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BCクロカンでパウダースノーハイキング

スキー経験がまったくなくても大丈夫! のんびりゆったり派も、スキルアップ派も山のライト&クラシックな移動手段を手に入れて、思い思いのスタイルでフィールドに自分の2本線をつけよう!

文◎小川郁代 Text by Ikuyo Ogawa
写真◎猪俣慎吾 Photo by Shingo Inomata
フィールドライフ No.58 2017 冬号

雪があれば、どこでもフィールドになる!

夏はいろいろやりたいことがあるけれど、冬の間にできるなにかおもしろい外遊びを始めたい……。

長い間漠然とそんなことを考えていた。スキーはもう何年もやっていないし、冬山登山は道具を揃えるのが大変そう。以前は夢中になっていたクライミングも、寒いなか震えながら登るようなモチベーションはなくなった。

とりあえずスノーシューでのんびりどこか雪歩きにでも行こうかと、道具を調達すべく仕事仲間の井上さんに連絡をした。以前「知人に頼まれて買ったスノーシューがひとつあまってるけど使わない?」と声をかけてもらったのを思い出したからだ。

「それなら来週BCクロカンに行きましょうよ。ショップのイベントだからレンタルもあるし。すごく楽しいですよ」

そんな誘いに乗って軽い気持ちで出かけたのが、BCクロカンと出合ったきっかけだ。その次の週には、早々に板とブーツを手に入れた。魅せられた、というより取りつかれたというほうが近いかもしれない。

BCクロカンは、裏にステップカットという「うろこ」がついたスキー板で、野山を歩いたり滑ったりして楽しむスキーのスタイル。ネイチャースキーとも呼ばれ、日本での認知度はまだあまり高くない。

うろこのおかげで、ちょっとした斜面なら、足をハの字にしなくてもそのままペタペタと雪の上を登ることもできる。普通のスキーに比べてとてもシンプルで原始的な道具で、ブーツは革のヒモ靴、ビンディングはつま先を引っ掛けるように固定するだけ、板も細めで道具全体が驚くほど軽い。

おしゃべりしながら歩くもよし、景色を眺め写真に収めるもよし。BCクロカンならフィールドを小走りするように、気ままに軽快にストップ&ゴーを繰り返せる。

スノースポーツ好きが集まるたび「今年も雪、少なそうだねぇ」が合言葉のようになっていたシーズン序盤、年末ぎりぎりのタイミングで訪れたのは、長野県飯山市の鍋倉山の麓にある「なべくら高原・森の家」。

カフェやライブラリー、宿泊施設などを備え、多くの自然体験プログラムなどを行なう総合施設だ。ここのスタッフであり、スノーシューツアーの案内役も担当する宮澤さんに周辺を案内してもらえることになり、井上さんを誘ってやってきた。

日本有数の豪雪地帯だけあって、例年に比べてかなり少ないとはいえ、すでに足元は分厚く雪で覆われている。

山の裾野のなだらかな傾斜につくられた畑からは、辺りの景色がよく見渡せる。周辺は日本屈指のロングトレイル、信州トレイルの一部でもあり、見どころには事欠かない。

これぞBCクロカン日和という真っ青な空からは、容赦なく紫外線を浴びせる冬特有の強い日差し。見たことのないほど大粒の雪の結晶がその光に反射し、広い地面のあちこちをイルミネーションのように不規則に点滅させている。

さっそく案内してもらったのは、森の家の裏手にある広大なエリア。緩やかに登る白い傾斜に、よく見るとちょっとした段差が規則的に続いている。ここは役目を終え次の出番を待つ一面の畑なのだ。

「せっかくだから少し上まで登りましょう」と言う宮沢さんに続いて、畑の脇を登って行く。のんびり話をしながらしばらく登ったら、くるりと向きをかえ、森の生き物以外の足跡がないキラッキラの斜面を、まっすぐスイーっと滑る。

ちょっとした坂もBCクロカンといっしょなら、アトラクション並みのスリルと忘れていたチャレンジスピリットが味わえる。

スピードはそれほどでないのに、この爽快さとちょっとした優越感。なんとも穏やかな幸福感に、カメラがあろうとなかろうと、全員がもれなく笑顔になる。

学生のときにアルペンスキーの選手として活躍していたという宮澤さん、井上さんもバックカントリー好きのテレマークスキーヤーだが、平らなところを歩く分には、スキーのテクニックはさほど大きく関係はしないように思う。

わずかな傾斜の、だれの踏み後もない雪面に一番乗りする贅沢。このあと後ろを振り返ったときの、自分のつけたきれいな2本線がまた格別なのだ。

ほんの数年のゲレンデスキー経験のあと、長い長いブランクを経てBCクロカンを初めて履いたとき、数時間後には経験者に遅れながらも、なんとか歩けるようになっていた気がする。

ところが滑るほうとなるとずいぶん勝手が違う。緩やかな斜面を気分よく滑っていても、ちょっと角度が変わると一気にバランスを崩して転ぶ。転ぶ。転ぶ。

降り積もった雪がクッションの役割を果たし、痛いどころかもはや快感。

普通のスキーはある程度上達するとそれほど頻繁には転ばないのだろうが、BCクロカンは、初心者でなくてもよく転ぶ。転んでも道具が軽いのですぐに立ち上がれるし、そもそもそれほどスピードを出すものではないので、痛みもケガも少ない。転ぶのがイヤじゃない。それがこいつの「いいところ」なのだ。

日本の多くの土地で杉林に姿を変えたブナ林が、なべくら高原周辺では水を守る大切な存在として守られ、いまも雄大な姿を残している。

畑でひとしきり遊んだあとは、ブナの林へ。林間コースを歩きながら、木々や木の実、動物の足跡などを宮澤さんが解説してくれる。

滑ることが目的のバックカントリースキーならほんの数秒で通りすぎてしまう林も、こうしてゆっくり進むと、日ごろ近くでじっくり感じることのない香りに出合える。

標識が設置された散策コース。森の家で案内図などが手に入る。

もっとのんびり楽しむなら、スノーピクニックがいい。天気のいい日に調理器具や食材をバックパックに詰め、居心地のいい場所を見つけたら雪を掘ってテーブルを作り、温かいスープや鍋を楽しむ。

池の周りは景色に見とれて落ちないよう一列で。

初めてBCクロカンを体験した日、サンドウィッチやスープ、パスタにチョコレートフォンデュ、チーズとワインまでごちそうになり、もしかしたらBCクロカンに夢中になった本当の理由はこっちなのではないかと、いまもときどき自問自答する。

例年なら橋の欄干を超えてかまぼこ状に雪が積もる。

フィールドや楽しみ方はスノーシューと似ているが、下りはやっぱりBCクロカンが楽チン。写真好きにもぜひおすすめだ。どっぷり山に関われるツアーも、BCクロカンの醍醐味。一度味わったら止められない。

関西から隣山の飯綱に遊びに来ていた友達のぐうちゃん。近くにいると知って会いに来てくれた。雪に埋まりそうになりながらも、巧みに駆け回る。そうか、君も雪が好きか!

個人的にはBCクロカンは目的ではなく手段だと思っているので、人から見たらなにをやってるんだろうと思うような不恰好な滑りだが、あまりそこは気にならない。歩くのにうまいも下手もないように、ただただ自分の行きたいところに向かって進めばいい。

これは無理だと思う斜面が出てきたら、さっさと板をはずし両手でひょいと持ち、つぼ足で進めばすむこことだ。

雪さえあればどこもBCクロカンのフィールド。冬季閉鎖の道路は地元の子どもたちのクロスカントリーの練習コースに。
未来のオリンピック選手がここから生まれるかも。

とはいえ、じつのところ少し欲も出てきて、今シーズンは少し滑りの練習もしてみようかと思っている。自由に滑れる斜面が増えれば、それだけ行けるところが増えるから。

バックカントリーの緊張感と、シンプルな道具ゆえのどこかのんびりした抜け感と難しさ。その絶妙なバランスが、自分にとっての魅力なのだと思う。

ヒールフリーが歩きやすさの秘密。

また別の存在感もあるようだ。かかとが固定されないBCクロカンは、滑り方の基本はテレマークスキーと同じ。熟練テレマーカーにとっては、道具の性能に頼らずどこまで自分のテクニックで滑れるかを追求するものとして、テレマークスキーとは違った楽しみがあるのだという。人それぞれの意味や楽しみ方を受け入れるのも、シンプルだからこそということだろう。

いまのところの目標は、今度東京でドカ雪が降ったら、早起きして近くの公園にBCクロカンで出かけること。雪だるま作りに興じる子どもたちの横をなんの前触れもなくスラーっと滑り「ママ、あれなにー!」と指を指されるという、ゆがんだ優越感を味わうことをひそかに目論んでいる。

【ココがベース】なべくら高原・森の家

森の情報発信基地として、1年を通して催される趣向をこらしたさまざまなイベントが魅力。10棟のキッチン付きのコテージは、仲間や家族と自然のなかですごすのにぴったり。

長野県飯山市照岡1571-15
TEL.0269-69-2888
www.nabekura.net

まずはレンタルで体験してみよう!

グローブや帽子、ゴーグルからスノーシューやウインターブーツ、ソリまで各種用具のレンタルも豊富。

出典

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PROFILE

フィールドライフ 編集部

フィールドライフ 編集部

2003年創刊のアウトドアフリーマガジン。アウトドアアクティビティを始めたいと思っている初心者層から、その魅力を知り尽くしたコア層まで、 あらゆるフィールドでの遊び方を紹介。

フィールドライフ 編集部の記事一覧

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