筆とまなざし#162「週末の講習会は白波立つ、熊野エリアのシークリフへ」
成瀬洋平
- 2020年01月24日
暖かい岩場、梶賀で海の幸を堪能しながらシークリフを楽しむはずが……
週末は再び尾鷲市の梶賀の岩場へ行ってきました。先週はプライベートでのクライミングでしたが今週は講習会。「たまには暖かい岩場で海の幸を堪能しながらクライミングをしましょう」と選んだのが梶賀だったのです。
シークリフの岩場といえば伊豆の城ヶ崎が有名です。しかし城ヶ崎は岐阜からは遠いし週末ともなるとたくさんのクライマーで順番待ちになることも。東海地方に住んでいる地の利を活かして、穴場である熊野地方の岩場へ出かけたというわけです。
金曜日に南岸低気圧が通過し、土曜日の明け方まで雨が降っていました。曇り空のなか、とりあえず岩場へ行ってみようとアプローチを下っていきます。シークリフのアプローチはどこも険しい。切り立った断崖絶壁の下に降りるのですから仕方ありません。北アルプスの縦走路のような感じだけれど大キレットよりもずっと悪い。最近フィックスロープなどが整備されて随分歩きやすくなったようですが、斜面に乗った土は崩れやすく岩も転げ落ちそうです。
岩場の上部まで来て下を覗き込むと、海からは大きな波が打ち寄せては轟音とともに白波を立てていました。うーむ、岩もまだ濡れているし、取り付きまで波を被ってしまうかもしれない。波にさらわれるなんとことがあったら大変です。予定を変更し、尾鷲市から小一時間ほどのところにある石灰岩に岩場に転戦し1日登り、翌日再訪しました。
翌日ふたたびトライしに。
翌朝はすっきりと晴れ渡っていました。すでに数台の車が停まっており、今日こそはとアプローチを下っていきました。再び岩場の上まで来ると……あれ、大波は昨日とさほど変わっていないような気がします。しかし岩は乾いています。とにかく岩場の基部まで下ってみることにしました。
先日登った易しいクラックには飛沫がかかっていましたが、真ん中のルートならば登れそう。荷物を下ろし、さっそくクライミング開始です。数本登っていたときでした。
「ザッパーン!!」
急に大きな波が岩を飛び越えて荷物のところまで降りかかってきました。満潮は14時くらい。朝よりも潮位が上がったのでしょう。岩場に広げていた荷物には海水がかかり、ダウンジャケットも濡れてしまいました。荷物を片付けて一段高い岩の上に避難するも、どんどん波が高くなってきたため居場所が狭められ、しまいには登れるルートが2本になってしまいました。ひとパーティー、またひとパーティーと帰っていく人たちを見送りながら時計を見るともうすでに15時。少しだけ早く切り上げて海の幸で腹ごしらえしてから帰路につきました。
シークリフを登ったあとは洗濯を。
シークリフで登ったあとはカラビナやカムなど錆びやすいものは水洗いするのが鉄則です。今回はロープ、バックパック、そしてダウンジャケットなどすべてのものを洗いました。「ダウンって洗っていいの?」という人もいるかもしれませんが、定期的に洗うことでダウンのロフトが回復します。大切なのは乾燥機でしっかりと乾かすこと。そうしないとダウンが乾かないし玉になったまま固まってしまうからです。ぼくはグランジャーズの「ダウンウエアキット」を使っています。ダウン専用洗剤で洗ったあと、付属しているイボイボのついたボールといっしょに乾燥機に入れるとダウンが玉にならずにフカフカになるのです。洗剤はダウンジャケット6着分の容量なのでシュラフを洗っても結構長持ちします。ダウン製品がヘタってきたという方はぜひお試しください。
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