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日本の「登山」と「山道具」の系譜

日本の登山史のなかで、ジャパンブランドの山道具はどのような変遷をたどってきたのだろうか。その流れをひも解いていくと、この国では山道具がじつに多様な進化を遂げていることがわかってくる。

卓越した鉄加工技術が生んだ登攀具が登山黎明期を支える

登山が個人の趣味活動として行われるようになった昭和初期、非生産的ともとれる趣味を持てるのはごく一部の裕福な者だけだった。近代的な山道具のほとんどが輸入品で、山道具のアイコンともいえるピッケルやアイゼンは、すべてヨーロッパから輸入されている超高級品ばかり。

そんななか、登山を嗜む学生から依頼され、1920年代後半、卓越した鉄加工技術で、初めての国産登攀具を作ったのが、仙台の山内東一郎と、札幌の門田直馬というふたりの職人だった。デザインは輸入品のものを踏襲しながら製作したそのピッケルとアイゼンのできはすばらしく、その噂は瞬く間にひろがり、個別に注文が入ってくるようになる。ここに「山内」と「門田」という国内生産の山道具ブランドが誕生した。

門田のタニアイゼンとピッケルは、1960年代、第一次登山ブームのさなかに爆発的に売れた。当時の登山者にとって憧れの品でもあり、日本の山道具史の歴史的一品だ。

すべて手仕事による工程のため、生産数はピッケルで年間20本、アイゼンで100足に満たなかったという。
ところが時代が少しずつ戦争へと向かって行ったため、門田は登山用具の生産中止を余儀なくされてしまい、農機具や軍用品などの実用的な世品をつくることになる。

’60年代に入る前に、山内は高齢のためピッケル作りをやめてしまう。二代目に引き継いだ門田は弟子を迎え、廃業する1986年までアイゼンとピッケルを作り続けた。日本隊のマナスル登頂後の登山ブーム時は、年間で1000を超える量を生産していたという。

海外遠征を支えたブーツと谷川岳登攀を支えたハーケン

1956年の、日本登山隊マナスル挑戦は、その後日本の山道具にも大きな影響を与えた。
遠征隊がベースキャンプまで使用するアプローチシューズをキャラバンが提供し、無事登頂成功。登山者の注目は登頂成功を支えたその靴に集まり、キャラバンシューズは押しも押されぬ人気の登山靴となる。幾度かの改良を重ね、1961年には販売数100万足を達成。元祖トレッキングブーツとして不動の地位を得た。

上)高品質なモチヅキのハーケンは、谷川岳の登攀ルート開拓時代を支えた、影の主役だ。下)市販化される前、1953年に作られたキャラバンシューズの「プロトタイプ」。

また、上野から夜行列車一本で行けるアクセスの良さから、谷川岳が人気のエリアとなり、谷川岳と一ノ倉岳周辺の岩場が、当時のクライマーたちのメッカにもなっていた。まだまだ未開拓ルートの多かった時代、数多くのハーケンが岩場に打ち込まれた。

そのハーケンのなかで、扱いやすさと耐久性から絶大な支持を受けていたのが、モチヅキのハーケン。モチヅキは、この商品作りで創業。クロモリやスチール素材、ボルトハーケンなど姿形は変わっても、国産のハーケンといえば、いまでも「モチヅキ」だろう。

軽量化しはじめる山道具

いまや我々が当たり前のように目にする軽量登山用具も、そのすべてが山道具史に革命をもたらしたエポックメイキングなものたちばかり。従来は帆布のように重たい生地と、鉄パイプのようなポールで構成されていたテントも、1970年代になると軽量化や耐久性の面で大きな躍進を見せる。1970年にダンロップブランドから発表された吊り下げ式テントもそのひとつだ。

神戸市の小さな縫製所「トモミツ縫工」が、ダンロップブランドから世に送り出した吊り下げ式テント。同社の現行品「VS」シリーズにつながるものがある。

テント底部にポールを固定し、そこにフックで本体を蚊帳のように吊り下げていく設営方式のテントは、まさに革命的だった。それまでテント設営の天敵だった風の影響が極端に少なくなったのである。いくつもの「点」でテントを支えているため、強風に煽られてもポールのどこか一点に力がかかることがなく、耐久性も格段に向上した。同社は、いまでも「吊り下げ式」を作り続けている。

1980年代から1990年代にかけては新素材の開発や加工技術の進歩によって、それまででは考えられなかったスピードで山道具の軽量化が進められた。

1998年当時、ガスカートリッジ式の小型ストーブで、スノーピークの「ギガパワーストーブ“地”」より小型のものは、世界のどこを探しても存在していなかった。

スノーピークが1998年に発売したストーブ「ギガパワーストーブ〝地〞」は、ストーブを「超軽量」という新しいステージに到達させ、日本だけでなく世界を驚かせた。そのサイズはポケットにすっぽり入ってしまうほどで、軽さも100gを切るという驚きのレベルだった。

そうした山道具軽量化の恩恵をもっとも受けたのは、遠征隊でもクライマーでもなく、一般登山者だった。道具がコンパクトになり、荷物の総重量も劇的に軽くなった。
それまでかなりの体力を必要としていた登山のハードルはグッと低くなったのだ。

新素材の開発ラッシュ。そして登山の細分化へ……

そして現在。新素材の開発だけでなく、まったく新しいい山道具の開発が盛んだ。
神戸市にあるアウトドアウエアブランドのファイントラックは、ドライレイヤーという概念を生み出し、登山者が永遠の悩みとしてあきらめかけていた「汗冷え」の問題を一気に解決。評判はすぐに広まり、他のブランドも肌に触れるウエアの重要性を、それまで以上に考え、独自の商品を開発する結果となった。

このように、これまでは軽さや耐久性、通気性といったことに重点がおかれていた山道具に、各メーカーが独自で提案する、まったく新しい価値観が生まれ、山道具の特徴が、さらに細分化されているのである。

ファイントラックが開発したドライレイヤー。素肌に着用し、その上からアンダーウエアを着ることで、かいた汗を効率よくアンダーウエア側に吸出し、汗戻りによる体の冷えを防いでくれる。

同時に、「登山」というアクティビティの細分化も進んでいる。
単純に登頂を目指すのではなく、可能な限り軽い装備で、短時間により長い距離を歩くための「ウルトラライトスタイル」や、山中を走る「トレイルランニング」など、山でのすごし方がより自由で、多様化している。それぞれのアクティビティに最適な道具も生み出されており、ひと口に「山道具」として括ることができないほどだ。

ウルトラライトスタイルが生み出したのは、必要最低限の機能だけを搭載した超軽量の山道具だ。どちらも固形燃料で湯沸しする際のゴトクで、手のひらサイズ。

近年では、自分が求める道具が既存の商品にはないということで、自分で山道具を開発し、個人が独自のブランドを展開する動きも盛んになってきている。
新興ブランドが大手ブランドに与える影響も決して小さくない。
これからは、たがいに刺激し合い、発展していくことが期待できる。

 

山道具メーカーの系譜

1906年(明治39年)

ミズノの前身「水野兄弟商会」創業

1923年(大正12年)

エバニューの前身「増新商店」創業

1941年(昭和16年)

ナンガの前身「横田縫製」創業

1950年(昭和25年)

ゴールドウインの前身「津澤メリヤス製造所」創業
モチヅキ、ハーケンの製造を開始

1954年(昭和29年)

キャラバン創業。
軽登山靴「キャラバンシューズ」の販売を開始

1956年(昭和31年)

槇有恒を中心とする日本山岳会の登山隊が、ヒマラヤのマナスル(8163m)の登頂に成功

1957年(昭和32年)

カシオ計算機創業

1958年(昭和33年)

スノーピークの前身「山井幸雄商店」創業

1963年(昭和38年)

新越ワークス(ユニフレーム)の前身「新越金網製造工場」創業

1960年(昭和35年)

昭文社創業

1965年(昭和40年)

アライテント創業。軽量ツェルトの販売開始
カジタックスの前身「梶田製作所」創業

1968年(昭和43年)

石井スポーツ、オリジナルブランド「パイネ」発売開始

1969年(昭和45年)

ティムコ創業

1970年(昭和45年)

ヘリテイジ、世界初のクロスポール式ドーム型テント「第一号エスパース」を開発。
ダンロップが世界初の吊り下げ式ドームテントを発表

1972年(昭和47年)

イスカ創業

1973年(昭和48年)

ゴロー創業

1975年(昭和50年)

モンベル創業

1978年(昭和53年)

ゴールドウインが、ザ・ノース・フェイスの販売を開始

1982年(昭和57年)

ティムコ、フォックスファイヤーブランド立ち上げ

1984年(昭和59年)

マジックマウンテン創業

1988年(昭和63年)

アクシーズクイン創業

1990年(平成2年)

新富士バーナーがSOTOブランドを立ち上げる

2004年(平成16年)

ファイントラック創業

2008年(平成20年)

ティートンブロス創業

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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