筆とまなざし#226「手軽に食べれることを知ったフキ。アレンジ料理で楽しむ」
成瀬洋平
- 2021年05月12日
新居のまわりにたくさん生えているフキ。手軽にアレンジして楽しめることを知りました。
暖かい日が続いたためか、今年は山菜の時期が早かった。例年はGWあたりがコシアブラの良い時期ですが、今年は4月下旬が食べごろでした。コシアブラやタラの芽は天ぷらや炒め物にし、ワラビはおひたしに。朝からアトリエ小屋で絵を描き、小屋の前にあるコシアブラを採ってお昼のおかずにしたり。この時期はなんともうれしく、しかも経済的な季節です。
山菜の種類はいろいろありますが、これまで自分でフキを採ることはありませんでした。アクを抜いたり皮を剥くのがなんだか面倒だし、味もそれほど好きではなかったからです。2月に引っ越した家の周りにはフキがたくさん生えていて、食べないのはもったいないと家族に言われました。聞くと下拵えもそれほど面倒ではないらしい。とくに、フキの葉をさっと茹でて肉やシーチキンといっしょにごま油で炒めて醤油とみりんで味付けすると美味しいそうで、ご飯のお供にもおつまみに最適らしい。さっそくその晩に作ってみると、佃煮っぽいそれは、醤油を入れすぎたようでちょっと塩辛かったものの、ご飯がよくすすむ美味しさでした。茎の下拵えも思ったより簡単で味噌汁に入れていただきました。
手軽に食べられることを知ったので、今度はちょっとイタリアン風にアレンジ。フキの葉とシーチキンを鷹の爪とニンニクを加えてオリーブオイルで炒めてみると、これまた美味しい。そのままフキのパスタにもなる。フキといえば「きゃらぶき」くらいしか知らなかったし作るのも大変そうだったけれど、こんなに手軽に、しかもいろいろとアレンジして食べられるとは。まだ家の周りにはたくさん生えているのでしばらく楽しめそうです。
今日はとても麗かで気持ちの良い朝だったので、庭先に出てフキをスケッチしました。地元の巨匠・熊谷守一先生に習って、しっとりした土の上に這いつくばり、草の青い香りを嗅ぎながらスケッチしていると、ひらひらと蝶々が飛んできました。いつの間にこんな季節になっていたんだろう。田植えが終わった田んぼはまるで湖のよう。水面を渡る風が心地よい毎日です。
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