AirPods 第3世代が驚きの進化。音質はAirPods Proを大きく超える
- 2021年10月26日
AirPods Proより高音質
AirPodsの第3世代を試してみて驚いた!
見た目からは分からないが、これは驚きの進化だ! 我々メディアもスタンダードモデルのAirPodsのアップデート、AirPods Proほどのモノではない……と思って油断していたが、これは後々、大きな話題になる製品かもしれない。
考えてみれば、初代AirPodsが発売されてから5年、AirPods Proが発売されから2年。その間もコンピューテーショナルオーディオの世界は長足の進化を遂げていた。
発表された商品ラインナップからすると、単にAirPodsが、第2世代から、第3世代にアップデートされ、第2世代は値下げされてラインナップに残った。最上位モデルはAirPods Pro……というように見える。しかし、実際に試してみると、そうとも言い切れないほど、第3世代のAirPods高音質なのだ。
『ステレオを空間化』の効果の大きさに驚く
アップデートは多岐にわたってるが、一番大きな変更は、アダプティブイコライゼーションを搭載したことだろう。
これは、耳の中の響いてる音をマイクで拾って、本来響くべきなのに洩れてしまったりして足りない音を補完するシステム。AirPods Proのようなイヤーピースがないのに、密閉された状態のような音が聞えるのはこの仕組みのおかげ。
このアダプティブイコライゼーションに加えて、空間オーディオが効果を発揮する。最新のOSを積んだiPhoneなどのアップルのデバイスで『ステレオを空間化』を選択すると、普通の音楽も立体空間の中で聞いてるように聞える。
ちょっとこれが、驚くほどの効果で、目をつぶれば、目の前にボーカルがいるようだし、仕事をしながら音楽を聞いていても、特定の方向から聞えてくる音に、思わず顔を向けてしまうほど。従来のステレオとはまったく違う、360度から音が聞えてくる感じがするのだ。
正面にボーカルがいるように聞えている時に、左に顔を向けると、左の方から聞えてくるように感じる。これはAirPodsに搭載されているジャイロセンサーが、使用者が左に顔を向けたことを感知しているから。空間オーディオに対応した映画を見ると、正面で発射された銃弾が、耳元の左後ろの壁に当って音を立てるのを聞くことができる。すごい迫力だ。
第2世代を買う手はない。AirPods Proとどちらを勧めるか迷うほど
それだけではない。AirPodsとMagSafe充電ケースはIPX4等級の耐汗耐水性能を持って持っているので、多少汗や雨で濡れても大丈夫。
また、単体で6時間、ケースに入れて充電すると30時間の再生が可能ということで、これまでのAirPodsの中で、一番長時間音楽を聞き続けることができる。
さらに、もちろん『探す』アプリ対応。万が一紛失するようなことがあっても、どこで身体から離れたか分かるし、全国のiPhoneを経由して位置情報を獲得することもできるし、自宅でなくしたような場合はBluetoothの電波の方角を探すこともできるし、音を鳴らして位置を特定することもできる。高価なものだけに、紛失さない工夫も万全だ。
第2世代からは格段の音質向上だから、7000円の差とはいえ、第2世代を買うよりは第3世代を買った方がいいと断言できる。思わず、目をつむって聞き惚れてしまうほどの音質だ。ぜひ体験してみていただきたい。
難しいのは6780円高いAirPods Proとの比較だ。
聞き比べてみると、音の広がり感は、第3世代のAirPodsの方が上だ(筆者のAirPods Proが2年間の使用で音質が低下している可能性もあるが)。低音の響き、高音の抜け……どちらも素晴らしい。しかし、AirPods Proのアクティブノイズキャンセリング機能は魅力だし、周りがうるさい場所で聞くならAirPods Proの方がいいだろう。
どちらを選ぶかと言われると非常に悩ましいが、静かな場所で聞くなら、第3世代AirPodsに軍配が上がる。
もともと、アップルのオーディオはクセのない、低音から高音までニュートラルな音質が魅力。その伝統は、AirPodsになっても、AirPods Proになっても守られてきた。
第3世代AirPods Proも、もちろんその線上での進化だ。しかし、ニュートラルなまま、ここまで低音の響きを伝えられるのか、空間の広がりを伝えられるのかと、驚いた。これこそ、コンピュータの処理で、音楽に情報を加えて膨らませていけるコンピューテーショナルオーディオの真骨頂といえるだろう。
AirPodsの第3世代。まだ大きな話題にはなっていないので、手に入れるなら今だと思う。
(村上タクタ)
(最新刊)
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PROFILE
flick! / 編集長
村上 タクタ
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。