荻窪さんの『東京多叉路散歩』が、東京散歩の参考書になる
- 2020年03月23日
地理がこんなに楽しいなんて、学生時代の自分に教えたい
今、フリック!では荻窪圭さんに『マップアプリ放浪』という連載を書いてもらっている。私が担当編集なのだが、とても楽しんで編集させていただいている。
『スーパー地形』という古地図や地形図をオーバーラップして表示できるiPad用(iPhoneでも使える)地図アプリの活用を中心に書いていただいているのだが、いにしえの道や地形はその土地の素性を表している。
古地図や地形図を観察すれば、なるほどここは大雨で水が溢れるワケだとか、いにしえの人たちがそこに集落を作ったワケとか、妙な曲がり方をしている道が、なぜそういうカタチをしているかとか、いろんなことが分かる。そういう知識を持ってから、街歩きをすると、それはとても楽しい知的ゲームになるのだ。
テクノロジーを使いこなす荻窪圭さんだからこその表現力
そんな荻窪圭さんの新刊が出た(弊社からではなく、淡交社さんからだが)。その名も『東京多叉路散歩』。東京にある多叉路(なんと、最多は九叉路からある)を荻窪さんが紹介して下さっているのだが、なるほどいろいろな物語があって、そこに多叉路が生じるのだな……と勉強になる。
人が行き交う重要な道だから交差点が生まれるわけだが、そこに水道道路が出来るとか、新しい国道が重なるとか、神社の参道があるとか、いろんな歴史的事情が組み合わさって複雑な交差点が生まれているワケである。僕もチラホラ知ってる交差点が出てきて、これまた面白い。
はるか昔からQuickTIme VRとか360°映像にこだわり、今はいろんな地図アプリなどに詳しい荻窪圭さんだから、そういう映像や地図を使って非常に見やすい本に仕上がっている。
初めての共同作業らしい
この本が見やすい本になっている理由がもうひとつある。
この本のデザインはなんと、エディトリアル・デザイナーである奥様が手がけていらっしゃるのだ。あとがきに「一緒に仕事をするのは今回がはじめて。原稿の遅れを目の前でつつかれたりもしましたが、よいデザインと表紙にしてくれて感謝しております」とある。
目次のアイコンや、色の分け方などに、奥様の優しい人柄がにじみ出たデザインが感じられる。
実は筆者、奥様とも面識がある。
フリック!が始まるはるか前。16〜7年ぐらい前に、私がまだ熱帯魚雑誌の編集長だった頃。荻窪圭さんや三井公一んがやっていた、IT系ジャーナリストばかりのFireWire F.C.という弱小フットサルチームに私も仲間に入れてもらった。いわばその時の人の縁が『フリック!』を創刊させたのだ。
そのフットサルチームに奥様もいらっしゃった。よく一緒に、二子玉川や大井町、馬事公苑などのフットサル場でボールを追いかけたものだ。
というフリック!と縁の深い『東京多叉路散歩』。ぜひご覧になってみていただきたい。
(村上タクタ)
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PROFILE
flick! / 編集長
村上 タクタ
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。