
【山小屋泊】北アルプス人気スポットへの拠点「太郎平小屋」|北アルプス山小屋大全

PEAKS 編集部
- 2025年04月30日
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創業は、1955(昭和30)年。現在、「太郎平小屋グループ」代表の五十嶋博文さんが二代目オーナーとして小屋全体を切り盛りしている。創業者(現オーナー父、文一氏)は、富山地方鉄道の粟あわ巣すの駅前で商店を営んでいた。
1955年に富山地鉄が立山駅まで延長され、同時に粟巣駅が閉鎖となる。それまで登山者や観光客用に食料や土産品を販売していた店の売上は一気に減少した。その際、芦峅寺(あしくらじ)の山岳ガイドから「山小屋をやってくれないか」との依頼を受ける。そこで一念発起し、はじまったのが太郎平小屋だった。そんな太郎平小屋は、折立登山口から登った稜線上の太郎兵衛平に立つ。薬師岳をはじめ、黒部五郎岳、黒部峡谷や雲ノ平など、北アルプスの人気スポットへと続く起点となるターミナル的な存在で、現在も多くの人が日々訪れる。
\スタッフボイス/
登山をするみなさんが安全に楽しく充実した山行をしていただける一助となるよう、山小屋ができること、すべきことをしっかりと追求・実践していきたいと思っています。
インフォメーション
テント場 | 個室 | 自炊室 | 乾燥室 | お風呂 | 生ビール |
◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ー | ◯ |
ドコモ | au | ソフトバンク | 楽天 | 公衆電話 |
◯ | △ | ◯ | × | × |
■連絡先
076-482-1418
https://ltaro.com/lodge/tarodaira-goya/
■営業時間
6月1日~ 10月20日
■収容人数
150人
■標高
2,330m
■宿泊料金
1泊2食:¥13,000
1泊夕食:¥12,000
1泊朝食:¥10,000
素泊まり:¥8,000
※上記料金の幼児50%、小学生80%
夕食:¥4,500
朝食:¥2,500
お弁当 ¥1,300
■水
宿泊者無料(それ以外は募金制の水場利用)
館内施設
1.自炊室を兼ねた談話室
山関連の雑誌や書籍、囲碁などのゲーム類がある談話室。本小屋を基点に連泊利用する登山者も多く、自炊者も多い。自炊室を兼ねているので、夕食時は混雑する場合もある。
2.日中はレストランとなる食堂
昼食時にはカレーライスやうどん、スパカレー、おでんなどをいただける食堂。混雑時は入替制。朝・夕食の時間は、受付時にもらうチケットに指定されている。
3.更衣室が手前にある乾燥室
ハンガーの使用は、基本1人3本まで。取り間違いのないよう、名札をつける。乾燥室手前の廊下脇に更衣室があるので、着替えはそちらでできる。
4.バイオ式のトイレ
洋式トイレと男性用には小トイレがある。小屋利用者はもちろん自由に使用が可能。小屋の外にもチップ制(¥100 程度)の富山県が設置した公衆トイレあり。
5.携帯電話の充電は受付で
受付に携帯電話を預けるシステム。1台¥200。携帯電話に名札を貼り、受付スペースの内側で充電してくれる。盗難や取り間違いの心配がなく、安心安全。
食事
【夕食】肉、野菜、漬物、フルーツなど、バランス◎。連泊時は2日目別メニュー。受付時にもらうチケットの番号で食事時間と順番が決まっており、その順番でいただく。混雑時は入替制。
【朝食】焼き魚の切り身、卵焼き、ひじき、漬物、生野菜、味付け海苔など、和食の定番的朝食は胃に優しい。ご飯と味噌汁は、もちろんおかわり自由。梅干とらっきょうもうれしい。
部屋
個室、大部屋、カイコ部屋の3タイプがあり、すべて予約制。個室は畳敷きの和室。写真一枚目の大部屋には窓がいくつもあり、明るい雰囲気。カイコ部屋は一般的なヨーロピアンスタイル。スペースは1人畳1畳分+アルファ。
お土産・売店
小屋オリジナルの化繊Tシャツが大人気。生ビールや飲料も豊富。立山のガイドや薬師岳登山の歴史書も!
テント場
■地面:岩・土
■テント設営数:300
■利用料金:1人¥1,000
予約制ではなく、到着順。小屋から徒歩約10分だが、サイト脇の小道を行った先すぐに沢水をホースで流す水場とトイレがある。ハイシーズンには、テント場の脇に建つ小屋で生ビールをはじめとした各種飲料などの販売も!
登山者の安全を願う思いとともに、近代的な山小屋の礎を築く
1963(昭和38)年に発生した豪雪悪天候による愛知大学山岳部の薬師岳遭難事故により、救助体制の在り方や山小屋の役割に一石が投じられ、時代が大きく動いた。
遭難事故の際、事故現場付近に建つ太郎平小屋現オーナーの五十嶋博文さんも救助に尽力した。救助活動を通じて、さまざまな観点から非常時の体制について考えさせられたという。
以後、五十嶋さんは山岳救助体制の在り方や山小屋のよりよい発展のためのノウハウを学ぶことに力を注いだ。結果、これまで救助隊しかなかった富山県警に山岳警備隊が発足し、登山条例も制定。小屋には発電機が導入され、ヘリコプターでの搬送もこの事故により実働が許可された。それまでは、人力のみでの荷揚げ・搬送だったが、運搬効率とスピードが格段にアップした。
遭難事故という悲しい事態を繰り返さないため、できる限りのことをしたい。そう切に願う五十嶋さんの思いが起点となり、富山県の体制が全国的に波及していく。そして、登山者の安全スポットとしての近代的な山小屋の在り方も形づくられていった。太郎平小屋は、その礎的存在でもある。




※この記事はPEAKS[2024年9月号 No.167]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
※最新の情報を直接ご確認の上ご計画ください。
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PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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