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新経済サミット(NEST TOKYO 2019)の素晴らしかった点と、問題に思った点

新経済サミットを主催する、新経連って何?

6月20日に開催された『新経済サミット(NEST)TOKYO 2019』に取材に行って来た。

素晴らしかった点と、問題に思った点がある。

が、まずその前に概要をお伝えしよう。

新経済サミットとは、新経済連盟(新経連)の主催するイベント。新経済連盟は経団連、経済同友会、日本商工会議所……のような経済団体として、立ち上げられた組織。最初は『eビジネス推進連合会』としてスタートした。従来からの経済団体には、高度経済成長を支えた日本の大企業が名を連ねておりそれら企業が所属する日本の経済界の意向を政府に伝える組織。それによって、内政はもちろん関税など対外的な政策にも影響を及ぼすことができるような仕組みになっている。

それに対して、今現在の経済成長の中心となっている、IT系企業の意向をとりまとめるために作られた組織が新経済連盟だ。アメリカのシリコンバレーの諸企業や、中国深圳の企業と渡り合っていこうと思うと、当然国の政策レベルの話も一体となって動かないと勝ち目はない。そのために立ち上げられたのが新経済連盟だ。

経団連を覆す『新しい経済連盟』……ではなく『新しい経済活動を行う企業の連盟』であるということである。

『新経連 株価指数』発表、5G、eスポーツ!

今回のテーマは、5G、eスポーツ、若手のアントレプレナーシップ、医療とAI、テクノロジーと政策。今、重要なセッションが目白押しである。

いくつか興味深かった点のサマリをお伝えしよう。

まず、三木谷さんから『新経連 株価指数-JAPAN NEW ECONOMY INDEX』という新たな指標が発表された。新経連参加企業の株価を数値として表すもので、2012年6月1日を1000として表される。

ちなみに昨日(19日)時点で、4,007.92となっており、この数値は日経平均やTOPIXの倍の成長を表しているという。『新経連参加企業は日経平均で集計されている企業の倍の成長をしている。この部分に注力せずに日本の今後の成長はあり得ない!』というのが、三木谷さんの表現したいことなのだろう。

5Gは、韓国とUSではすでに運用が開始されている、日本では今年秋のラグビーワールドカップでテスト運用を開始し、来春からドコモ、au、ソフトバンク、そして新たに加わる楽天の4社で本格運用がスタートする。

4Gに較べ、10倍ぐらいの速度が見込まれ、速度だけでなく超低遅延、質、信頼性がウリになっていくという。ただ、今のところ『5Gで何ができるのか?』というところが、一般ユーザーに伝わっていないのが問題だろう。『街中で信号を待っている間に、映画がダウンロードできる』として、それが必要なのかどうかということだ。

たとえば、我々が使っているクラウドサービスの便利さは、4Gサービスあってのことなのだが、3Gしかない世界で、「4Gが実現したらクラウドが便利になる!」と言っても伝わらないのと同じことだろう。

Eスポーツに関しては、ひとつの競技League of Legendをとってさえ競技人口が世界で9000万人。スポーツとしては、バスケットボール、サッカー、クリケット、テニスに次ぐ5位の競技人口で、ゴルフや野球より多いとのこと。急速に成長しており、プロeスポーツチームが多数誕生し、プロチームに所属するプロeスポーツ選手が生まれ、プロ、アマチュア競技者、一般競技者、観るだけの観客……とピラミッド構造ができて、メジャースポンサーが相次いで登場しているという。

会場で、実際にCAPCOMのストリートファイターVの世界的プレイヤー4人が登場し、エキシビジョンマッチが行われ、その迫力が伝えられた……が、そこに30~40分も時間を割くべきところだったはちょっと疑問なところ。

若手スタートアップ経営者論と、医療とAIそして認可、それと『IT政策』について

次はアカツキの36歳のCEO 塩田元規さん、Gunosyの30歳のCEO 竹谷祐哉さん、ラクスルの34歳のCEO松本泰攝さんが登壇。若手経営者として話をされた。モデレータはBuzzfeed Japan創刊編集長 古田大輔さん。60歳以上は論外としても、40代、50代でも感覚は古い。さらに年齢が高いと「今後30年を見通した長期的プラン」など立てようがなく、高度経済成長、バブル期から高齢の経営者が順送りで短期間トップに立った大企業の将来の展望のない意思決定(もしくは、意思決定をしなかったこと)が、平成の低成長をもたらしたと断罪した。

一方、日本は戦争をせずに平成の30年間マンガを読んで、ゲームをして培ったハイコンテクストなコンテンツ文化があり、これは世界で勝負できるものだとした。『レディプレイヤー1』の10年前に『サマーウォーズ』があったわけで、パワープレイではなく、エモーショナルな部分をもっと活かして行くべき……との意見もあった。また、日本にはユニコーンがいないと言われるが、規制でユニコーンの成長しようがない部分もある。一方、ネットので成長した企業といえば、楽天やソフトバンクやサイバーエージェントがあり、実は日本にはユニコーンは山ほどいたという意見もあった。

続いては医療とAI。ゲノムデータの活用や、病理の診断に、画像解析、疾患の予測などに、すでにAIは非常に活用されており、素晴らしい成果を挙げているのだという。特に日本はCTやMRIなど画像解析の頻度が世界で類を見ないほど高く、キヤノン、オリンパス、富士フイルムなどの高度な撮影デバイスを持つ企業があるのだから、AI画像解析にしても世界をリードする立場に立つべきとのこと。

反面、米国のFDAに相当する医療の認可が下りるのがたいへん遅く、認可が下りた頃のは技術は何ステップも前に進んでおり、古い技術しか使えないのがもどかしい。アップデートに相当する認可方法が必要だとのこと。

最後は平井大臣と、フューチャーグループCEO金丸さん、楽天の三木谷CEOが登壇し、先頃の『デジタルファースト』政策について話をした。

『デジタル手続き法案』については、紙からデジタルにマインドセット自体を、国が大胆にステップを勧めようという法案。デジタルトランスフォーメーションを徹底的にやって、世界の先陣を切ろうとしているとのこと。高齢化では世界の最先端で、その対策で先陣を切れれば、そのノウハウは輸出できる。

ただし、そのフォローに関しては平井大臣は「新経連参加企業も人を出して、デジタルサポータとしてデジタル化に置いて行かれる人をフォローして欲しい」との見解だったが、三木谷さんは徹底的なデジタル化で、デジタルが疎い人にも便利な世の中を……との姿勢を崩さなかった。筆者も、本当の意味で高度なデジタル化は、デジタルが苦手な人もカバーすると考える。たとえば、マウスやキーボードに拒否反応を示す高齢者もVRは案外楽しめたりする。AIによる機械側の認識能力の向上により、Rest of Usもカバーされると思う。もしくは思いたい。

以上、現地リアルタイムで書き込んだ生レポートは、

@flick_mag
https://twitter.com/flick_mag

をご覧いただきたい。

日本の課題感と、新経連サミットの課題感

さて、今回の新経連サミットの素晴らしかった点は、日本の課題感がはっきりと見えたことだ。登壇した方、みなさんの話に通底しているのは同じことだ。

平成の30年の間、大企業はダイナミックなIT化、ベンチャーやシリコンバレーの企業ができたような、モノからコト、アトムからビットへ、デジタル化への方向転換ができず日本という国全体を低成長に落とし込んだ。国も、その既存の企業の意見を重視し、新しいチャレンジを阻害し、スタートアップがグロースする手助けを怠ったばかりか、規制でがんじがらめにして、ユニコーンに成長したかもしれない企業を窒息死させた。

ライドシェアや民泊、電動キックスターターに何が起こったかを考えればそれは明白だ。

となれば、政府は、規制緩和、スタートアップの背中を押すこと(決して、政府が成長するスタートアップを見つけて育てようなんて余計なことはしなくてもいいと思うが。高齢者の目で選んで育成してやろうなんて余計なことをせず、殻を破る邪魔をしないだけで十分だ)。大企業も、高齢者も若手を対等に扱い、その意見を聞き、権力に汲々とせずに若い人に力を委譲することが大切だろう。

反面、問題だと思ったのが、この新経連サミットが楽天一社中心、三木谷さん中心のイベントになっていること。サイバーエージェント、グリー、ソースネクスト……などの企業は見られるが、日本のIT系企業として、Yahoo!などソフトバンクグループの企業や、ドコモとか、KDDIなどの通信各社、ソニーなどの電子機器メーカー、スクエアエニックスなどのゲーム企業がいないのも奇妙な話だ。

それだけじゃなく、日本マイクロソフトや、Google、Facebook、Amazon、アップルなどの日本法人が参加したっていいだろう。そうなって初めて、内部で意見を戦わせ、国政に意見を強く主張し、経団連に対抗し、この国の経済をITを力に建て直せるのではないだろうか?

懇親会には平井卓也IT政策担当大臣だけでなく、菅義偉 内閣官房長官、柴山昌彦 文部科学大臣、山下貴司 法務大臣、片山さつき 内閣府特命担当大臣、西村康稔 内閣官房副長官と、錚々たる大臣の方々がいらっしゃっていた。乾杯のご発声とその前の演説のためだけでなく、イベント本論の方でこれらの人達がITと経済に関して侃々諤々の発言をするような会になって欲しい。

(出典:『flick! digital (フリック!デジタル) 2019年7月号 Vol.93』

(村上タクタ)

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PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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