アプローチ ショットが上達する! 基本の打ち方・考え方でしっかり寄せる
EVEN 編集部
- 2024年03月30日
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実は苦手にしている人が多いのが花道からのアプローチだ。きれいに刈り込まれた芝の上だからこそ、きっちりピンに寄せたいという気持ちはどうしても強くなる。そこで、まずはアプローチの“基本のキ”をご紹介。初心者はもちろん、ベテランゴルファーも、もう一度見直してみよう。
花道からのアプローチの基本
基本姿勢は「左手を上からセットしてワキを締める」
まずはアドレスの段階でダフリやトップが出にくい構えを作ることが重要。ライが良い時ほどきれいにヘッドを入れようとして、その結果、インパクトで合わせにいって緩んでしまうことが多くなる。緩まないインパクトを作るためには左ワキを締めて構えると良い。アドレスの時に左腕を胸の上にのせるようにして上からセットすると、締まったアドレスを作ることができる。体と腕に一体感があるアドレスが理想だ。
なんとなくアドレスするのではなく、きっちり左腕を上から回すようにしてセットするだけでインパクトの精度はアップする。
左ワキを締めておくことで体と腕、クラブに一体感が生まれて、手打ちを防ぐことにつながる。
テークバックよりフォローを大きく
インパクトで緩まないようにするためのコツは、テークバックよりもフォローを大きくすること。アプローチの振り幅は5対5だと思っている人が多いが、それではインパクトで緩みやすくなる。インパクトはヘッドが加速しながら迎える必要があり、そのためにはフォロー側を大きくすると良い。振り幅の割合は、テークバック4に対してフォローが6くらいのイメージだ。
フォロー側の割合を大きくしておくと、ボールに当てにいく動きがなくなり、インパクトが通過点になる。
一番避けたいのはヘッドが減速しながら当たること。5対5の振り幅でイメージしているとインパクトで緩みやすくなる。
肩と腰のラインの傾きを揃えれば安定感が増す
手先でボールに当てにいった時に出る間違った動きの典型が、肩のラインと腰のラインがバラバラになること。こうなると、仮にうまくボールにヒットできたとしてもスピン量が安定しないため、距離感が合いにくくなる。基本となるピッチ&ランでキャリーと転がりを安定させるには、肩と腰のラインを常に平行に保ちたい。これにより体の回転で打てるようになる。
肩と腰のラインが平行に揃うのは体の回転を主体にスイングできている証拠。このラインが崩れると入射角はバラバラになる。
腰と肩のラインが平行になっていると前傾角度がキープできるので入射角が一定になる。結果、スピン量が安定する。
体の右サイドでボールを押し込んでラインを出す
アプローチは振り幅が小さいショットなので、手打ちでも上手く打ててしまうことがある。しかし、それでは精度を高めることはできない。ありがちなのが体の正面でインパクトしようとして体の回転が止まってしまうこと。こうなるとフェースにボールがのらないので、いわゆる運ぶような感覚で打つことができない。インパクトからフォローにかけて右肩を押し込むように使うのがポイントだ。
体を使いすぎると不安定になるような感覚があるかもしれないが、むしろ逆で体を積極的に回すことで軌道は安定する。
体の動きは小さくなるが、体の使い方はショットと同じ。アプローチはショットの基本になる動きだ。
手打ちになる人は手元を体の幅におさめること意識する
アプローチが手打ちになっている人の典型的な形が、フォローで手が体の正面から外れてしまうこと。手と体が一体化することが精度の高いアプローチをする条件だが、ボールに当てる意識があると手の動きが強くなってしまうのだ。逆に手を使わない意識をもち、体主体でスイングすることができれば、手は常に体の正面にあり続けるのでヘッドを操作することもできる。
手が体の正面にあり続けることで、安定したインパクトが実現する。結果、入射角がいつも同じになるので距離感も合う。
【左】切り返しから手でクラブを下ろしてしまうと、コックがほどけてヘッドから地面に落ちてしまう。
【右】インパクトは良いスイングをした結果でしかない。手先で当てようとすると手が体の正面から外れてしまう。
左足上がりの花道からのアプローチの基本
左足上がりのアプローチは傾斜に逆らわずに立つ
花道はやや左足上がりになっていることが多い。ここで傾斜に逆らうように立ってしまうと、ヘッドが上からガツンと入りやすくなり、飛んだり飛ばなかったりというミスが起こる。左足上がりは傾斜なりに構えるのが正解。自然に右足体重になるはずで、そのままの状態でスイングしよう。無理にボールを上げようとしなくても、傾斜なりに打てばナチュラルに上がってくれる。
傾斜に逆らわず立つことで、左足に自然に体重がのります。
傾斜に逆らって立つとヘッドが上から入って出球が強くなるので、飛距離のコントロールが難しくなる。
ピン奥なら右、ピン手前なら左にボールを置く
ピン位置はエッジから近かったり遠かったりと様々だが、打ち方を変えるのではなくボール位置で球筋を変えよう。例えばピンが近くて、ふわりと柔かいボールを打ちたい時はスタンス中央よりも左足寄りに置く。逆に球足を長くしたい時は、右足寄りにボールを置いて出球の高さを抑える。基本的に振り方は変えずに、傾斜なりに構えて傾斜なりに振っていくだけだ。左に置くほど飛ばなくなることを把握しておこう。
【左】ボール位置を右にするだけで入射角が鋭角になり、出球が低くなる。低く打とうとせずに傾斜なりに振ることだけを考える。
【右】ボール位置を左にするとアタックアングルが大きくなり高さが出やすくなる。すくい打ちにならないように注意しよう。
ボールを上げて止めたい時のアプローチショット
花道で左足上がりの状況で、かつピンが手前などボールを上げて止めたい時は、左ヒジを抜くテクニックを使いたい。フェースをやや開いた状態にして、インパクトからフォローで左ヒジを逃すのだ。この時、体の回転を止めないことが絶対条件。また、芝に突っかかりそうな状況でもこの左ヒジを抜く動きを活用すると、ヘッドが抜けて大きなミスになりにくい。
体の回転を止めずに体の左側にクラブを抜いていくイメージ。フェース面の向きは変えないように振る。
飛距離を出したい時のアプローチショット
ピンが段の奥にあるなど飛距離を出したい時に効果的なのが、インサイドアウトに振る動きだ。右手の平で押し出すようなイメージで、フック回転をかけるようなイメージをもつと体の動きが良くなる。上で紹介したボールを上げて止めたい時は左ヒジを抜く動きとは対照的に、体を若干止めた状態で振るのがポイント。体を止めることでインサイドアウトに振りやすくなるのだ。フェースが返り過ぎないように注意しよう。
フェースを閉じながらボールを包み込むようにして押し出す。手の感覚を使って打つので、距離感のイメージは出しやすい。
花道からのピッチエンドランとランニングアプローチの基本
ワンクッションさせるならロフトの立ったクラブを使う
花道から打てる時は手前にワンクッションさせるという選択肢がある。重要なことは、どこにクッションさせるのかを最初に決めておくこと。次に、そこに落とすためのクラブを選択する。ロフトは立っているものがおすすめ。クラブとボール位置を変えるだけで基本的に打ち方を変えないのがアプローチの鉄則だ。あとは練習場でどれくらいのランが出るのかを把握しておこう。
1本のクラブにこだわらずに、転がしたい時はロフトが立っているクラブを素直に選びたい。
ワンクッションする位置を明確にイメージすることが重要。あとはそこに落とすことだけを考えながら打てば良い。
パッティングと同じように手元を低く動かす
転がしのアプローチが上手くできない人は、上から打ち込んだり、ロフトを立てようとしたりしがち。それよりも、8番アイアンや9番アイアンでパッティングをするように打つほうが簡単だ。今回はウェッジを使用しているが、ウェッジでもボール位置を変えるだけで、基本的にはパッティングのストロークと同じように低く長く動かすだけで良い。
ラインは1本の線ではなく幅のあるレールでイメージする
転がしのアプローチをする時のコツとして、ラインを1本の細い線で考えるのではなく、ある程度の幅を持たせたレールで考えると良い。1本のラインにのせようとすると力んでミスにつながるからだ。ある程度の幅を持たせておくと気持ちにも余裕ができる。プロがチップインを簡単にやっているように見えるのは、ラインに余裕を持たせているからだ。
グリーンに落ちてから球がどのように転がるかをイメージする時は、ラインにある程度の幅を持たせるのが良い。
球筋は大文字のYと小文字のyで打ち分ける
基本的なピッチエンドランであれば、オススメしたいのは大文字のYの字になるように構えること。アプローチはハンドファーストに構えるものだと思い込んでいる人が多いが、ハンドファーストに構えると入射角が鋭角になりやすく、そのぶんスピン量も増える。一方、大文字のYの字になるように構えると、ロフト通りのインパクトができるので余計なスピンが入らない。小文字のyの字のように構える場合でも、手元が体から外れるほどハンドファーストを強めるのはオススメできない。
小文字のy の字のように構える場合でも、手元が体から外れるほどハンドファーストを強めるのはオススメできない。
チップインを狙う時はボールを右足の外に置く
グリーン周りからチップインが狙えそうな時に使いたいのが転がしのアプローチだ。着地点をできるだけ早くして、転がる距離を長くしたいので、両足を揃えた状態で右足のさらに外側にボールをセットしよう。おのずとフェース面はかなり立った状態になるはずだ。その構えのままで、ヘッドを上げて下ろす。低く打ち出そうとして上から打ちこむ必要はない。
ボールを極端に外側に置いているので、そのままヘッドを動かせば勝手に低く出てくれる。ボール位置を変えるだけで球筋が変わる。
落としたい場所だけを意識しながら打つ
ランニングアプローチでどうしてもオーバーしてしまうというゴルファーは多い。理由は、きちんとボールの落とし場所をイメージしているにも関わらず、意識がピンを向いてしまっているからだ。そうすると、思っているところよりも遠くにボールが落ちてしまう。落とし場所をイメージしたら、そこに目線を向けて、そこだけに集中してスイングしよう。また、目線を低くしておくことで体の起き上がりを防ぐ効果もある。
意識がピンを向いてしまうと、イメージした落とし所よりも飛び過ぎてしまうので注意が必要だ。
3本のウェッジのキャリーとランを頭に入れておく
ウェッジのロフトピッチは人それぞれパターンがあるが、平均的に4度ピッチが多い。そこで考えたいのがロフトピッチごとのランの距離だ。仮に3 本のクラブで同じキャリーを出したとして、ランはロフトが立つごとに3~4 ヤード転がるという数値を頭の中に入れておこう。ランニングアプローチが苦手という人は、クラブによってどれだけのランが出るかを知らない場合が多い。自身のクラブの飛距離をしっかり理解しておこう。
なんとなくウェッジの番手(ロフト角)を決めるのではなく、自分が打ちたいキャリーとランに合わせて番手を選ぼう。
ボールをどこに落としたいのかを最初に決めておく
ピッチエンドランで打つ時もランを使う時も最初にボールを落とし場所をイメージしたい。ピッチエンドランの場合は、キャリーとランの割合は大体キャリー6に対してラン4くらいのイメージだ。5対5ではなく少しキャリーを多めに設定しておこう。ランを使う場合の注意点は、想像しているよりもかなり近い場所にファーストバウンドを設定すること。中途半端にキャリーを出さず、できるだけ近いところに落とそう。
ランニングアプローチの落とし場所はできるだけ近い場所に設定。キャリーとランのイメージを明確に持っておこう。
ラフからのアプローチの基本
フェースとボールの間の芝の量を確認する
意外とやらないのがボールとフェースの間にどれくらいの芝が挟まっているかをチェックすること。プロは簡単に打っているように見えて、打つ前にしっかり芝の状態をチェックしている。1本でも芝が挟まればスピンの入り方に影響するからだ。あとはボールがどれくらい浮いているかのチェックも重要だ。ボールが動かないように慎重にボールの状態を確認する習慣をつけよう。
ヘッドファーストでアドレスする
ラフから打つ時はヘッドが芝に絡みつきやすい。それによってフェースが返って引っ掛けが出やすい。ハンドファーストに構えるとリーディングエッジから入って余計に絡みやすくなるので、アドレスはハンドレートが正解だ。手元を後ろにしてヘッドを前に出しておくだけで、インパクゾーンでヘッドは走りやすくなる。実際に構えを変えてやってみると、抵抗感なく振り切れることに驚くはず。
ヘッドを手元よりも前に出すことでウェッジのバンス(ソールの出っ張り)を使いやすくなる。球が高く上がることを計算して振り幅を調整しよう。
手元が前に出ると歯から刺さりやすくなるので、ちょっとしたラフでも振り抜けない可能性がある。
両腕の五角形をキープして振るとラフに当り負けない
ラフからのアプローチはヘッドをいかに走らせるかがポイント。そのためには腕から下を柔らかく使う必要がある。 そこで腕を五角形にしてスイングしてみよう。左ヒジを抜く動きも融合されるので、インパクトで詰まる感じがなくなる。また、インパクトゾーンがストレートになるので、フェースの向きが変わりにくくなって方向性が良くなるというメリットもある。
腕を五角形にしておくとヘッドがストレートに動く。結果、ソールが滑りやすくなるのでボールを前後の芝ごと打っていける。
等速でヘッドをまっすぐ動かす
ラフにボールが沈んでいると、どうしてもインパクトでヘッドを急加速させがち。それを手先でやってしまうから大ミスにつながる。ラフから打つ時ほど、同じスピードでヘッドを動かすことを意識しよう。ゆっくり大きく動かすつもりで振れば、深いラフでも意外と簡単に脱出させることができる。そこから寄せるためには、フェースの向きが変わらないようにきっちり管理することが必要だ。
重いものを振るようなイメージでゆったり大きくスイングする。手先ではなく体を使って大きく振ろう。
フォローで胸をターゲット方向に向ける
ラフからのアプローチに限ったことではないが、アプローチのような小さい振り幅のショットでも、フルショットと同じようにしっかりと体を回すことが大切だ。 特にラフのようにインパクトゾーンで抵抗を受けるショットは、体を大きく使う必要がある。フォローで胸をターゲット方向に向けるようにして、体を大きく使おう。ラフで手打ちは絶対厳禁だ。フォローの大きさを決めてから打つと良い。
フィニッシュで胸がターゲット方向を向いていれば、ミスヒットしたとしても大きなミスにはならない。
教えてくれたのは西村至央コーチ
1977年生まれ。専修大学出身。ミライズゴルフアカデミー主宰。神奈川県を中心にレッスン活動を展開。ビギナーからトッププロまで様々なゴルファーの悩みに対し、わかりやすく指導してくれると高い評価を得ている。
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スタイリッシュでアスリートなゴルファーのためにつくられたマガジン。最旬のゴルフファッション、ギア、レッスン、海外ゴルフトリップまで、独自目線でゴルフの魅力をお届け。
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