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筆とまなざし#215「道具を使いやすく工夫することも山登りの楽しみのひとつ」

既製品を少しカスタマイズして使い勝手よく。自分仕様の山道具へと工夫する楽しみ。

子どものころからものづくりが好きで、自分で山道具を作ったりカスタマイズしたりしていました。中学生のときには父に手伝ってもらって木で背負子のフレームを作り、銀マットとナイロン生地でショルダーベルトを作って奥穂に登ったこともあります。子どものころの大切な思い出です。

昨年購入した、ザ・ノース・フェイスのシンダーパック55。とても気に入って使っているのだけれど、ひとつだけ難点があります。それは、雨蓋を閉めるストラップが短いこと。荷物が増えたときに、長さが足りずに閉められないのです。ストラップを縫い足そうかと考えていたとき、ふとパックに入れてあるヌンチャクが目に止まりました。ヌンチャクというのは、クライミングの際に中間支点として使うもので、ナイロンなどのスリングの両末端にカラビナがひとつずつ付いています。ちょうど古くなったヌンチャクがあったので、片方のカラビナを外してパックの金属製バックルに連結してみました。するとどうでしょう? 非常に具合よくストラップを延長することができました。取り外しも簡単なので荷物が少ないときは外してポケットに入れておけばOK。もちろん、カラビナがもうひとつあればヌンチャクとして使うことも可能です。カスタマイズというにはあまりにも簡単ですが、これで使い勝手がずいぶんとよくなりました。

最近カスタマイズしたものといえばもうひとつあります。10年ぶりくらいで新調したパタゴニアのR1フーディーです。以前のものもまだまだ現役で愛用しているのですが、10年前のモデルよりも生地が薄くなり、汎用性が高くなったと思います。さて、調子のいい新R1フーディーですが、前のモデルよりもチンガードが小さく、顎がジッパーに当たるのが気になりました。そこで、手芸屋さんでフリース生地を買ってきて、喉元からカバーするように縫い付けました。上部は外側に折り返して、生地がひっくり返らないように工夫しています。思いつきでカスタマイズしたけれどこちらもなかなか上出来です。

道具選びはもちろん、既製品だけでなく、道具を使いやすいように工夫することも山登りの楽しさのひとつです。

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PROFILE

成瀬洋平

PEAKS / ライター・絵描き

成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

成瀬洋平の記事一覧

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

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