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奇跡の鯖干し「ものすごい鯖」を知っているか? 茨城・波崎『越田商店』

魚はそのまま食べても美味しいが、干すことで旨味が増す。つまりは干物だ。この旨味はいかにして生まれるのか。国内随一と称される干物屋を訪ね、その神髄に迫った。

数々の奇跡を生んだ40年物の無添加鯖干し

奇跡と称される干物がある。生み出しているのは茨城県の波崎で営む小さな干物店『越田商店』だ。

「うちは昭和47年からだから、今年で45年。昔は同じような作り方をしてる干物屋がいっぱいあってね」

越田商店の三代目、越田英之氏は懐かしそうに当時を語る。

身の太い良質な鯖を選りすぐっている。

「だけどね、量販店が登場して消費者に安全を届けたいってわけで添加物を入れるようになって。値段も安いってことで、それが普通になっちゃったんだよね。うちだって8年前に親父が漬け汁を捨てるなんて言い出す もんだから、必死に止めたよ」

越田氏が守った漬け汁、これこそがこの物語の中心である。越田商店の干物は水と塩を主成分とした漬け汁に魚を漬け、塩が移り、代わりに余分な水分を抜く。この漬け汁、鰻屋のタレの如く創業から注ぎ足されて使い続けているから驚きだ。さらに驚くのが、水を足すことはないという。つまり水分は魚から滲み出たものな のだ。飽和寸前の高い塩分濃度を保つために塩を加えながら漬け汁は守られてきた。

漬け汁は飽和寸前というだけあり、底をすくうと溶け切らない塩が現れる。ある研究機関が調査したところ、汁のなかには50種以上の酵母が発見された。この酵母が越田商店の宝だ。

「一時は製法を変えようかと思ったけど、こんな店にもファンがいてね。もうダメかな、って思った時に声が掛かるから不思議なもんだよ。そんなこんなでこのスタイルを守り続けてきたら、今度は貴重だってことでもてはやされちゃって……」

ハニカミながら話す越田氏の傍らには四代目の姿がある。長男である彼が幼いころ、魚を頬張る姿を目にし、子どもには安全なものを食べさせたい、この製法を貫くべきだと決意したそうだ。奇跡の干物、それは人とその想いにより今も輝き続けているのだ。

包丁はどれも年季が入っている。

奇跡の干物「ものすごい鯖」はこうして作られる

工程1

七分解凍がもっとも捌きやすいという。写真の通り、骨にはほとんど身が付いていない。これが越田氏の技術力である。

工程2

鯖を漬け汁に浸す様子。漬け汁は創業時に作り、3ヶ月程度で茶褐色になったという。漬けることで旨味が凝縮する。

工程3

漬ける時間は意外にも短時間で1時間程度。見た目の変化はわずかだが、漬ける前とは身質がまったく異なる。

工程4

漬け終えた鯖は、真水で洗う。表面に塩を振って作る干物とは違い、身の中まで漬け汁が滲みているからできる工程だ。

工程5

そして干す。ここでも創業から変わらぬスタイルが貫かれており、天日干しにこだわるのが越田商店のやり方なのだ。

完成!

これが今話題の「ものすごい鯖」!

 

教えてくれた人

越田商店 越田英之さん
日に2000匹もの干物を製造する越田商店の3代目。代々継がれる漬け汁を守りながら、家族で干物を作り続け、根強いファンに支持を得ている。歩留りの高い魚の捌きにも一過言ある。

出典

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buono 編集部

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使う道具や食材にこだわり、一歩進んだ料理で誰かをよろこばせたい。そんな料理ギークな男性に向けた、斬新な視点で食の楽しさを提案するフードエンターテイメントマガジン。

buono 編集部の記事一覧

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