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茶臼岳(那須岳)~朝日岳登山ルート「那須ロープウェイを利用してニセ穂高とも呼ばれる岩峰へ」

低山を登るルートは樹林帯を歩く時間が長いイメージがあるが、今回は遮る物がない岩稜帯の道を登るルートを紹介する。まるで日本アルプスを歩いているような気分になれる茶臼岳~朝日岳の登山ルートは、那須ロープウェイを利用すれば登山時間を短縮することも可能だ。

ルート概要

噴煙を上げる茶臼岳からニセ穂高という別名を持つ朝日岳への縦走は、赤と緑のコントラストで幻想的な風景を堪能できる紅葉シーズンもおすすめ。
山頂駅→茶臼岳→峰の茶屋跡→朝日の肩→朝日岳→峰の茶屋跡→山麓駅

歩行時間

3時間20分

日程

日帰り

技術

★★☆☆☆

体力

★★☆☆☆

レベル

初級

茶臼岳~朝日岳登山ルートへのアクセス

公共交通機関

東京駅から東北新幹線、JR東北本線で黒磯駅へ。ここから那須ロープウェイ行きの東野交通バスを利用する。終点で下車したら、目の前に見えるロープウェイで山頂駅までおよそ4分の空中散歩を楽しもう。東京駅〜黒磯駅1時間30分。黒磯駅〜那須ロープウェイ山麓駅1時間。

東北自動車道那須ICから那須街道を湯本温泉方面へ。那須ロープウェイ山麓駅まで一本道。那須ICから18km

ルートプラン

歩行距離:7km
登山口:山頂駅
下山口:那須岳山麓駅
高低差:520m

まるで日本アルプスの岩稜を歩いているような気分になれるのが、峰の茶屋跡から朝日岳に向かう道。朝日岳はニセ穂高ともいわれ、初心者には憧れの的にもなっている。その姿は凛々しく、山域にいるとついつい探してみたくなるはず。

ニセでも何でも、ここではその岩稜線歩きを存分に楽しみたい。峰の茶屋跡からピストン設定だが、時間があれば三斗小屋温泉に1泊して秘湯を楽しんでから翌日に朝日岳に挑戦するのもいいだろう。山域は広く、展望に飽きることがない。

山頂駅
↓45分
茶臼岳
↓20分
峰の茶屋跡
↓40分
朝日の肩
↓10分
朝日岳
↓45分
峰の茶屋跡
↓40分
山麓駅

茶臼岳~朝日岳登山ルートの詳細ガイド

遮る物のない登山道を登る

那須ロープウェイ山麓駅からロープウェイを使って山頂駅へ。ここが出発点になる。山頂駅を出たら、そのままザレ気味の登山道を進む。那須高原の台地が眼下に広がり気持ちがよく、晴天なら日差しが眩しいところだ。

朝日岳山頂から眺める茶臼岳。斜面右に噴煙が上がっているのが見える。峰の茶屋跡避難小屋から峠の茶屋へ下る道もはっきりと確認できる。ゆっくり時間を取って滞在したい山頂だ。

すぐに牛ヶ首山頂分岐に出るので、右へ進み、砂地の広い登山道から茶臼岳の斜面を登る。正面に見えているこんもりとした頂が茶臼岳の山頂部分。山頂は広い台地になっている。右に張られたロープに沿って、ガレ気味の登山道を登る。右手には凛々しい立ち姿の朝日岳。朝日岳はニセ穂高という別名があり、風貌は3000m級の山と遜色がない。

岩に○印や→が書かれているのでそれに従って進むと、正面に大きな岩が見えるので右へ進み、岩や石が堆積したエリアを登る。ここを抜けると山頂の台地に乗る。

茶臼岳山頂台地。正面の鳥居をくぐると山頂の祠が祀られている。

正面に見えている鳥居を抜けると那須岳(茶臼岳)山頂。岩の上に那須岳神社の小さな石の祠が祀られている。

朝日岳を正面に見ながら鞍部へ

祠に安全登山をお願いしたら左へ進み、祠の裏を回るようにして岩がゴロゴロと転がる斜面を下ろう。右上には山頂の祠が見えている。岩や石に足を取られないように注意したい。道標が見えてくるとそこがお釜口だ。

ここで道標に従って、峰の茶屋跡避難小屋方面に進路を取り、鋭角に左に曲がる。岩の多い道を下るとしっかりとした土の道に出る。ゆるやかな下り勾配の道だ。

茶臼岳の斜面を下りきると比較的穏やかな道を歩くようになる。今回の登山でもっともリラックスして歩くことができるところだ。

1万年の歴史を持つ活火山なだけに、左上にはもくもくと煙が上がっているのが見えるだろう。土の道から岩が堆積する場所を抜けると、峰の茶屋跡避難小屋が見えてくる。その後方には三本槍岳も見え、アルペン的な景色が楽しめるエリアになる。

茶臼岳から上がる噴煙。1万年前から火山活動を続けているといわれる茶臼岳。この噴煙周辺は立入禁止となっている。

ガレ気味の道を下っていくとすぐにベンチが置かれた硫黄鉱山跡に着く。遮るもののない分岐点だ。気持ちのいい風を堪能したら出発してもいいが、峰の茶屋跡避難小屋周辺が混雑していそうなら、ここでランチタイムにしてもいいだろう。硫黄鉱山跡手前で峰の茶屋跡避難小屋が見える。

ひと休みしたら朝日岳を目指す

紹介コースを外れた隠居倉から朝日の肩に向かう稜線から展望する朝日岳。山域全体がゴツゴツとした岩だということがわかる。

硫黄岳鉱山跡からゆるやかに下ると峰の茶屋跡避難小屋に到着。峰の茶屋跡は風の通り道として知られる鞍部。天候が悪いと想像を絶するほどの風が吹きぬける。避難小屋から朝日岳に向かうわずかな稜線がポイント。人間の体など一瞬にして持っていかれることがあるので、そのときの状況によっては朝日岳登山を諦める必要がある。

峰の茶屋跡避難小屋から朝日岳へ向かおう。道は剣ヶ峰の東斜面下を歩くので、しばらくは風の影響を受けることはない。落石に注意しながら、斜面に造られた細い道を進もう。この斜面の道を抜けるころ、上り勾配になるとすぐに恵比寿大黒だ。斜面に造られた西側が開けた道を、岩に付けられたペンキマークに従って歩く。大きな岩が転がっていることもあるので、臨機応変に対応しよう。

峰の茶屋跡避難小屋から朝日岳に向かう岩稜帯の道。片側は切れ落ちているので、鎖を持ってクリアを。

岩で組まれ、手摺り代わりの鎖が張られた階段登りが始まる。この後も鎖が斜面の岩に付けられた細い道が続き、息の上がる登りをクリアすれば朝日の肩に到着だ。

朝日の肩から岩稜をひと登りすれば朝日岳山頂に立てる。山頂は岩場で展望に優れ、茶臼岳は目の前に広がっている。三本槍岳などの展望もいい。

朝日の肩から朝日岳への登り。岩が転がる道だが多くの人に踏まれ続けているため土の部分は安定している。リズムよく登ると疲れにくい。

下山は峰の茶屋跡避難小屋前から那須岳山麓駅方面へ下る。峰の茶屋跡避難小屋までは、往路を逆に歩くことになるので、鎖が張られたところはそれに頼るようにしよう。とくに朝日の肩からの下りは足元に注意。

峰の茶屋跡避難小屋前からゆるやかに下る斜面の道に入ると、左に朝日岳、右に茶臼岳の斜面を眺めながら下ることになる。ガレ気味の道なので、滑らないように注意。下り一辺倒なので、わざとゆっくり歩くようにするといい。

振り向くと下ってきた道が見えている。ここを過ぎてしばらく行くと中間地点になる。峰の茶屋跡避難小屋が稜線の鞍部に建っていることがわかる。

中間地点をすぎると、岩稜の景色とはお別れ。登山指導所前から舗装道を歩く。直進すれば那須岳山麓駅だ。

この鳥居が下山口に。鳥居をくぐったら、振り向いて頭を垂れる人も少なくない。正しい姿だ。鳥居の先、左側にある建物が登山指導所。

那須ロープウェイについて

10月初旬から中旬までは、燃えるように真っ赤に色づいたツツジやナナカマドとクマザサの緑が絶妙に混ざりあい、幻想的な風景を堪能することができる。

営業期間:~11月14日 ※11月15日~2018年3月19日までは冬季クローズ
運行時間:通常8:30~16:30、夏季8:00~16:30、冬季9:00~16:06(3月20日)(20分間隔運行)
料金:片道950円、往復1,800円
問い合わせ:那須ロープウェイ(TEL.0287-76-2449)
公式サイト:https://www.nasu-ropeway.jp/

茶臼岳~朝日岳登山カレンダー(該当月の1日)

茶臼岳~朝日岳データ

標高:茶臼岳1,915m、朝日岳1,896m
登山適期:5月中旬~10月
営業小屋:なし(茶店あり)
避難小屋:峰の茶屋跡避難小屋
テントサイト:なし
水場:なし
トイレ:山頂駅、登山指導所
ビューポイント:茶臼岳、峰の茶屋跡、朝日岳
連絡先:那須町観光商工課(TEL.0287-72-6918)、東野交通バス(TEL.028-662-1080)

シーズンをしっかり見極めることが必要

茶臼岳と朝日岳は登山シーズンを間違わなければだれでも登ることができる。とくにロープウェイ山頂駅と茶臼岳の往復なら登山靴以外、特別の登山用品はいらないだろう。ただし、天候の悪い日や晴天でも風の強い日には注意が必要だ。

茶臼岳や朝日岳、三本槍岳などを総称して那須岳という。この那須岳は栃木県と福島県にまたがる広大な山域で、最高峰は1,917mの三本槍岳。茶臼岳はここより2m低い。しかし、山塊の核心部分は栃木県にあることや山の形状、ロープウェイが架けられていることなどの理由から、那須岳の主峰は茶臼岳ということになっている。

アドバイス

標高がそれほど高くない山だからといって油断していると、とんでもないしっぺ返しを食らうこともしばしば……。ここに記載している所要時間はあくまでも目安なので余裕をもって計画は立てよう。また、天候や自分の体調によっては、中止することも検討してほしい。山はいつまでもそこで待っていてくれる。どんなにその山が低くても、謙虚に向き合うことで、山はあなたを優しく迎え入れてくれるだろう。

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