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筆とまなざし#210「1月の鳳凰三山、穏やかな稜線を歩く冬の山旅へ。(後編)」

冬型が緩んだ穏やかな稜線。大自然を目の当たりにするマクロな山旅を感じて。

薬師岳に登ると冷たい風が吹き付けてきました。標識のあるなだらかな頂上をあとに、観音岳へ向かいました。稜線に雪はほとんどなく、砂地が剥き出しになっていました。風が強いため雪は飛ばされるのでしょうが、それにしても雪の少ないのに驚きました。アイゼンとピッケルの出番はありません。露岩を縫うようにザレ場を歩くと、先行していた人たちが観音岳から下ってくる姿が見えました。

易しい岩場を登ると観音岳の頂上にはすぐにたどり着きました。前方には特徴的なオベリスク。縦走路はいったん大きく下り、地蔵岳へと登り返しています。多くの人が観音岳から引き返し、地蔵岳まで行く人は少ないようです。たしかに最高峰は観音岳だから、冬の鳳凰三山に登頂するという点では地蔵までいく意味がありません。往復のコースタイムは3時間ほど。薬師から観音までよりも遠く標高差もあります。けれど、見える景色も違うはずだし冬の三山を縦走してみたい。しかも思いのほか気候も穏やかです。まだ時間も早いので先へ進むことにしました。

南には真っ青な空を背景に真っ白く雪を被った大きな北岳がそびえていました。その左には間ノ岳、農鳥岳。前方には仙丈。さすがにほかの山にはしっかりと雪が積もっています。それにしても、やはり南アルプスの山は大きい。そんな名峰を眺めながら歩くこの縦走路は、やはり格別なルートです。

コルへの下りに足を踏み入れると急にトレースが薄くなりました。とはいえペンキのマークやピンクテープはしっかりとついています。樹林帯の一部分は雪が深くなっていましたが、そのほかは概ね歩きやすい道でした。ただ、観音岳の西側に当たるため陽が当たらず、風が吹くとなかなか寒い。コルからの登りに差しかかると次第に陽がさし始め、風がなくなるとポカポカと暖かいほどでした。最後の岩場を登りきると、その先に小さなピークがふたつありました。地蔵岳の頂上はオベリスクですがそこまでは行かず、オベリスクとの分岐までとしました。

冬型が緩んだ穏やかな稜線。雪山登山というより冬の山旅と言ったほうがぴったりな山行でした。小さなホールドに意識を集中させるミクロな世界も良いですが、やはり山を歩いて大きな自然を目の当たりにするマクロな山旅も大切なんだな。純白の北岳が眼前にどっしりとそびえ立っていました。

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PROFILE

成瀬洋平

PEAKS / ライター・絵描き

成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

成瀬洋平の記事一覧

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

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