奥穂高岳~前穂高岳 登山ルート「3000mの稜線歩きは一生の思い出に。憧れの穂高連峰を歩く2泊3日の山旅」

何本もの稜線が南北に連なり、それらをつなぐ登山道がいくつも走っている北アルプス。いわずと知れた日本最大級の山脈です。今回ご紹介するのは、北アルプスの最高峰・奥穂高岳と前穂高岳を楽しむ上級者向けルート。技術・体力ともに高いレベルを要するので、準備や装備は念入りに。

上高地→横尾→涸沢→奥穂高岳→前穂高岳→奥穂高岳→涸沢→横尾→上高地
[歩行時間]21時間50分
[技術]★★★★☆
[体力]★★★★☆
[レベル]上級

奥穂高岳~前穂高岳 登山ルートへのアクセス

公共交通機関:新宿駅からJR中央本線特急で松本駅へ。ここから上高地行きのバスを利用するのが便利ですが、松本電鉄上高地線の新島々駅で、上高地行きのアルピコバスに乗り換えるほうがバス便は多い。

車:長野自動車道松本ICから国道158号線を走行して沢渡まで行き、ここに駐車して上高地行きのバスかタクシーを利用。沢渡エリアには4カ所の市営と10カ所の民間駐車場があります。沢渡までの道は片側一車線。トンネルも多いのでスピードの出しすぎに要注意です。

ルートプランと所要時間目安

日程:2泊3日
歩行時間:21時間50分
歩行距離:40km
登山口:上高地
下山口:上高地
高低差:1,700m

登山者ならだれもが憧れる涸沢に2泊して奥穂高岳と前穂高岳を楽しみます。上高地から6時間以上かかるので、1日目は涸沢に宿泊。できれば上高地を早朝に出発して、午後早い時間に涸沢に到着し、日が沈むまで小屋のテラスで奥穂高岳や北穂高岳の展望を楽しむのがおすすめです。夜明け直後に起きて稜線を眺めると、すでに北穂高岳に向かう登山者やザイテングラートを歩く人たちのヘッドランプが。その眺めを見るだけでもワクワクするでしょう。

上高地
↓3時間10分
横尾
↓3時間
涸沢
↓2時間50分
穂高岳山荘
↓50分
奥穂高岳
↓2時間
前穂高岳
↓10時間
上高地

 

奥穂高岳~前穂高岳 登山ルートの詳細ガイド

心ははやるがまず登山届を提出

バスが到着するたびに、多くの登山客や観光客が吐き出される上高地バスターミナル。ここから目指す山へ三々五々歩き出しますが、忘れてはならないのは登山届の提出です。インフォメーションセンターに提出用のポストが設置されているので、必ず提出してから出発しましょう。横尾登山口でも提出できるが、忘れてしまいがちなので、ここで済ませてしまうのがおすすめです。

横尾大橋の前で休憩する登山者。この橋を渡ったところから本格的な登山道になるので、ここであまり長時間休憩しないように。

その後、上高地のシンボルでもある河かっ童ぱ橋ばしの上から山並みを眺め、意欲を高めたら、出発しましょう。 明神、徳沢、横尾と宿泊施設があり、休憩ポイントにもなる地点を通りすぎるたびに、観光客は徐々に減り、登山者たちのパラダイスになってきます。梓川の心地いい瀬音を耳にしながら、樹林帯に囲まれた道を歩くこの区間は、槍ヶ岳や穂高連峰を目指す際の格好のウォーミングアップになるでしょう。

涸沢で泊まり、早朝から登り始める

横尾で槍ヶ岳へ向かう人たちと別れ、まず涸沢へ。ここからが本格的な登山になり、勾配もきつくなってきます。自分のペースを守って、立ち休みを繰り返しながら登っていきましょう。屏風岩の岩壁を仰ぎ、本谷橋を渡ると登山基地の涸沢に到着。上高地から約6時間、盛夏ならまだ日は高いですが、落雷が発生しやすい時刻なので、ここで1泊しましょう。

涸沢ヒュッテから見上げる北穂高岳。そこまでのルートも一望でき、テラスでビールでも飲みながら眺めていると幸福感が味わえるはず。

翌日は3000m級の稜線を歩くので、早朝に出発します。テントサイト前に登山補導所があり、玄関に毎朝、天気予報が貼り出されるので参考に。まずザイテングラートへ。涸沢小屋からなら灌木帯を登り、涸沢ヒュッテからは登山補導所前でパノラマコースに入ります。

涸沢小屋前からの道と合流し、ザイテングラート取付点へ向かい、開けた斜面を登っていきます。夏には上高地に棲息するサルがここまで登ってくることも。出合っても、決して餌などを与えてはいけません。こんな高所は、本来ならサルの棲息できる環境ではないはずだからです。

ザイテングラートの途中には休憩ポイントはないので、取付点で一旦休憩してから登りに取り掛かろう。クサリが張られた箇所は少なく、脚力も必要。

平坦地の取付点の一段上からザイテングラートが始まります。取付点から稜線の白出のコルまでは距離にして約1km。それほどの距離ではありませんが、岩稜地帯の急登が連続して、一瞬たりとも気を抜くことができません。

かなりの勾配をジグザグに進み、足場の不安定な箇所では、三点支持の姿勢を保ってクリアしましょう。北穂側に回り込むとクサリとハシゴが連続して登場します。これらを慎重に通過し、ジグザグを繰り返した先で、白出のコルに。ここに建つのが穂高岳山荘です。小屋前の広い石畳が格好の休憩場所で、涸沢カールを俯瞰できます。

白出のコル。穂高岳山荘が建つ鞍部です。正面の大きな岩に奥穂高岳に登るルートが刻まれています。

奥穂高岳山頂から稜線歩きに

出発石畳の南端から岩場に取り付き、すぐに2連のクサリと2段のハシゴを登ります。最後に右へ大きく、クサリ付きの斜面を急登。その後は岩稜帯を登り、飛騨側に付けられたルートを歩きます。西穂高岳への道標を見送れば、すぐに奥穂高岳に到着します。

奥穂高岳のピークはこの岩の上辺。頂には数人しか立てないので、記念撮影が終わったら交代しましょう。休憩ポイントは山頂下のこの小さな広場。展望がいいのでランチを食べながらゆっくりするのがおすすめです。

大きなケルンと小さな祠が祀られた山頂からの展望はみごとの一語。奥穂高岳から吊尾根をたどって、前穂高岳を目指します。南稜ノ頭から30mほどをクサリを頼りに急下降するので、高度感があり、恐怖を感じやすい箇所です。ゆっくりと三点支持の姿勢を保って下りましょう。

その後は岩場を着実にこなしながら最低コルまで下り、登り返して紀美子平に達します。小広いテラス状の紀美子平は展望を楽しみ、休憩をとるのに最適な場所。ここにバックパックを置き、岩場を直登すると前穂高岳山頂です。紀美子平からの高低差は180mほどにも達する厳しい登りなので、身軽になるのがコツ。

吊尾根唯一のオアシス、紀美子平。穂高岳山荘の創始者、今田重太郎氏の愛娘が名前の由来です。

前穂高岳山頂は南北に細長く、ケルンが立っています。標高3090mの頂からは奥穂高岳をはじめ、西穂高岳、涸沢、上高地など、高度感のある展望を楽みましょう。前穂高岳から紀美子平まで足元に注意しながら下り、バックパックをピックアップ。紀美子平から岳沢に下る重太郎新道は重大事故が多発する区間なので、経験者以外は、必ず往路を戻ります。

奥穂高岳と前穂高岳を結ぶ吊尾根は開放感があり迫力もすごい。

吊尾根は南稜ノ頭に登るクサリに注意。早い時間は下ってくる人も多いので、譲り合ってください。下りと同様、三点支持でクリア。穂高岳山荘に下りるクサリ、ハシゴは、これらを頼って一歩一歩を確実に、集中して下りましょう。ザイテングラートの下りも同様に。迷惑にならない安全な場所で、景色を楽しみましょう。

奥穂高岳 登山カレンダー(該当月の1日)

奥穂高岳、前穂高岳 山データ

山名と標高:奥穂高岳(おくほたかだけ)3,190m、前穂高岳(まえほたかだけ)3,090m
登山適期:7月中旬~9月下旬
営業小屋:涸沢ヒュッテ、涸沢小屋、穂高岳山荘
避難小屋:あり
テントサイト:小梨平、徳沢、横尾、涸沢、穂高岳山荘
水場:徳沢、横尾、涸沢
トイレ:上高地、徳沢、横尾、涸沢
ビューポイント:奥穂高岳、前穂高岳
連絡先:松本市山岳観光課(TEL.0263-94-2307)、アルピコバス(TEL.0263-92-2511)

登山を楽しむ皆さんへ

北アルプスの核心部分で、このエリアの一般登山道では難しいレベルになります。無事に歩き通せたら、自信になるはず。ただし、なぜ無事に往復できたのかを分析してみるのが大切で、必ず次の「難所のある山」に登る場合に役に立ちます。

吊尾根、重太郎新道の重要な基点になる紀美子平。このネーミングは穂高岳山荘の創始者、今田重太郎氏の愛娘の名前です。重太郎新道は登山者の利便性を考え自らが開削した道。その作業のときに家族を紀美子平に張ったテントに残して作業に勤しんだことから、紀美子平と命名されました。

出典

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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