アウトドアライター森山伸也さんの山道具収納術
PEAKS 編集部
- 2020年01月27日
上越国境の豪雪地に暮らすアウトドアライター・森山伸也さんの山道具部屋を紹介。バックパックやツェルト、ウエアにスリーピングバッグなど、多々ある山道具は自宅でどのように収納しているのか。「すぐ手にとれるよう、ぱっと、目につくところに置いておきたい」という森山さんの収納術を紹介する。
整理整頓だけが正義だと思うなよ
整理整頓が苦手だ。押し入れやガレージにモノを仕舞うと、すぐどこへいったかわからなくなってしまう。見つけるのに時間がかかる。仕舞ったことさえ忘れてしまう。しまいには「あれ、どこに仕舞ったの?」と家人を疑う始末。だからモノはいつも見えるところに置いておきたい。
自分の部屋はいつも道具やウエアなどでとっ散らかっている。いや、とっ散らかって見えるのは他人だけで、自分にとってはすぐほしいものが手にとれる効率的で、居心地のいい空間なのだが、世間は「部屋の乱れは心の乱れ」などといい、それを放っておいてはくれない。押入れや棚を活用した整理整頓だけが正義じゃない、床こそが効率的な収納スペースなのだとぶつくさ文句をいいながら山道具を片づけた。
ぱっと手に取れるよう山道具はいつも目に見えるところに置いておきたい。左手にバックパックを持って、右手でテント、マット、バーナー、クッカー……と、どんどん入れていくイメージだ。出発間際の準備はたいてい留守中の仕事に追われ、充分な時間がとれない。準備にはそんなに時間をかけられないぞ、というセッカチな性分がそうさせているのかもしれない。
バックパックはS字フックにかけて、物干し竿を2段にして、容量ごとに分けている。自重が重い40ℓ以上のモデルは下段で、それより小さいモデルは上段てな感じ。
ツエルトやパックカバーなど小さなスタッフバックに入ったものは、壁に打ち付けた釘に引っ掛け、すぐ手にとれるように。こういう細々したものを収納ボックスにまとめて入れてしまったら、一生手に取ることができないアイテムが出てきそうだという恐怖からこの作戦に落ち着いた。
ウエアは部屋の壁一面を使って上下二段にパイプを固定し、ダウンジャケット、ハードシェル、ソフトシェル、パンツというふうに種類別に分けてハンガーに吊るす。直射日光を浴びないよう窓際を避け、湿気がたまらないようとくに夏場はよく換気することを心がけている。
スリーピングマットはウレタン入りの自動膨張式が好みだが、バルブを解放して膨らませ、邪魔にならない収納棚の上に置く。ウレタンの膨張力が劣らないよう、クセがつかないよう、折りたたんだり上に重いものを載せたりしない。天気がいい日は、畳に広げ、太陽光殺菌だ。
スリーピングバッグはボックス状の布団収納袋に入れている(上写真の水色の袋)。ダウンがふっくらとかさを維持したまま、ボックスだから転がることなく重ねて収納できるのだ。一部分に透明パネルを採用したモデルなら中身が見えて、ほしいものを素早く取り出せる。ダウンが呼吸でき、かつ場所をとらず、すぐにほしいものを手にとれる収納方法を突き詰めたら、ここに至った。
本当に大事なのはビジュアル重視の整理整頓ではなく、気に入った道具を長く使い続けるための細かな日々の心がけなのである。
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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