北穂高岳 登山ルート「ご褒美は抜群の展望。涸沢小屋・テント泊する1泊2日の山旅」
PEAKS 編集部
- 2019年10月03日
INDEX
北アルプスの名峰・北穂高岳。標高3000mを超えるため初心者には無理があるが、ある程度の登山経験がある人ならば槍ヶ岳・穂高山域では挑戦しやすい山といえる。そこで、今回は上高地から出発し、開放的な景観を誇る涸沢で1泊してから、北穂高岳へ向かう1泊2日の登山ルートを紹介する。
ルート概要
上高地→横尾→涸沢→北穂高岳→涸沢→横尾→上高地
歩行時間目安
16時間40分
日程
1泊2日
歩行距離
36km
技術
★★★☆☆
体力
★★★☆☆
レベル
中級
北穂高岳 登山ルートへのアクセス
公共交通機関
新宿駅からJR中央本線特急で松本駅へ。ここから上高地行きのバスを利用するのが便利だが、松本電鉄上高地線の新島々駅で、上高地行きのアルピコバスに乗り換えるほうがバス便は多い。
車
長野自動車道松本ICから国道158号線を走行して沢渡まで行き、 ここに駐車して上高地行きのバスかタクシーを利用。沢渡エリアには4カ所の市営駐車場と10カ所の民間駐車場がある。沢渡までの道は片側一車線。トンネルも多いのでスピードの出しすぎに注意しよう。
ルートプラン
登山口:上高地
下山口:上高地
高低差:1,600m
今回のコースは1泊2日の予定だが、2泊3日の日程が取れれば、奥穂高岳~前穂高岳と合わせて登ることができる。1日目は上高地~涸沢までの行程。2日目は奥穂・前穂を縦走。3日目は北穂高岳に登り、そのまま上高地まで下山といった行程だ。宿泊は涸沢に建つ2軒の小屋。あるいは、テント場を利用するのもいいだろう。その場合、朝食も夕食も2軒の小屋で食べることができるので、テントを設営したらすぐに手続きをするのを忘れずに。
上高地
↓3時間10分
横尾
↓3時間
涸沢
↓3時間
北穂高岳
↓2時間20分
涸沢
↓2時間
横尾
↓3時間10分
上高地
北穂高岳 登山ルートの詳細ガイド
上高地から登山基地の涸沢へ
登山口になるバス終点の上高地は、槍や穂高を目指す登山客よりも軽装の観光客の姿が圧倒的に多く、避暑地ならではの雰囲気が漂う。そのシンボルの河童橋(かっぱばし)から山並みを眺めたら、早々に梓川の左岸をさかのぼっていこう。
散策を楽しむ観光客の姿が明神までの間に目立たなくなり、ポイントとなる徳沢、横尾とたどるうちに、登山者たちの天国になってくる。
横尾山荘やトイレを利用し、身支度を整えてから、大きな吊橋の横尾大橋を渡ろう。針葉樹林帯を進み、河原歩きを終え、岩小屋跡をすぎると、横尾の手前で目にした大きな屏風岩の垂直な壁を仰ぎ見ることができる。樹林帯をさらに登ると、小さな吊橋の本谷橋が。この先はさらに厳しい登り、樹林帯をジグザグに登り進めていく。
右手上方に涸沢のカールが見えてくれば、辺りはダケカンバやナナカマドの林に。Sガレをすぎ、建物が見えれば涸沢にある山小屋のひとつ涸沢ヒュッテだ。石段を登ると二俣があり、右は涸沢小屋とテントサイト、左は涸沢ヒュッテに通じるので、方向を間違えないように。
目指す山頂を仰ぎ見る
涸沢で山頂を仰ぎ見たあと1泊し、翌日山頂を目指す。普段は涸れている北穂沢から取り付く。初夏には雪渓が残っている場合も。踏み跡をトレースしながら登り、大きな岩のところで沢から離れ、左へ。岩に書かれた矢印を頼りに進もう。
お花畑をすぎ、ハイマツ帯に入ると、大きな岩が転がる道になるので、やがて現れる二俣は左へ。ゴーロ状の道を進み、左上の岩壁にクサリとハシゴが見えたら、そこが南稜ルート取付点となる。取り付けられたクサリは、慣れている人ならば使わなくても登れるだろう。その先は長いハシゴを登ることになりますが、登り下り兼用なので、前後に注意を配ることを忘れずに。
そこが南稜ルートの出発点。さらに険しい岩場の登りが始まる。クサリ場をクリアし、岩場を進むと、ようやく山頂付近が見え始める。テントが張られているのが、南稜テラスと呼ばれる小さな台地。その先で山頂直下の北穂分岐に出る。ここを右、北穂沢源頭部をトラバースし、鞍部から石段を登り返せばいよいよ北穂高岳山頂だ。
展望は申し分なく、小広く、平坦でランチにもいい場所だ。下山は往路を戻る。とくに雪渓が残っている箇所では慎重に行動しよう。
上高地登山口まで戻ったら
下山したあとに立ち寄りたいのは、温泉や地元のものが楽しめる食事処。山岳ライターや編集部の定番となっているおすすめのスポットを確認しておこう。
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松本エリアの温泉で汗を流して帰ろう
設備の確認は済んでいる?松本エリアの登山口情報
北穂高岳 登山カレンダー(該当月の1日)
北穂高岳 山データ
山名:北穂高岳(きたほたかだけ)
標高:3,106m
登山適期:7月中旬~9月下旬
営業小屋:横尾山荘、涸沢ヒュッテ、涸沢小屋、北穂高小屋
避難小屋:横尾
テントサイト:小梨平、徳沢、横尾、涸沢、北穂高南稜
水場:徳沢、横尾、涸沢
トイレ:徳沢、横尾、涸沢、北穂高小屋
ビューポイント:涸沢、北穂高岳
連絡先:松本市山岳観光課(TEL.0263-94-2307)、アルピコ交通バス(TEL.0263-92-2511)、北穂高小屋(TEL.090-1422-8886)
アドバイス
北穂高小屋は、富士山を除く山域では最も高所に建つ小屋。できれば宿泊して朝日、夕日に輝く北アルプスの山並みを見てみよう。なにか自分のなかで変化が起こるかも。小屋で働くスタッフはそうした変化があった人が多いそうだ。
南稜ルートは勾配のきつさで知られますが、自分のリズムを崩さなければ、それほど辛い思いをせずとも登れるはずだ。辛いと感じるのは、人のペースに合わせてしまうから。立ち休みを繰り返しながら登るようにすれば、途中で長い休憩時間を取る必要もなくペースがつかめるだろう。ウサギとカメの話と同じことが山歩きでは起きることを実感できる。
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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