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瀬戸内そだち、ふっくらプリプリのムール貝を知っているか?

シェフの多くがモンサンミッシェル産ムール貝を贔屓にしている。けれど、国内でも旨い貝が養殖されていることはあまり知られていない。年間生産量は8tと少ないが、瀬戸内海で育ったプリプリのムール貝を紹介する。

稚貝が入ったネットを海に吊るして養殖する

ムール貝はモンサンミッシェル産に限ると思っているシェフは多い。けれど、それに匹敵するぐらい旨いムール貝が大分で養殖されていると豪語する人がいる。大分県別府市のイタリアレストラン『Otto e Sette Oita』の梯 哲哉シェフである。

「うちも以前はモンサンミッシェル産を使っていました。でも、岩本水産のムール貝は実がふっくらで甘みもあり、モンサンミッシェル産に負けていません。僕らが手をかけたら、もっと美味しくなる思います」

国産ムール貝も流通しているが、その多くは牡蠣などに付着したムール貝を剥がし、きれいに掃除したものだ。

片や、岩本義彦氏の岩本水産 (大分県豊後高田市)では、4月に生まれた天然の稚貝を豊後高田沖の内海で養殖している。

「岩本水産」岩本義彦社長。2003年に視察で訪れたオーストリアでムール貝を食べ、いずれ日本でもメジャーな食材になると確信。7年程前養殖を始めた。「大分でしか食べられない料理を出したい」という梯シェフの相談を受け、ムール貝を定期的に提供している。

プランクトンを餌にするムール貝は、一箇所で大量に育てると養分が不足する。そのため150個の稚貝を入れたネット(約40cm四方)を300個用意し、100メートルのロープに結ぶ。 それを約5メートルの深さに宙吊りにし、1年ほど養殖する。

海中から引き上げた直後のムール貝は塊になっている。付着物が付いたまま加工場に持ち帰る。
1年4ヵ月の貝と、引き上げた貝に付いていた、4月に生まれた稚貝(取材は8月末)。稚貝はネットに戻し、再び海に沈める。
貝を1個1個グラインダーで掃除する。「あまり空気に触れさせたくないのでグラインダーにかけたら、すぐに海水が入った容器に戻します」と岩本氏。
加工場でグラインダーにかけ、フジツボなどを取り除いたムール貝。

元々日本にはムール貝は棲息していなかった。明治の開港以来、外国航路の船に付いて持ち込まれたムール貝が昭和初期、全国に広がっていった。

「日本固有のものではないため、ムール貝を食べる文化がありませんでした。漁師はタコの餌にしてきたので、ムール貝は人が食べるものではないという意識が強い。海外で食べた経験がある人は多いと思いますが、漁師の大半がその食べ方や利用方法を知りません」(岩本社長)

そのせいもありムール貝を養殖する業者も少なく、輸入品に押されている。食べ方を知らないのは漁師に限ったことではない。ワイン蒸しか、パエリアに添えるぐらいしかバリエーションがないと思っている人が多いはず。まずは、岩本水産社長の自宅で食べられている、生産者ならではの料理を教えてもらった。

岩本家で定番のムール貝料理を拝見

味噌汁。ムール貝から旨い出汁が出るので、調味料は味噌だけ。

ムール貝のオイル漬け。カキのオイル漬けと同じレシピで作れる。完成したらガラス瓶に移し、ひたひたになるまでオリーブ油を注ぎ、冷蔵庫に。4日で旨味が出てくるので、その後は冷凍庫で保存する。

岩本氏が一番好きな料理がこれ。シンプルなワイン蒸し。

ムール貝の魅力を最大限に引き出す、梯シェフの3つのレシピ

それでは、いよいよ梯シェフに岩本水産のムール貝を使ったイタリアンなレシピを伝授してもらおう。

その前に、梯シェフの料理作りには欠かせない相棒がいる。地獄釜だ。別府や鉄輪では天然温泉の蒸気で食材を蒸す調理方法が昔から親しまれてきた。ムール貝を蒸す時などに地獄釜を活用。また、パスタを茹でる際、温泉水も愛用するが、なくても美味しく作れるレシピを公開してもらった。

温泉湯出量の豊富な別府・鉄輪地域ならではの地獄釜。

なお、ムール貝は塩気が強いため、調理の3時間前に真水に漬けるのが鉄則だ。

ムール貝のオーブン焼き

前菜は「ムール貝のオーブン焼き」。蒸したムール貝に刻んだトマトを載せ、その上にパン粉と乾煎りしたおからをかける。これをオーブンで焼けば完成。パン粉だけだとパサパサになるが、おからをかけることでしっとりとした風味に仕上がる。

【材料】2人分

ムール貝……25個
フルーツトマト……10個
オリーブ油……適量
かぼす……1/2個

[緑のおから]
おから……300g
パセリ……30g

[クルミパン粉]
クルミ……70g
オリーブの葉……20g
ニンニクのみじん切り……1片
パン粉……300g
オリーブ油……適量

【作り方】

1 ムール貝を約5分蒸す。

2 身が付いていない殻を外し、オーブン用の鉄板に並べる。

3 サイコロ状に切ったトマトをムール貝にかける。クルミをフードプロセッサーにかけた後、オリーブの葉(オリーブ茶で可)、ニンニク、パン粉をフードプロセッサーにかける。ボウルに移し、オリーブ油をかける。これをトマトにのせる。

4 緑のおからを作る。おからを乾煎りし、乾燥させる。パセリをすり鉢であたり、その汁をおからに混ぜる。ムール貝に緑のおからをかけ、その上にオリーブ油を注ぐ。230°Cに熱したオーブンで5分焼けば完成。盛り付けてかぼすを添える。

ムール貝とナスのフレゴラ

二品目は「ムール貝とナスのフレゴラ」。フレゴラと呼ばれるサルディーニャ島のパスタ、ナス、事前に蒸したムール貝を用意する。本来はアサリだが、今回はムール貝でチャレンジ。ムール貝の食感を保ちながら、ナスがとろけるまで煮込むのがポイントだ。

【材料】2人分

鶏ガラスープ……500cc
サフラン……ひと摘み
フレゴラ……80g
蒸したムール貝……20個
白ナス(長ナスでも可)……1本
乾燥パプリカ……適量
刻んだパセリ……適量
オリーブ油……適量

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【作り方】

1 シェフは温泉水を使ったが、鶏ガラスープにサフランを入れ、スー プが黄色になるまで弱火にかける。フレゴラを入れ15分程茹でる。

2 別の鍋で5分程蒸し、貝から外しておいたムール貝を入れる。

3 ナスの皮を剥き、サイコロ状に切ったものを入れる。ナスがとろとろになるまで煮込み、ムール貝から出た旨味をナスに吸わせる。

4 自家製の乾燥パプリカを入れる。鍋の水分で乾燥パプリカを戻しながら茹でる。パセリを散らし、オリーブ油をひと回し。

ムール貝の白ワイン蒸しの燻製

メインは「ムール貝の白ワイン蒸しの燻製」。白ワインで蒸したムール貝に燻製をかける。普通の白ワイン蒸しでも十分美味しいが、スモークをかけることでまったく異なる一品に仕上がる。

シェフはスモークガンという道具を駆使しているが、秘密兵器がない場合は知恵を絞ろう。たとえば蒸した料理をボウルに移し、それをやや大きな鍋に入れ、鍋に着火したスモークウッドを入れて燻すことも可能だろう。

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【材料】2人分

オリーブ油……60cc
ニンニク……1.5片
唐辛子……1本
ムール貝……25個
かぼす……2分の1個
白ワイン……40cc

【作り方】

1 鍋にオリーブ油にニンニク、唐辛子を入れ、ゆっくりと沸かす。ムール貝を入れる。かぼすを搾ったら、そのまま鍋に入れる。

2 白ワインを注ぎ、蓋をする。

3 軽く火を入れ、ムール貝の口が開いたら、蓋付きの容器に貝だけでなく、スープも移す。スモークガンの先端を容器に差し込む。

4 着火したスモークウッドをスモークガンにセットし、料理を燻す。

 

【DATA】
岩本水産
住所/大分県豊後高田市呉崎752-2
TEL/090-4348-2773
FAX/0978-22-4417
営業/8:00〜17:00
メール/ingurishgerdentokaki@yahoo.co.jp
2kg(80〜100個)で2,500円(税込、送料別)。サイズの希望も受け付ける。

 

『Otto e Sette Oita』シェフ
梯 哲哉
湯布院の名湯『山荘無量塔・アルテジオ』のシェフを務めた後、独立。大分の海と山の幸をふんだんに使った料理が得意。野菜の下処理や、アクアパッツァなどにも地獄釜を使う。パスタを温泉水で茹でただけの素うどんのような裏メニューも。

Otto e Sette Oita
住所/大分県別府市鉄輪井田2組
TEL/0977-66-4411
営業/11:00〜14:30(L.O.)、18:00〜21:00(L.O.)
休み/火曜
https://www.ottoesetteoita.com/

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buono 編集部

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使う道具や食材にこだわり、一歩進んだ料理で誰かをよろこばせたい。そんな料理ギークな男性に向けた、斬新な視点で食の楽しさを提案するフードエンターテイメントマガジン。

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