
小川山でのクライミング講習の日々が始まった|筆とまなざし#425

成瀬洋平
- 2025年06月18日
講習の合間のレスト日に、ふと思い立って軽井沢へ
夏になると小川山での講習が多くなる。だいたい数日間滞在して行なうためほとんど出稼ぎ状態である。今回は2日講習して1日休み、さらに2日講習するスケジュール。前半は雨予報だったが来てみれば登れるというのがこの時期の小川山。ときどき小雨が降ってしまったがなんとか2日間行なうことができた。
中日の1日、ふと思い立って軽井沢へ出かけることにした。パタゴニアで気になっているギアを見たいと思ったからだ。佐久平には霧が朝まで立ち込めていたがしばらくすると晴れ、浅間山が大きな姿を現した。駐車場に車を停めてスケッチする。清々しい1日の始まりである。
2年前にできたばかりのパタゴニアは、軽井沢の駅の真ん前の一等地にあった。駅を挟んだ反対側にはアウトレットがあって、駅前はすっかり再開発されていた。軽井沢に来るのは何年ぶりだろう。パタゴニアで目当てのギアを手に入れ、そこから車で10分ほどの場所にある「Coffee House Shaker」を訪れた。
ひさしぶりに訪れた「Coffee House Shaker」
初めてシェーカーを訪れたのは15年ほど前だろうか。雑誌の取材で訪れたのがきっかけだった。オーナーの黒澤さんに良くしてもらい、展覧会やスケッチイベントもしたことがある。何分遠いためすっかりご無沙汰してしまっていたのだが、軽井沢に来ると決めたときにお昼はシェーカーでと決めていた。インスタグラムで見るハンバーガーがとても美味しそうなのである。
白塗りの可愛いお店は変わらず、黒澤さんの笑顔も変わらなかった。黒澤さんはフライフィッシャーマンで、アウトドア全般に造詣が深い。初めて訪れたときのことを話しながら「ときは経ったね~」とお互いに頷く。夏の軽井沢らしい、心地よい森からの風が店内に吹き抜けていく。苦味の効いたコーヒーとソースに味噌が使われた特製ハンバーガーはもちろん美味しく、ガブリとかぶりつき、一気に平らげた。ひとしきり近況を話し、明日からの鋭気を養って小川山へと帰路に着いた。
小川山からは下道で2時間弱かかるのだが、近くにはクライミングジムもあるし温泉もあるし、軽井沢へ足を伸ばすのは出稼ぎのレスト日にはとても良いプランだと思った。この夏、またふらりと訪れるのが楽しみになった。
著者:ライター・絵描き・クライマー/成瀬洋平
1982年岐阜県生まれ、在住。 山やクライミングでのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作したアトリエ小屋で制作に取り組みながら、地元の岩場に通い、各地へクライミングトリップに出かけるのが楽しみ。日本山岳ガイド協会認定フリークライミングインストラクターでもあり、クライミング講習会も行なっている。
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