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浜名湖サンセットバイクパッキング

自転車好きのやんちゃなお兄さんふたりに連れられて、初めてのバイクパッキング旅は浜名湖へ向かった。シクロクロスバイクとMTBでヘトヘトになるまで遊び尽くした、1泊2日のアドベンチャーショートトリップ。

浜松ディープロードに誘われて、野を越え、砂丘を越え、荒野を走る

「グリーン・コグ」の店構え。昭和レトロなビルとアメリカンな雰囲気が融合した佇まい。

「バイクパッキング」といわれて頭に浮かんだのはオートバイのツーリング。キャンプ道具をバイクに積んで旅をしていた私にとって、バイクといえばそれしか思いつかなかった。しかしフタを開けてみれば、その正体は自転車ツーリングだった。いままでに自転車旅の経験はおろか、ママチャリにしか乗ったことがない私。いきなりの長距離ツーリングのお誘いに、動揺しつつも気付けば好奇心に突き動かされていた。

浜名湖そばの、アメリカンな雰囲が漂うバイクショップ「グリーン・コグ」。店の前にはエメラルドグリーンの可愛らしい自転車が止まっている。2日間、私の相棒となる自転車だ。ボディとタイヤがスリムでファッショナブル。いかにもロードバイクという感じ。果たして乗りこなせるのだろうか。

今日はどれくらいの距離を行けるだろうか。地図を眺め、行き先を思案する。

しかし、ロードバイクではなかったのだ。「シクロクロスバイク」というものらしい。でこぼこの路面で行なう「シクロクロス」という自転車競技があり、障害物を越え、自転車を担いだりと、非常にアクロバティックな競技。このバイクは、それらのアクロバットをこなせる自転車ということだ。

そんなタフなことが、こんな華奢な自転車にできてしまうのかと、ちょっと信じがたい。だって、こんなにつるつるのタイヤで、未舗装路を走れるわけがないじゃない。

今回のツーリングコースもまた、耳を疑うものだった。コースを考えてくれたのはいっしょに遊ぶ約束をしていた「グリーン・コグ」の山本さん。普段からお店の仲間やお客さんと、シクロクロスバイクを楽しんでいるそうで、ジーンズがよく似合う、気のいいお兄ちゃんという感じ。

自転車に乗るときもジーンズなの? と、ちょっと驚いたが、藪の中やいばらに突っ込んでいくため、生地が丈夫でラフにはけるジーンズがベストなのだそう。

そんな話を聞いているうちに、今回の旅が単なるサイクリングではないということが見えてくる。砂丘に降り立ち、荒野を走り、山を駆け登るといったような、なんとも男前なパワフルコース。

中田島砂丘に降り立つ。タイヤが埋まって漕げたものじゃない。

シクロクロスバイクってそういうものなのか。いつの間にか納得してしまい、自分が街乗り自転車しか乗ったことがないことなどうっかり忘れ、すっかりわくわくしだしている。その前に、旅の準備をしなければ。

まずは山本さんに、サドルのポジショニングをしてもらう。次にバッグの取り付け。初心者の私に手ほどきしてくれたのが山下さん。いっしょに自転車遊びをしてくれる、もうひとりのお兄さんだ。山下さんに教わりながら、車体にそれぞれのバッグを付けていく。

シートバッグのパッキング。コンプレッションを手伝ってもらう。

それからパッキング。持っていくものは、登山のテント泊をベースにする。普段からライトウエイト気味ではあるが、バッグの容量をイメージし、着替えは極力減らし、火器も今回は固形燃料を採用した。

まず、チューブ型のフロントバッグには寝袋を詰め込む。さらに、アウターも押し込み、そしてハンドルと干渉しないよう、両サイドの口をしっかり絞ってバックルをぱちん。

シートバッグは土台を作った方がいいとのことで、テントポールを下に敷き、続いてテント本体を収納。さらに、バッグの形に沿ってクッカーや衣類を詰め込んでいく。残ったものはフレームバッグに収め、1泊2日の旅道具が、なんとかそれらしく収まった。

潮風と花粉を浴びながら浜名湖沿いを走る。

これにて準備完了。バイクパッキングの旅がスタートする。

山本さんを先頭に、勢いよく飛び出していく。はじめてのシクロクロスバイクで、いきなり本番の旅がはじまってしまう。積載すると荷物の重みを感じ、走り始めはハンドルを取られたが、スピードに乗ってしまえば大丈夫そうだ。

山本さんの自転車はフロントにキャンプ道具をぎっしり積載。ホットサンドクッカーが突き刺ささっている。

私の後ろには山下さんがぴったりと付き、置いていかれないように見てくれているので心強い。しばらくは平坦なアスファルトの道で、とにかく走りに慣れることに集中した。

また、厄介なのが、右手のハンドルレバーの押し加減によって操作するギアチェンジ。坂道の途中で、ギアを変えようとして焦って重くしてしまったり、手前で変えようとするもタイミングが合わなかったり……。失敗する度に、山下さんが駆けつけ、逐一アドバイスを頂戴する。

さらに、漕ぎ方についても教わる。「ペダルは足裏の全体じゃなく母指球で踏み込んで! つま先も常に斜め下を向いてることを意識してみて。その方が無駄がなくなるよ」「そうそう! いい感じ! さまになってるよ!」

まるでコーチのような適切なアドバイス。そして、私を持ち上げるのがとても上手。〝山下コーチ〞のおかげで私のペダルさばきは、ものの数キロで上達したようだ。

まるで異国のような荒野の景色。松林の立ち枯れは塩害によるもの。

しばらく走ると、がらりと道の雰囲気が変わった。まるで荒野。いつの間にか、浜松のシクロクロスバイク乗りのみぞ知るような、ディープな道へと導かれていたのだ。

視線を外に向ければ、脇には国道が並走し、その向こうには海が広がる。さっきまでいた景色だ。一本道を隔てただけで、こんなに違った世界があるなんて。

ディープな浜松はさらに深まる。未舗装路もいいところ、でこぼこの、まるで登山道。アップダウンが激しく、こんなところまで自転車で走れるのか、という驚きを隠せないが、前にならえで突っ込んでみる。ガタガタの、かろうじて道の程をなしている道なき道。

タイヤから伝わる地面の感触を感じ取り、立ち漕ぎとハンドル操作でバランスをとる。まだまだいけるぞ、ということが分かってしまえば、もうどこまでも行って見たくなる。とにかく体当たりで、がしがしと走る。これがシクロクロスバイクの醍醐味なのか。

焼きたてパンが充実したコンビニでゲットした「浜松クリームアンパン」。小休止でぱくり。

アクロバティックな道を十分に満喫し、舗装路に舞い戻ると、アスファルトの敷かれた道はなんて快適なことかと驚かされる。刺激を求めるなら未舗装路ほどおもしろいものはないということがよく分かったが、こうしてスムーズに走ることができる道に帰ってくると、なに気ない景色の魅力が際立ってくる。

映画「飛べ!ダコタ」で知られる飛行機「ダグラスDC-3」。山本さんが熱心に解説をする。飛行機のことを語りだしたら止まらない。

細い路地裏の、生活の音が聞こえてくるような道。野原には菜の花やホトケノザが春の色味を与えている。ほっとするような、柔らかな景色がテンポよく真横を流れていく。きっと、ひとりで旅をしていたら出会えなかっただろう。浜松に生まれ育った山本さんならではの、視点を見せてもらったのだ。

引き潮の湖は一風変わった景色に見える。アサリ採りか、海藻を採っているのか、遠巻きからではわからなかった。

激しい潮風に煽られながら、浜名湖沿いを走りゆく。午後の光を湖面に受け、眩しく揺らぐ浜名湖を横目に、今日の終着点まで走りきる。

春の陽射しと花粉を全身に浴びたおかげで体中のエネルギーを奪われたのか、はたまた1日中走りまわって疲れきってしまったのか。タリカーナキャンプ場のオーナーのシンさんは、ぐったりとしたわたしたちを温かく出迎えてくれた。

夕飯を囲みながら語らう時間に今日の疲れも癒される。

キャンプ場の目の前には浜名湖が広がり、真っ赤な夕日がゆっくりと湖に落ちてゆく。陽が沈んでしまう前にと、重い腰を持ち上げて、テントの設営に取り掛かり、それぞれの方法での夕食を囲む。

浜名湖に真っ赤な夕日が落ちてゆく。

「山本さんはどうしてバイクショップをはじめたの?」「もともと船外機を作る会社に勤めていて、その仕事も好きだったんだけど、ちょっと違うなって。もちろん自転車が好きだから自転車屋になったんだけど、ただ、売るんじゃなくて、買う人が自転車を好きでいてくれるように、ずっと乗っていられる自転車を売りたいんだ」

夕暮れに浮かぶ山本さん。だんだんと識別できなくなってくる表情。

お客さんを知ったうえで、自転車を売ることにこだわりを持つ山本さん。その人がずっと自転車を乗っていられるように、組み替え、パーツを取り換え、整備し、それから販売するという。長く、大事に乗ってもらいたいから。山本さんの自転車と人に対する深い想いが心に響く。

急こう配の坂を越え、山の頂へ。見下せば、鮮やかな浜名湖ブルーが広がっていた

朝ごはんは「グリーン・コグ」定番のホットサンド。山本さんがこしらえてくれた。

しっとりとした朝。穏やかなツーリング日和。浜名湖は微かに波打ち、水面下の景色までもがよく見える。湖の向こうにはアサリ漁をする、数隻の船が浮かぶ。ここから浜名湖を北上し、舘山寺(かんざんじ)を目指す。その後さらに北上し、目指すは大草山。

山下さんを先頭に、見通しの良い道路を颯爽と走り抜ける。左手には浜名湖が広がる。潮の香りがしてまるで海だ。透明度は非常に高く、海底がよく見える。

そこまでのコースは快適そのものだったが、目の前には急勾配の坂が立ちはだかる。ギアを軽くして、足の筋力でがしがしと登る。途中までは山本さんについていけたものの、あっという間に太ももがギブアップ。あれ、力が入らない……。「太ももはここぞというときに使う筋肉なんだよ」と、山下コーチ。

急こう配の坂を登りきり、さらに山を登ってひと休み。かなりのエネルギーを消費したので行動食をひたすら食べる。

太ももの筋肉は、リカバリーに時間がかかるのだそうだ。たしかに。身をもって感じてしまった。「坂道を登るときはギアをもっと軽くして、できるだけ前方に体の重心を置いて漕げば、あまり筋力を消耗しないで登りやすくなるよ」「本当だ! スイスイ進む!」「阿部ちゃん、のみ込み早いなぁ」

舘山寺に立ち寄ってお参り。参道までは自転車で上がることができず残念。

山下さんがまた上手に私を持ち上げてくれるので、その気になって坂道を駆け上がる。しかし想像以上に長い。息が上がり、さすがにもう疲れたなぁと思った頃、頂上で待つ山本さんの姿が見えた。助かった。

山のてっぺんの、さらに岩の上から見下ろせば浜名湖を一望できる。

頂上でほどほどに休み、山へと向かう。どうやらついに、本気の山登りを自転車でするらしい。このふたりのお兄さんの、自転車遊びに対する探求心はすさまじい。体はすでにほどよい疲れにさらされているが、ここまで来たら、もう、どこまでもついて行ってみたくなる。

途中足湯に立ち寄って休憩。足がかなり疲労していたので癒された。しかし、ここから動くのが一苦労だ。

自転車を担ぎ上げ、登山道の階段を登り下りし、走れる道はがんがんと漕ぎ進む。やっぱりトレイルはおもしろい。ここならいけるんじゃないかという、ぎりぎりを攻めていく、ひりひりした感覚。

アップダウンの激しい山道を一気に下るにはなかなかの度胸がいるが、さすがは山本さん。ガツンとやってのけてしまう。

登山道を遊びつくし、坂道を一気に駆け下りる。最後の最後までエネルギーを使い果たし、帰路につく。こんなに遊び尽くすのは本当にひさしぶりだった。「次は浜松のシクロクロスレースで待ってるよ!」。そんなラブコールをいただいた。

弁天島に立ち寄り、漁港の脇を通り抜ける。人のくらしが垣間見える漁村の風景に、人知れず、懐かしい気持ちを抱いてしまう。
最後の最後まで走り遊び尽くし、くたくたになってお店の前まで帰ってきた。山下さんはバタンキュウ。

バイクパッキングのバッグとは

荷物を積載するためのキャリアを必要とせず、バイクに直接ベルトで固定できるので、バイクの種類を選ばず取り付けが可能なうえ、軽量化にもつながる。バッグはそれぞれ取り付け箇所に特化した、走りに干渉しない形状になっているため、テント泊に必要な荷物がスマートに積載でき、快適な走行を実現させる重要なアイテム。各メーカーから出ているモデルによって容量やデザインが少しずつ違うので、自分の旅のスタイルに合ったバッグを選んでみよう

①フロントバッグ

ハンドルバーに設置する。一般的に防水モデルが多く、チューブ型で積載量によって可変可能なものや、ハードな使用にも対応可能な耐久性の高い素材を採用したものなどがある。

②フレームバッグ

フレーム部分専用のバッグ。フレームの形状に沿った三角形や長方形のデザインのものが多く、足に干渉しない厚みになっている。すぐに取り出したいものを入れておくのに最適。

③シートバッグ

走行にとらわれず、気軽に積載できるのが後方に設置するシートバッグ。ロールクルージャー式のデザインが多く、容量が8~15ℓに可変可能で、どんな旅にも使えるのが嬉しい。

その他のオプションもあり

ハンドルやフレームなどに設置できるアクセサリーパーツもある。写真はフロントフォーク部分にケージを付け、スリーピングマットを装備できるようカスタマイズしている。

RECOMMEND SPOT

グリーン・コグ

シクロクロスバイクの販売を中心に、修理やカスタマイズも行なっている、浜松の自転車乗りご用達のバイクショップ。自転車用のアクセサリーやバイクパッキングのアイテムなど、雑貨も取り扱っている。また、不定期で行うホットサンドのイベントも好評。お店に訪れる際はSNSの情報を事前にチェックしておこう。

静岡県浜松市南区卸元町28GSビル1F
TEL.053-441-4250
営業時間:11:00~20:00
定休日:日曜日・月曜日・火曜日
www.green-cog.com

タリカーナ村櫛ビーチ

テント1張り1300円から一泊できるオシャレなキャンプ場。自転車スタンドが常設されているのでバイクパッキングをする人に優しい。アウトドア用品、ビール、コーヒーの販売を行っているのも嬉しい。浜名湖畔なのでウォーターアクティビティも可能。予約制なので宿泊の際はフェイスブックページで問い合わせのうえ訪ねよう。

静岡県浜松市西区村櫛町5747-1タリカーナムラクシビーチ
www.facebook.com/TARICANHAMurakushiBEACH

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フィールドライフ 編集部

フィールドライフ 編集部

2003年創刊のアウトドアフリーマガジン。アウトドアアクティビティを始めたいと思っている初心者層から、その魅力を知り尽くしたコア層まで、 あらゆるフィールドでの遊び方を紹介。

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