡は独走状態となり、時折後ろとの差を確認しながらもJヴィレッジに戻ってきた。高岡は両手を広げながらゴールし、グランフォンド世界チャンピオンジャージを着用したまま、初代ツール・ド・ふくしまのチャンピオンとなった。

2位には、一度脚が止まったものの最後まで走り切った小林が入り、3位には積極的なレースを展開した金田が入った。

ふくしま240の女子部門では、2日目唯一の完走者となった木下友梨菜(Bellmare Racing Team)が優勝。彼女は来週に世界選手権出場も予定されている。

その他のレース結果

後半の平坦区間で行われたショートコースのふくしま20は、昨日のふくしま80に続き、小林柊友(岐阜第一高等学校)がスプリントを制し優勝した(※本人には取材できなかったが、ジュニア選手はUCIおよびJCFルールにより、レースでの1日あたりの距離制限があるため、2日間にわたり別レースに出場したと見られる)。

ふくしま160は、小宮貴裕(セマスレーシング新松戸)が2位に8分以上の差をつけて優勝した。

駅伝で優勝したイナーメ信濃山形(佐川さん、森さん、高杉さん)。「それぞれ仕事で2日間参加するのは難しかったんで、駅伝に参加できてよかった。240は厳しいけどこれなら参加しやすいですね」とコメント

駅伝240では、2日目の2区で逆転し、3区で大きくリードを広げたイナーメ信濃山形が、各区間優勝と総合優勝を果たした。

大会は無事閉幕、地元の声援も多数

今回初開催となった「ツール・ド・ふくしま」は、2日間のステージラインレースとして大きな事故もなく無事に閉幕した。これは大会に関わる全ての関係者や地域の皆様の協力のおかげである。沿道では地元住民が選手を応援する姿も見られ、「こんなに多くの人が来てくれて嬉しい」という被災地からの声も聞こえた。今回出場した選手たちからのフィードバックを受け、今後もこのレースが継続し、さらに発展していくことを願っている。

「130人あまりという双葉町の町民よりも多くの選手が来てくれてほんとにうれしい。そして原発の被害、今の福島を知ってほしいです」とゴール後の選手たちと話をする双葉町でロードバイクに乗る島さん。初日のロングライド50に参加した
約30年前のグレッグレモンのバイクと当時の復刻ジャージで20に参加した松本さん

リザルト

ふくしま240 第2ステージ

1位 高岡亮寛(Roppongi Express) 4h16m36s
2位 小林亮(soleil de lest) +29s
3位 金田遼祐(筑波大学トライアスロン部) +53s
4位 田村和音(CornoGrande/AbutokuCC) +1m04s
5位 石井雄悟(MAS X SAURUS) +2m03s
6位 岩間来人(Team Aniki) +2m17s
7位 市村直生(湾岸サイクリング・ユナイテッド) +2m52s
8位 池谷隆太(PARK) +3m48s
9位 南広樹(TeamZenko) +8m53s
10位 森本誠(GOKISO) +10m53s

ふくしま240 総合成績

1位 高岡亮寛(Roppongi Express) 6h14m44s
2位 小林亮(soleil de lest) +29s
3位 金田遼祐(筑波大学トライアスロン部) +53s
4位 田村和音(CornoGrande/AbutokuCC) +1m18s
5位 石井雄悟(MAS X SAURUS) +2m03s
6位 岩間来人(Team Aniki) +2m17s
7位 市村直生(湾岸サイクリング・ユナイテッド) +2m52s
8位 池谷隆太(PARK) +3m48s
9位 南広樹(TeamZenko) +9m00s
10位 森本誠(GOKISO) +10m53s

山岳賞

石井雄悟(MAS X SAURUS)

経済産業⼤⾂賞

高岡亮寛(Roppongi Express)

スプリント賞

小林亮(soleil de lest)

ふくしま240 女子

1位 木下友梨菜(Bellmare Racing Team) 6h39s41s

ふくしま160

1位 小宮貴裕(セマスレーシング新松戸) 4h51m58s
2位 井上修平(Team AlterLock) +8m21s
3位 加藤智信(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ) +9m42s

ふくしま20

1位 小林柊友(岐阜第一高等学校) 37m15s
2位 吉川敦
3位 宮崎直樹(チームWADA)

駅伝240 2区

1位 森光流(イナーメ信濃山形) 2h06m51s
2位 吉岡晃(弘前大学医学部自転車競技部) 2h07m18s
3位 渡邊晃教(チーム タキオン) 2h16m24s

駅伝240 3区

1位 高杉知彰(イナーメ信濃山形) 2h31m48s
2位 瀧音亮介(チーム タキオン) 2h55m17s
3位 稲本淳一(BICI CERCATORE) 3h06m49s

駅伝240 総合

1位 イナーメ信濃山形 6h37m12s
2位 チーム タキオン 7h10m08s
3位 BICI CERCATORE 7h36m00s

福島県知事賞

イナーメ信濃山形

ツール・ド・ふくしま公式サイト▼

https://web.tour-de-fukushima.jp/event_top/tdf2024

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せいちゃん

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稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている

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