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筆とまなざし#194「笠置山の岩場で、地元中学生の体験授業をお手伝い」

地元の岩場に親しんで。中学生のボルダリング体験学習

笠置山クライミングエリアの麓にある恵那北中学校。一年生の総合学習の時間にボルダリング体験を行ないたいと先生から連絡をもらったのはひと月ほど前のことでした。「地域を調べる」授業の一環としてボルダリングに取り組みたいというのです。

「地元にこんなに有名な場所があるのに、ほとんどの子どもはやったことがない。子どもたちに地元で有名なボルダリングを知ってもらいたいんです」

学校の授業で、しかも人工壁ではなく岩場でボルダリングを行なうというのは全国的にもとても珍しいことでしょう。

とはいえ、人数が多い。しかも初めての子どもばかりです。一年生は1クラスでおよそ30人。笠置山ハイキング班と分かれたため、ボルダリング班は15人ほどでした。さらにふたつのグループに分け、ぼくと地元の愛好家の友人で引率することにしました。どのように怪我のリスクを減らすかが課題でした。7級から10級まで、あまり高くない初心者向けの岩を選び、とにかくひとりずつ登ってもらうことを厳守。スポットを手厚くすることに努めました。簡単だからといって、低いからといってリスクがなくなるわけではありません。

前日の雨の影響で岩は少し湿り気を帯びていました。体験会の前にチョークでホールドを磨き、久しく登られていなかった課題は苔を落として準備万端。最初に注意点などを話しながらデモンステレーションし、四つの岩を順番に回ることにしました。

活発な男の子は一撃で8級課題を登っていきます。体の柔らかい女の子も上手な身のこなしで登っていきます。中学一年生といえばまだ身長の低い男子もいてスタート位置が高いと苦戦したり、控えめな女の子はなかなか思いきって手が出せなかったり。でも、最初はそれでいいと思うのです。もちろん、初めからスイスイ登れたり、登った瞬間にハマったりするのはすばらしいことだけれど、運動神経に関わらず、コツコツとやっていれば必ず登れるようになっていくのがクライミング。それが楽しみとなり、自信となり、達成感となる。最初だけで嫌いになったり劣等感を感じたりしないようにしてほしい。なんとかそのことを伝えたいし、一瞬でも「楽しい」と思う時間があってほしいと思いながらサポートをしていました。

体験の時間はあっという間に終わりました。最初は緊張した面持ちだった子どもたちも「楽しかった!!」「おもしろすぎる!!」と言ってくれて晴れやかな表情をしていました。そしてなにより、怪我なく終われたことに安堵しました。

ぼくがこの子たちと同じ年ごろのときは近所のブロック塀や石垣をコソコソ登って練習していました。人工壁全盛期の現在ですが、恵那の子どもたちは岩場でボルダリングに触れています。そしてそこにはすばらしい課題が山のようにあり、胸を張って岩登りができるのです。授業でボルダリングに触れた子どもたち。もしも彼ら、彼女らの触手になにか少しでも触れたものがあったのなら、と思わずにはいられません。そして次のステップへと導いていくのが、ここで活動する自分の役目なのでしょう。

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PROFILE

成瀬洋平

PEAKS / ライター・絵描き

成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

成瀬洋平の記事一覧

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

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