キャンプハイクでスローに楽しむ茨城県北ロングトレイル|地元の食と風景を五感で堪能
フィールドライフ 編集部
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のんびりキャンプを楽しむのも良いけれど、そこにプラスアルファの遊びがあったら、もっと充実した週末がすごせる。 キャンプとハイクが楽しめる茨城県北のロングトレイルへ、ふたりのキャンプフリークが向かった。
旅をしたのは
関根千種
イラスト制作、キャンプ&フードコーディネートなどを行なうマルチな女子キャンパー。お手軽なものから手の込んだダッチオーブン料理までレシピは無限。
水谷大志
バックパックに道具を詰め込み毎週のようにソロキャンプを楽しむ。料理はあまり得意ではなく、適当に揃えた材を鉄板で焼いて堪能。山歩きに興味があるものの、本格的な登山は未体験。
キャンプから展望の良い低山へ、のんびりとトレイルをたどる。
ここ数年続いている空前のキャンプブーム。アウトドアの遊びのなかでも、比較的手軽に始められ、さらにフィールドやシーズンを変えれば、いつでも新鮮な気持ちで非日常気分を味わうことができる。そんな敷居の低さがキャンプの最大の魅力。だが、身軽なキャンパーは、山を歩いたり、パックラフトで川を下ったり、キャンプだけでは飽き足らずに遊びもプラスして楽しんでいる。
「去年、茨城の北部エリアにロングトレイルができたんですけど、キャンプをして、そこから景色の良い低山を歩けるルートがあるそうなんです。これまでガッツリと山を歩いた経験はないんですけど、初心者もわりと気軽に登れる山らしいんですよね」。
そう、切り出したのは典型的なソロ好きキャンパーの水谷大志。ケンポクと呼ばれる茨城県北部は、野菜、果物、奥久慈しゃも、地酒など食材の宝庫でもある。せっかくキャンプするなら料理が得意なキャンパーといっしょに行って、その地ならではの料理を味わいたい、という企みを胸に、料理が得意なキャンプ女子の関根千種さんを誘い出した。
ふたりが目指したのは、久慈川沿いにサイトが広がる上小川レジャーペンション。オートキャンプサイトが中心の開放的なキャンプ場で、しかも、そこにはロングトレイルのルートが通っており、鷲の巣山という標高380mながら展望が抜群の山へとつながっているという。キャンプハイクを楽しむには、絶好の場所なのだ。初日、キャンプ料理の食材を入手するためにまず向かったのは、道の駅常陸大宮。「大きな道の駅ですね!いろんな食材があって、なにを作ろうか迷っちゃいます。とりあえず奥久慈しゃもを炭火で焼こうかな」そう言いながら楽しそうに今晩の献立を考える関根さんを横目に、水谷は料理に合わせる日本酒を吟味。なんてお気楽な立ち位置か。
たっぷり食材を買い込んで、キャンプ場へ。春から秋の週末はキャンパーでにぎわう上小川レジャーペンションだが、冬は人もまばら。ふたりはほぼ貸切状態のサイトを前にテンションが上がる。「目の前には水が澄んだ久慈川が流れていて、しかも、川の上には水郡線の鉄橋が掛かってるじゃないですか。そういえば水郡線って『奥久慈清流ライン』って呼ばれているらしいんですよ。めちゃくちゃのどかな風景ですね」
ひとり舞い上がる水谷を横目に、関根さんは早々とテントを張り終え、食事の準備に取り掛かる。今夜のメインは奥久慈しゃもとネギの炭火焼き。それに、さまざまな新鮮野菜と地元ブランド銘柄のローズポークを使ったソーセージを煮込んだポトフも合わせる。まさに茨城堪能ぜいたくグルメだ。日本酒「久慈の山」とともに、ふたりは心ゆくまで県北グルメを味わい尽くした。
好きな場所を好きなように歩く。楽しみ方は自由
翌朝、腹ごしらえをしてから、ふたりはハイキングスタイルに着替え、鷲の巣山へと歩き出した。「今年3月に開通したルートは、鷲の巣山を経て男体山という険しい山につながり、バンジージャンプで有名な竜神峡まで山道が続くんですよね。そっちはわりと本格的な登山になるそうなんですが、鷲の巣山は3時間くらいで登って下りられるんです。僕らでも気軽に歩けますよね」
キャンプ場を抜け民家の間を抜けると、こぢんまりとした茶畑が現れた。大量生産でなく地元の人が自分たちだけで無理なく作れる分を作っているのだろう。山から見る絶景だけでなく、その地の暮らしや息づかいが感じられようにルートが里を通っているのも、この県北ロングトレイルの特長だ。
40分くらい歩き、展望が開けたポイントに到着。眼下に久慈川や水郡線、里の風景が広がり、さらに奥には、男体山など久慈山地の山々がそびえている。「上から見ると久慈川ってすごく蛇行しているんですね。山は空気がさらに澄んでいる気がしますし、やっぱり歩くのは楽しいな」昨日は少々仕事モードだった関根さんも、今日はすっかりオフモードに。その横の水谷は、昨日よりもさらにオフモードのギアが上がり、ゆるゆるの表情だ。
両側が痩せた山上の回廊をさらに登ると鷲の巣山に到着。ここからは上小川駅のひとつ先の袋田駅に向かって山を下る。山を下りて駅に向かう途中、左側に色あせた朱色の鳥居を発見。集落を見守るように建つ小さな神社だ。今回の充実した二日間の旅の御礼を告げ、晴れ晴れとした気持ちでハイクを締めくくった。
今回、ふたりが歩いた距離は約5㎞。それに対し、今回開通するトレイルのルートは約40㎞。全体からするとごく一部の区間だが、これはセクションハイクと呼ばれる歩き方で、無理なくトレイルを楽しむためのひとつの方法だ。 自分が興味ある場所を、好きなように歩く。これこそがロングトレイルの醍醐味であり、茨城県北ロングトレイルを楽しむための大事なポイント。カスタマイズすれば、トレイルの可能性は無限に広がっていく――。
立ち寄りスポット
上小川レジャーペンション
オートキャンプサイト、テントサイト(車の乗り入れ不可)、グランピングサイトがあり、 BBQハウスなど施設も充実。JR水郡線上小川駅から徒歩約15分で電車利用でも便利。
- 茨城県久慈郡大子町頃藤4368
- TEL.0295-74-1113
- 営業時間:9:00~17:00
- 営業期間:1月中旬~12月末
- www.kamiogawa.net
道の駅常陸大宮 ~かわプラザ~
県内でも最大規模を誇る道の駅。季節の野菜や果物、奥久慈しゃもなどの肉類、加工食品、酒などさまざまな地元産食材が揃う。3つの食事処とジェラートショップも併設。
- 茨城県常陸大宮市岩崎717-1
- TEL.0295-58-5038
- 営業時間:9:00~18:00
- 定休日 第3木曜日 祝日の場合は翌日 、1月1日
- www.michieki-hitachiomiya.jp
身軽に歩くならゲストハウス泊も
キャンプよりも手軽にトレイルを歩きたいなら、近くにあるゲストハウスの利用がおすすめ。上小川駅から2駅先の 常陸大子駅近くにゲストハウスがあり、トレイルハイクの ベースキャンプとして利用することができる。
丘の上のゲストハウス Daigo house
大子町中心商店街を見下ろす丘の上に建つゲストハウス。 ドミトリー、シングルルーム、ツインルームなどさまざまな部屋を用意。素泊まりだけでなく、食事付きも選べる。
- 茨城県久慈郡大子町北田気577-5
- TEL.0295-76-8443
- 料金:1泊2日¥5,280~、素泊まり¥3,300~
- https://daigohouse.com/
茨城県北ロングトレイルとは
山と里をたどる遥かな旅
茨城県の北部、県北エリアと呼ばれる日立市、常陸太田市、高萩市、北茨城市、常陸大宮市、大子町という茨城県北の6つの市町をつなぐロングトレイル。昨年、大子町内の約14㎞の区間が開通。今年3月末に昨年のルートの末端である袋田から約40㎞のルートが開通した。毎年、少しずつ整備を重ねて区間を延ばし、最終的には約320㎞までトレイルを繋げる予定。山と里を縫うようなルートとなっており、自然や地元の文化、食などがトータルで楽しめる。
トレイルマップも公開中
県北ロングトレイルのHPでは、コースタイム、駐車場、水場、トイレ、おもな見どころなど詳細情報がわかるトレイルマップを公開中。今年開通したルートのほか、昨年開通したルートのマップも確認、ダウンロードできる。事前の計画や実際に歩く際に役立てよう。
トレイル整備を行なう協力隊を募集中
トレイルを延伸、保全するための倒木の処理、道標やテープの設置などは有志の協力隊が行なっている。協力隊は 時募集しており、自らの手でロングトレイルを作るという貴重な体験ができる。応募方法など詳細は茨城県北ロングトレイルのHPでチェックしよう。
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- CREDIT :
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文◎編集部 Text by Field Life 写真◎小関信平 Photo by Shimpei Koseki
企画協力◎茨城県政策企画部県北振興局 TEL.029-301-2715
※この記事は信金中央金庫の寄付金により作成されています。
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PROFILE
フィールドライフ 編集部
2003年創刊のアウトドアフリーマガジン。アウトドアアクティビティを始めたいと思っている初心者層から、その魅力を知り尽くしたコア層まで、 あらゆるフィールドでの遊び方を紹介。
2003年創刊のアウトドアフリーマガジン。アウトドアアクティビティを始めたいと思っている初心者層から、その魅力を知り尽くしたコア層まで、 あらゆるフィールドでの遊び方を紹介。