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筆とまなざし#227「梅雨入り直前の週末。瑞牆山はカサメリ沢へ出かけました」

瑞牆山のカサメリ沢、‟コセロック”。爽やかで気持ちのいいこの場所を描いてみる。

週間天気予報を見るとずらりと傘マーク。まさかとは思ったものの、今年は例年になく早い梅雨入りとなりました。急に湿度が高くなり、笠置山もなんだか湿っぽい。梅雨入り直前の週末、最後のチャンスとばかりに瑞牆山はカサメリ沢へと出かけました。

トラッドルートの多い瑞牆山において、カサメリ沢はクオリティの高いスポートルートのエリアとして知られています。笠置山のプロジェクトを登って燃え尽きたのか、最近はワンデイで登れるくらいのルートにトライしています。とくにお目当てのルートもないので、まずは妻の宿題ルートを目指しました。林道が工事で通行止めになっていて、いつもより手前の駐車場から歩かなければなりませんでしたが、思ったよりも苦にならない。アプローチが長くなったからなのか、いつも順番待ちのルートにも人がいませんでした。とはいえ、知人にもばったり出会ったりして「お互いよく会いますね」などと話しながら、静かで明るいカサメリ沢に沿って歩いていきました。

花崗岩の合間を縫って流れる水は清冽です。コセロックという岩の周りは明るく開けた場所で、その日はファミリークライマーがハンモックを吊るしてのんびりとクライミングを楽しんでいました。梅雨入り間近といっても、やっぱりここは爽やかで気持ちがいい。狙っているルートがないのが心にゆとりをもたらしたのか、この場所を絵に描いてみようと思い立ちました。クライミングの絵を描く場合、クライマーか岩の絵しか描いたことがなかったけれど、岩場の美しい風景を描いてみるのも一興だなと思ったのです。もちろん、画材などは持ってきていないので、歩きながら気になった場所の写真を撮っておき、帰宅してからアトリエで描くことにしました。

妻が宿題だったルートを無事に登り終えたので、エリア入り口近くのモツランドへ移動。ぼくは、2019年に杉野保さんが初登した「ミルキーDX(5.12b)」を登りました。既成ルートから延長してルーフ〜スラブを登るというもので、とても自然なラインかつ短いなかにアクセントのあるおもしろいルートでした。

クライミングに出かけるのはもちろんだけれど、梅雨に入ったことだし、なにか新しいことにモチベーションを向けてみようかな。最近、そんなことを考えています。

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PROFILE

成瀬洋平

PEAKS / ライター・絵描き

成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

成瀬洋平の記事一覧

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