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筆とまなざし#216「フィールドで愛用していたスタンビレイパーカーとの別れ」

ブラックダイヤモンドのスタンビレイパーカー。8年間ご苦労さまでした。

愛用していたジャケットがとうとう逝ってしまいました。ブラックダイヤモンドのスタンスビレイパーカーというモデルで、8年ほど使用しました。生地はあちこち破れているものの気にせず使い続けていましたが、先月ファスナーの歯が壊れ、週末に行ったクライミングでその部分からスライダーが取れてしまい、スライダーがにっちもさっちも動かなくなってしまったのです。もうずいぶんと着倒したし、ご苦労さまという感じです。

スタンスビレイパーカーは化繊の中綿が入ったハイロフトなジャケットです。重量もそれなりで嵩張るけれど、着たときの毛布を纏っているような安心感は抜群でした。ビレイジャケットだけあってダブルファスナーなのが使いやすく、寒い時期のフリークライミングから岩場の開拓、アイスクライミングのときにも使っていました。左右の内側にグローブ用のポケットがあるのですが、これがクライミングシューズを入れておくのにとても重宝。寒い時期、靴が冷えてしまうとソールが硬くなり登りにくくなってしまうのです。

インシュレーションジャケットを選ぶときに重要なのが中綿でしょう。ダウンにするのか化繊にするのかがまず問題。ダウンは軽量で暖かいけれども、濡れると水分を含んでペタンコになり保温性が激減します。それから質の高いダウンは高い。また、手入れが少々面倒で、洗剤(ダウン用洗剤を使っている)で洗ったあとは乾燥機にかけて十分乾かさなければなりません。いっぽう、化繊はダウンよりも重くて嵩張るけれども洗濯したら普通に干せばOK。最近は撥水ダウンや化繊とダウンのハイブリッドモデルも登場しているし、化繊でも従来のものより薄くて暖かい高性能な素材が出ています。とはいえ、フリークライミングメインの自分の場合、砂ぼりやチョークにまみれてしまうのでガンガン使って洗いやすい化繊が使いやすいのでした。

少しずつ暖かくなってきたタイミングでよかったと思いつつ、やっぱり化繊の分厚いジャケットがほしいなと思うのです。

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PROFILE

成瀬洋平

PEAKS / ライター・絵描き

成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

成瀬洋平の記事一覧

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