ARグラスをアップルが6月7日のWWDC21で発表するか、考察してみた
- 2021年03月31日
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WWDC21の開催は、6月7日から
昨年、iPhone、iPadなどに搭載されるARM系のCPUであるApple SiliconをMacに搭載して、インテルCPUを大きく凌駕する性能のM1搭載Macを発表し業界を仰天させたAppleが、今年のWWDC(世界開発者会議)開催の告知を行った。今年も昨年同様オンラインでの開催である(取材に行けなくて残念)。
Appleの世界開発者会議、今年もすべてオンライン形式で開催
https://www.apple.com/jp/newsroom/2021/03/apples-worldwide-developers-conference-is-back-in-its-all-online-format/
さて、それはそうと、問題はこのプレスリリースに使われている画像である。
Appleのメッセンジャー用アバター『ミー文字』テイストのアバターがMacBook Airを開いている。
これは、昨年11月11日のM1 Macの発表会で、アップルのSVP、クレイグ・フェデリギ氏がやってみせた、M1 搭載MacBook Airを少し開いて、そのM1のパフォーマンスを示唆してみせた時のジェスチャーで、macOS 11 Big Surの壁紙の虹色で顔が照されてる場面を模したもの。
あの時のような、ワクワクする場面をもう一度提供するというワケだ。
しかし、我々が気になってならないのは、当然のことながら彼女のしている眼鏡だ。
クレイグ・フェデリギのパロディをするだけなら、彼女か眼鏡をする必要はない。これは、WWDCでARグラスのプラットフォームを発表するのではないか? ……と推し量らずにいるのは困難なヒントだろう。眼鏡に写ってるカレンダーのアイコンは逆向きだから、単に反射しているだけかもしれないが(表示されてるとしても、逆向きになる)。
ARKitは、iPhoneやiPadだけのためのものなのか?
もともと、筆者は『アップルはAR/VRグラスを発表する』説を推している。それは、はじめて行ったWWDC 2017で、AR/VR関連の技術がいっぱい発表したからで、これは何か将来の製品に繋がるはずだと強く感じたからだ。
WWDC 2017 Overview『アップルの大攻勢』
http://blog.sideriver.com/flick/2017/06/wwdc-2017-overv-ae93.html
以来、アップルのARテクノロジーは確実に進化している。
実際の空間に、ARオブジェクトを固定したり、実際の空間側の寸法を計測したりと、iPhoneやiPadのカメラ画像にARオブジェクトを反映する工夫が続けられてきた。アップル本社のApple Park Visitor Centerにある、立体白地図にさまざまな映像を反映するARアプリも素晴らしい出来だ。
しかし、この技術をiPhoneやiPadのカメラ画像に反映するために開発していると思うのはどう考えても不自然。ここはやはり水面下でARグラスが開発されていると勘ぐりたくなる。
Apple MapsのLook Aroundもここで活用される?
そう考えると、アップルが現実空間をLiDARでスキャンし続ける作業をしているのも納得できる。
LiDARによる正確な現実空間の3Dマップを元に、そこにいろいろなARオブジェクトを追加していけば、非常に見やすいARガイドが可能になるのではないだろうか?
Google Glassの残した課題
ARグラスといえば、 立ち消えとなってしまったGoogle Glassがあるが、あの製品が呼び起こしたプライバシーの問題などについても解決が必要だろう。ARグラスはその機能から考えると、カメラが必須だと思うのだが、Google Glassの時の議論でいえば、顔のところに付いたカメラで、いつの間にか撮影されている……という状態は人々は好まないらしい。
アップルは果たして、この問題をどう解決するのだろう。
初Google Glassが、ほんやくコンニャクだった
http://blog.sideriver.com/flick/2014/03/google-glass-4103.html
NianticもARグラスを作っている
さて、もうひとつヒントがある。Google Earth、Ingress、Pokémon GO……などを作った、元Google、元Nianticのジョン・ハンケ氏が、昨日こんなtweetをしている。
Exciting to see the progress we’re making to enable new kinds of devices that leverage our platform… pic.twitter.com/yYglk4q89G
— John Hanke (@johnhanke) March 29, 2021
これはどう考えても、ARグラス系のデバイスに見える。
もちろんNianticの製品の話だが、ガラス面(もしくは網膜)への投影の技術などは、同時並行してさまざまなところで進化するだろうから、Nianticが実現するのと近似の技術をアップルが持っていてもそれは不自然ではない。
Nianticは以前から、AR技術に非常に積極的なのはご存知の通り。
これはNianticの開発した、Neonというゲームのデモムービーで、AR空間を共有して遊べるようになっている。
さすがにゲームに必要とされるレイテンシーをAR空間を共有しながら実現するにはデバイス同士が相互に直接通信する技術などが必要なようだが、このゲーム、iPadを持って走り回るのはいかにも不自然だ。
つまり、ここでもどう考えてもARグラスの技術は必要になってくるのである。
これはただの妄想なのか? それとも?
もちろん、Niatincの技術がすぐさまアップルの技術に反映されるというものでもないが、なにしろシリコンバレーという同じ町内会のことである。似たような技術がアップルから登場しても不自然ではない。
WWDCは、開発者たちのイベントだから、ここでデバイスを発表して『Buy Now !!』なんていうことはなくて、たぶん『こういうデバイスが発表される。開発キットはここだ。秋の発売までに、アプリを開発しよう!』みたいな発表がなされるのではないかと想像する。
WWDCの画像1枚から、ここまで想像をたくましくすると、さすがに自分には妄想僻があるのではないかと不安になってくる(笑)
アップルは今のところARデバイスを開発しているとはひと言も言ってないのだけれど、状況証拠は整っていると筆者は思う。
あなたは、WWDCでARグラスが発表されると思うだろうか?
(村上タクタ)
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PROFILE
flick! / 編集長
村上 タクタ
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。